「アリシン」は、ニンニクやネギから生成される天然の辛み成分の総称である硫黄化合物(含硫化合物)の一種です。
そしてスーパーフードのニンニクから更に作られる成分「アホエン」は記憶力アップや脳を活性化するといわれています。 アリシンとアホエンの関係、その魅力についてお話します。
アリインがアリシンに変化する
硫黄化合物の主な種類にアリシン、アリイン、イソチオシアネート、アホエンなどがあります。
アリシンはニンニクやネギなどユリ科の植物に含まれる刺激臭や辛み成分で「硫化アリル」、「アリル化合物」とも呼ばれます。
アリシンを含む主な食品
ニンニク、ネギ、玉ねぎ、にら、あさつき、らっきょう、エシャレット、エシャロットなど
アリシンは元々これらの野菜に存在するのではなく、切ったり擦りおろしたりして細胞が壊されることでアリシンの前駆体アリインとアリナーゼという酵素が化学反応をおこしてアリシンは生成されます。
大根やワサビを擦りおろした時に生成されるイソチオシアネートと同じメカニズムです。 玉ねぎを切った時に涙がでたり、ニンニクをすり潰して匂いが強く出るのはアリシン(硫化アリル)の成分によるもの。
細胞が壊されないと生成されない仕組みなのは害虫などから身を守るためだそうです。
アリシンの美と健康効果
ビタミンB1の吸収を高める
アリシンは血流を改善し、血中脂質を減らしてガン予防や免疫力を向上させてくれる働きがあります。 そしてアリシンはビタミンB1と結びつくことで「アリチアミン」という物質に変化します。
アリチアミンはビタミンB1の吸収率を高め、体内で長く持続する作用があるので疲労回復やスタミナアップ、代謝アップに効果的なのです。
元気ハツラツ栄養剤として有名な「アリナミン」もこの性質を利用したそうです。 私たちが食品から得た糖質や脂質をエネルギーに変えてくれる重要な役割を果たすのがビタミンB1です。
ビタミンB1は疲労物質である乳酸の代謝を高め、疲労が回復しやすくなります。 アルコールの分解にもビタミンB1は必要です。ビタミンB1は豚肉や大豆、うなぎ、昆布、胚芽米などに含まれています。
アリシンとビタミンB1を一緒に摂取することで効率よく栄養素が吸収され、新陳代謝が活発になり疲労回復効果だけでなく、老化予防、美肌にも効果が期待できるでしょう。
エネルギー代謝を高める
アリシンは自律神経の交感神経を刺激するのでエネルギー代謝が活発になり、末梢血管が拡張されて血液が手や足先、全身に流れやすくなります。肩こり、冷え性、血栓の予防に役立ちます。
血液循環を活発にして身体のエネルギーを高めるため、食後の体脂肪の分解をサポートしたり、肝臓の脂肪代謝を促進して肥満予防、脂肪肝などの予防にもつながります。
そして、身体のエネルギー代謝が高まると体温が上昇し、発汗しやすくなったり免疫力を高める作用があります。
抗酸化作用で活性酸素を抑制
アリシンを含む刺激臭や辛み成分の硫黄化合物には、老化や病気の原因である「活性酸素」を抑制してくれる抗酸化作用があります。 身体を温め、発汗作用もあるので、風邪や感染症予防などの対策にも良いでしょう。
そしてアリシンは発がん物質に対抗するための酵素や免疫細胞を活性化したり、解毒、抗菌作用があるので、抗がん作用、アンチエイジング、脂肪燃焼効果、便秘改善、血流促進、食中毒予防、食欲増進、動脈硬化や心筋梗塞といった様々な生活習慣病予防にも効果が期待できます。
アリシンの豊富な健康効果
- 疲労回復、スタミナアップ
- コレステロール、高血圧降下作用
- 食欲増進、夏バテ予防
- 血糖値抑制
- 腸内環境を整える
- 血流促進、血栓予防
- 抗酸化作用で活性酸素を抑制
- アンチエイジング
- 抗がん作用
- 肝機能強化、二日酔い防止
- 免疫力の向上
- 冷え性改善
- 食中毒、感染症予防
- 脂肪燃焼促進
- 生活習慣病予防
生は食べ過ぎ注意
ただし、アリシンを生で過剰摂取するのは控えましょう。加熱されていない生のニンニクなどは殺菌力や解毒作用が強いので空腹時に大量摂取すると胃腸障害や腸内の善玉菌、悪玉菌両方とも排除してしまう恐れがあります。 全ての食品はバランス良く、適量を継続して摂取することが理想的です。
脳が若返るアホエン
アホエンオイルとは
アホエンはスペイン語でニンニクという意味のajo(アホ)に由来した名前であるそうです。 ニンニクに含まれるアリシンは低温で加熱するとアホエンという物質に変化し、これを抽出したのがアホエンオイルです。
アホエンで脳を活性化
ニンニクに含まれるアリシンが変化したアホエンは、名前は「アホ」とつくのに頭を良くする優れた効果があるのです。 脳年齢を若返らせ、記憶力アップ、認知症予防など、脳を活性化してくれる働きがあります。
アホエンオイルの作り方
- ニンニクは2~3片。みじん切りか、細胞がランダムに破壊されるように潰します。
- 150gの良質なオリーブオイル(エクストラバージンオイル)に1のニンニクを入れます。
- アホエンは100度で破壊されてしまうので50~80度程度で湯煎して加熱していきます。
- 冷ましたらアホエンオイルの完成です。
アホエンオイルは1日に大さじ1杯程度を摂取すれば効果的だといわれています。 ドレッシング作りやサラダにかけたり、パスタや料理の仕上げにまわしかけたり、バケットにつけて食べても良いですね。
アホエンオイルで健脳
ニンニクはがん予防に有効性のある野菜類としてアメリカ国立がん研究所が作成した「デザイナーフーズピラミッド」のトップに君臨しています。
アリシンの健康機能とアホエンの脳活性化作用を併せ持つニンニクパワーはやはり凄いと思います。そして 糖質を効率よくエネルギーに変換してくれるビタミンB1は、ブドウ糖をエネルギー源としている脳の神経伝達にも欠かせない成分。
不足すると記憶力や集中力の低下を招いたり、イライラしたり情緒不安定など、精神面へも影響を及ぼします。
ビタミンB1を多く含む食品(豚肉、豆類、うなぎ、胚芽米等)とアリシン(玉ねぎ、ニンニク等)を積極的に日々の食生活に摂り入れ、受験生や脳を良く使う方はアホエンオイルも摂り入れポテンシャルを高めていきたいですね。