甘く、スパイシーな香りが特徴のシナモン。シナモンロールやお菓子作り、料理の風味付けやカプチーノに使われるなど、シナモンは身近なスパイスとして親しまれていますね。
「スパイスの王様」ともいわれ、欧米ではブラックペッパーの次に人気のあるスパイスとして世界中で愛されています。
香り高いのが特徴のシナモンですが、実は健康やアンチエイジングにも効果を期待できる成分も人気の理由なのかもしれません。
シナモンの種類
シナモンとは
シナモンは紀元前4000年ごろからエジプトでミイラの保存用(防腐剤)として使用され、また古代世界で最初に取引されたスパイスのひとつということもあり「世界最古のスパイス」といわれています。
シナモンはクスノキ科の常緑樹で、幹や枝の樹皮、葉が主な使用部位です。樹皮を剥がし、天日干しを繰り返してつくられます。インド、マレーシア、スリランカ、中国南部などの熱帯各地で幅広く栽培されています。
そんなシナモンは木の種類や生産地によって香りや成分が異なり、主にふたつの種類があります。
カシア・シナモン
カシアは、中国やベトナムが主な原産地です。 樹皮のコルク層と呼ばれる層を乾燥してつくられたもので、見た目は分厚くて固く、スパイシーで強い香りが特徴です。
セイロンと比較して安価で大量生産されており、カフェなどではほとんどこのカシアが使われています。
一方、肝臓に負担をかけるクマリンという成分が多く含まれているので、摂り過ぎには注意が必要です。
セイロン・シナモン
セイロンは主にスリランカ産のシナモンで、英語でTrue cinnamon(純正シナモン)とも呼ばれています。厳密なシナモンはこのセイロンシナモンだとされています。
そして、健康やアンチエイジングに効果があるとされているのはこのセイロンシナモンの方です。ヨーロッパでシナモンといえば多くの人がセイロンシナモンを使っており、アメリカや日本で販売されているセイロンシナモンは少数だといわれています。
セイロンシナモンは樹皮のコルク層を除き、薄い樹皮を重ねてつくられるのでカシアより柔らかく、繊細で上品な香りが特徴です。価格はカシアより高価で少し入手困難になります。
一方、クマリンはカシアより含有量が少なくなりますがセイロンシナモンにも含まれているので、大量に摂り過ぎない方が良いでしょう。
セイロンシナモンの健康効果
毛細血管を若返らせる?
「人は血管とともに老いる」といわれるように、血管を若く保つことが身体の健康維持、アンチエイジングにつながります。
人間の体は骨と筋肉を除くと約80%が血管で、毛細血管は全身の血管の99%を占めています。毛細血管は40歳代から減少し、60代には約4割も減ってしまうといわれています。
毛細血管が減ってしまうと、細胞へ必要な酸素や栄養がおくられず、新陳代謝や細胞の再生ができなくなってしまいます。そうなると免疫力の低下や動脈硬化、骨粗鬆症などのリスクが高まります。
頭皮の毛細血管が減れば薄毛や白髪が増えたり、お肌の毛細血管が減ればシワやたるみといった肌老化の原因に。 セイロンシナモンにはこの毛細血管を若返らせるTie2(タイツー)という物質を活性化する働きがあるとして注目されているのです。
記憶力を高め脳の健康維持
セイロンシナモンをはじめ、ウコンやコリアンダー、ショウガ、赤唐辛子、甘草などのスパイスは脳の働きを活性化し、病気の予防や脳の機能を高める働きがあるとされています。
動物実験ではマウスによる認知行動の改善がみられ、セイロンシナモンがアルツハイマー病の予防に役立つ可能性があると示唆されています。
また、フロリダの研究ではシナモンの香りが注意力や記憶力、視覚運動速度に関して被験者のテストスコアが改善されたことから、脳の活動を改善し、脳の健康維持をサポートすると考えられています。
注意点
シナモンにはクマリンという天然の香り成分が含まれています。 クマリンは大量に摂取すると肝機能障害を引き起こす恐れがあるといわれています。
特にカシアシナモンには多く含まれているので肝疾患のある方は制限が必要です。 また、シナモンにはセイロン、カシアを問わず、子宮収縮作用があるので、妊婦さんは控えた方が良いでしょう。
シナモンの1日の摂取量は小さじ半分程度が適量です。美容や健康に良いからといって過剰にとりすぎないように注意しながら、本物の純粋なセイロンシナモンを選び、健康とエイジングケアに役立ててみてはいかがでしょうか。