食品にはアルカリ性食品と酸性食品があり、アルカリ性食品が体に良いというのを聞いたことはありませんか?
健康を保つにはどちらもバランス良く摂りいれることが大切ですが現代の私たちの食事は酸性に偏りやすい食品があふれています。
体の健康づくりをサポートするアルカリ性食品の摂りいれ方について食生活を見直してみましょう。
重要なのは体のpHバランス
アルカリ性と酸性
食品のアルカリ性と酸性の違い。それは大きく分けるとその食品がミネラルを多く含むかどうかによります。ミネラル量が多ければアルカリ性、少なければ酸性です。
「pH」とは水素イオン濃度のことで、アルカリ性と酸性の度合いを14の数値であらわしています。数値が高くなるほど強アルカリ性で、数値が低くなるほど強酸性となり、pH7が中性となります。
生命活動に重要なpHバランス
「pHバランス」とは血液のアルカリ性と酸性のバランスのこと。人の体は約60%が水分で、その体液はpH7.35~7.45という微妙な数値(弱アルカリ性)に保たれています。
このpH値は少しでも崩れると生命活動に影響をもたらすほど重要なもの。
アルカリ性食品を多く食べたり、酸性食品を多く食べても、人間にはもともと備わっている生体恒常性機能(ホメオスタシス)によって体内では常に弱アルカリ性に調整されています。
食事の多くは酸性食品
体は酸性に傾いてもアルカリ性に傾き過ぎても良くないのですが、毎日の生活の中で食べる食品の多くは酸性食品なのです。
酸性食品は肉類、魚介類、ハム・ソーセージなどの加工食品、脂肪分の多い食品、卵、白米やパンなどの穀物、乳製品、砂糖、人工甘味料、揚げ物の油、食品添加物、残留農薬などほとんどが酸性食品です。
骨からアルカリ成分を調達
これらの酸性食品を多く食べていると血液が酸性に傾くことに。ですが体は恒常性機能によって、血液のpHバランスを保とうとします。
例えば食事の時にアルカリ性食品が不足していると、なんと骨の中のカルシウムからアルカリ成分を引き出してしまうのです。
そのため酸性食品ばかり食べていると骨の中のカルシウムが奪われ体内のカルシウムが減少してしまうことに。
カルシウムが不足すると
カルシウムは体の中で重要な働きをしています。カルシウムが不足すると骨がもろくなって骨粗鬆症の原因となるだけでなく、動脈硬化や高血圧、心疾患、認知症、新陳代謝の低下、免疫力低下、糖尿病、アレルギー症状の悪化、老化促進、肥満、生活習慣病などの要因に。
そして集中力や思考力が低下したり、キレやすくイライラしやすいなど脳や精神面へも影響を及ぼします。
アルカリ性食品も同時に摂取
ただ、酸性食品を食べないようにしましょうということではなく、魚や卵など良質なたんぱく質は健康にも老化予防にも必要な栄養源ですね。
これらの酸性食品を食べる時に一緒にアルカリ性食品を摂りいれて中和すれば良いのです。食事にアルカリ性食品があれば、骨からのカルシウム流出を防ぎ、pHバランスが保たれるようになります。
注目したいアルカリ性食品
オーガニックの生野菜
野菜はビタミン、ミネラル、抗酸化物質など健康な体づくりに必要な栄養が豊富に含まれたアルカリ性食品です。ただ生の野菜はアルカリ性ですが、加熱すると酸性に傾き、酵素も失活してしまうことに。
生野菜には消化吸収に役立つ酵素や抗酸化物質が含まれているため、生のまま食べるのがおすすめです。体内で消費される酵素が節約され、免疫システムの向上、アンチエイジングにも役立ちます。
我が家では温野菜と生野菜を両方摂り入れています(生野菜の方が多め)。小松菜やほうれん草など葉物野菜を中心に。添加物がたくさん入っている市販のドレッシングは避けて純粋なオリーブオイルと天然塩をかけるだけで、簡単に美味しく食べられます。
また野菜の多くの場合は農薬や化学肥料を使って育てられています。植物内部に浸透した農薬は洗い流すことができませんし、農薬や土壌汚染により栄養が少ない痩せた土地で作られた野菜もまた栄養価が減少しています。
そのため自然栽培・有機栽培の野菜を選ぶことも大切。オーガニックの小松菜などはえぐみや苦みがなく、生でも美味しく食べられますよ。
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梅干し
梅干しはカルシウム、カリウム、鉄分、リンなど豊富なミネラルと、天然のクエン酸を含むアルカリ性食品です。
牛肉100gの酸性を中和するのにきゅうりなら900g必要ですが、梅干しの場合はたった5g程度で十分な作用がある優れたアルカリ性食品です。
また梅干しは唾液の分泌量を増やすので、パロチンという若返りホルモンの分泌を促してくれる嬉しい作用も。
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味噌汁
味噌の原料となる大豆と塩や、味噌汁の具としてよく使われる豆腐、海藻類、きのこ類、いもなどの根菜類もアルカリ性食品です。
そのため味噌汁は、ほぼすべてアルカリ性食品ということになります。
味噌汁は食材の栄養を体内に消化・吸収しやすくして胃腸の働きを助けたり、アルコールの排出を促し肝機能の保護、老化予防、生活習慣病予防、認知症の発症を低下させるなど多くの健康効果に期待できます。
1日3杯以上の味噌汁で乳がん発症のリスクが40%減少するという研究報告もあります。
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海藻類
わかめ、もずく、ひじき、めかぶ、海苔、昆布などの海藻類は食物繊維が豊富で、優れたミネラルバランスを持つ強アルカリ性食品。
わかめは水溶性食物繊維のアルギン酸が含まれ、体内に蓄積した有害物質などを排出する働きがあります。
海苔はビタミン・ミネラルが豊富で、カルシウムの吸収を高めるビタミンDも豊富。海苔1枚でなんと卵2個分のビタミンAが含まれています。
昆布に含まれるヨードは新陳代謝を高める甲状腺の働きを促したり、また必須ミネラルのほとんどを含んでいるので、塩分の排出を促進したり体内への栄養素の吸収を良くしてくれます。
さらに昆布は腸内環境を整える最強アルカリ性食品です。
味噌汁や料理に使う出汁は市販のできた出汁パックなどではなく、昆布や干し椎茸からとると、ミネラル豊富なアルカリ性味噌汁が出来上がりますよ。
出汁を自分でとるのは時間がかかり面倒なイメージがありますが、昆布や干し椎茸、煮干しなどを冷蔵庫で一晩水に浸けておくだけなので簡単にできます。
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こんにゃく
実はこんにゃくは、pH11以上の強アルカリ性食品なのです。こんにゃく芋の主成分であるグルコマンナンは急激なアルカリ反応によって凝固する性質を持っています。
この性質を利用してこんにゃく芋の粉末に水と、アルカリ性の水酸化カルシウム等を加え凝固させてこんにゃくは作られています。
こんにゃくは水分が90%以上と低カロリーで食物繊維やカルシウム、お肌に良いセラミドも豊富に含まれています。食事の最初の方に食べると血糖値の上昇をゆるやかにしてくれる作用も。
生芋こんにゃくには美肌成分セラミドがたっぷりだというのを知っていますか?
アルカリ性食品を増やして健康に
酸性食品に偏った食生活をしていると病気やアレルギーを起こしやすい炎症体質になってしまいます。でもその解決方法は簡単。酸性食品を食べたらその分アルカリ性食品も一緒に食べれば良いのです。
肉食や甘いもの好き、お酒好き、アレルギーを起こしている方は特にアルカリ性食品を意識して摂り入れてみると良いですね。
私は食べたいもの、好きなものを自由に食べていますが、前の晩に昆布で出汁をとった味噌汁と、オーガニックの生野菜は毎日欠かさず食べるようにしています。
こうした食生活に変えてから新陳代謝が向上し、肌や髪質が良くなったり、食事量は特に減らしていないのに体重が減少していったり、便秘が改善され腸内環境の改善などを実感したので継続することができています。