チョコレートやココアの主原料となるカカオはポリフェノールが多く含まれているスーパーフードです。そんなチョコレートは嗜好品としてだけでなく健康機能性の高いダークチョコレートなどがありますが、チョコレート好きに知られている「ローチョコレート」とはどんなチョコレートでしょうか?
ローチョコレートとは
ローチョコレートのロー(RAW)は生という意味をもち、ロースト(焙煎)しない生のカカオ豆からつくられたチョコレートです。
一般的なチョコレートは100度以上の高温でローストしたカカオを原料に砂糖や保存料などを添加してつくられています。
一方、ローチョコレートは48度以下の低温でつくられ、精製された白砂糖や乳化剤、遺伝子組み換え植物を原料とした油など体に負担となる食材を使用していません。
血糖値の上昇をゆるやかにするリュウゼツランを原料とするアガベシロップなど天然の甘味料を使ったり、体に負担のかからないオーガニックな原材料にこだわってつくられているのが特徴です。
そのためローフード製法(加熱しない調理法)のローチョコレートには、一般的な製法のチョコレートとくらべて本来カカオに備わる栄養成分が損なわれずに摂りいれることができ、非常に栄養価が高く、強力な抗酸化物質が豊富に含まれています。
ローチョコレートのパワー
抗酸化物質や栄養価が高い
ローフード製法でつくられたローチョコレートには生のカカオに含まれる栄養素が豊富につまっています。強力な抗酸化作用と抗炎症作用をもつカカオポリフェノールをはじめ、テオブロミン、鉄、マグネシウム、リン、亜鉛、マンガン、銅などのミネラルが豊富に含まれています。
ポリフェノールは植物の色素や苦み、渋みなどの成分となる植物化合物の総称で、その種類は5000種類以上ともいわれ、すべてのポリフェノールは天然の抗酸化作用をもっています。
カカオのポリフェノールがすごいのは、ポリフェノールの一種であるフェノール類やフラボノイド類など複数のポリフェノールが含まれていることです。緑茶との比較では4倍のカテキン類(エピカテキン)を含み、強力な抗酸化作用をもちます。
カカオポリフェノールの優れた抗酸化作用は活性酸素から細胞の酸化ダメージを防ぎ、免疫力の向上、高血圧、コレステロール値など生活習慣病の予防改善、血行促進、脳機能の健康、アレルギー等炎症の緩和、ストレス解消、アンチエイジングなど多くの働きをもっています。
苦み成分のテオブロミンには自律神経を整えて、ストレスホルモンのコルチゾールを抑制したり、ストレスをやわらげる作用があります。
カカオに含まれるマグネシウムなどのミネラルは皮膚や臓器の新陳代謝の働きを促進する酵素反応をサポートし、生体機能を調節する重要な役割を担っています。
ミネラルは血液や神経、筋肉、臓器の構成成分となり、美肌づくりや心の安定にも必要です。
恋するフェニルエチルアミン
カカオには恋をしたときに脳内から分泌される神経伝達物質と同じフェニルエチルアミン(PEA)が含まれています。
そのためフェニルエチルアミンにはやる気や快楽物質のドーパミンを高め、気分が高揚して元気になったり、食欲を抑制して食べ過ぎを防ぎ、ダイエットに役立つ可能性があります。
特にこの効果が発揮されやすいのはコーヒーとローチョコレート(ローカカオ)の組み合わせです。ローチョコレートよりは少なくなりますが一般的なチョコレートにもフェニルエチルアミンは含まれています。コーヒーとチョコレートを食べると不思議と食欲が抑制するのを感じた経験はありませんか?
研究ではコーヒーに含まれるカフェインとローチョコレートに含まれるテオブロミンの相乗効果で、精神面への影響や、認知機能の改善など脳機能の活性化へ影響を与える可能性があるといわれています。(1)
注意点
カカオ豆由来のチョコレートやココアには少量ですが覚醒作用のあるカフェインやテオブロミンが含まれています。そのため、妊娠中や子供では原材料や容量に気をつけて、食べ過ぎには注意が必要です。
また、カカオに含まれる成分の中には食べ過ぎると副作用を引き起こす場合もあるため、過剰摂取には気をつけましょう。
ローチョコレートのほかにも、生のカカオ豆を炒って皮をむいて粗削りしたローカカオニブや、さらにパウダー状に製造したローカカオパウダーなどもローカカオの栄養パワーを享受できます。
【参考文献】
(1) Smit HJ, Gaffan EA, Rogers PJ. Methylxanthines are the psycho-pharmacologically active constituents of chocolate. Psychopharmacology (Berl). 2004 Nov;176(3-4):412-9. doi: 10.1007/s00213-004-1898-3. Epub 2004 May 5. PMID: 15549276.