スーパーのみりん売り場には「本みりん」「みりん風調味料」などいろいろな種類のみりんが並んでいてどれを選んだら良いか迷ったことはありませんか?
みりんは料理の中でも頻繁に出番のある調味料のひとつ。日々口に入れるものだからこそ体に良いみりんの選び方についてお伝えします。
多種多様なみりん製品
私が料理を始めたばかりの頃はスーパーで種類豊富なみりん製品が並ぶ中、どの種類のみりんを選べば良いのかわからず、また当時は体に良いものを調べて選ぼうという考えもなく、とりあえず手ごろな価格のみりんを漫然と選んでいました。
本来のみりんは、もち米に米麹と焼酎を加えたもので、添加物などは入っていません。ほんのり甘みがあり江戸時代には高級酒として親しまれ、その後調味料として広まりました。
現代のみりんの中には、化学調味料や添加物を加えて、みりんに似せてつくられた製品も数多く出回っています。
その商品がどのような原材料でつくられているのかということよりも、少しでも安いものを求める多くの消費者に対して、メーカー側も安価な化学原料を使い大量生産しているという側面もあります。
ただ消費者として買い物は投票行動のひとつ。これからの時代は、ものを選ぶ時の基準は目先の安さではなく「体に安心安全な原料を使用している」「地球環境にも配慮している」などの基準で選ぶ時代がきていると感じています。
みりんの種類と選び方
長期熟成の本みりん
伝統的な製法である長期熟成の本みりんはアルコール度数14%前後で琥珀色。基本は「もち米」「米麹」「焼酎」の3つのシンプルな原材料だけでつくられています。
蒸した米麹ともち米を焼酎と一緒に仕込み、発酵させたものを搾って、半年から1年以上長い時間をかけて丁寧に醸造熟成されたものが本みりんです。
本みりんの甘さは、外から砂糖や糖分を加えておらず、もち米から抽出される天然の甘みです。
そのため砂糖のように血糖値が急上昇せず、体にやさしく上品な甘さがあるので、我が家では砂糖代わりに本みりんを料理に使っています。
本みりんは料理に自然な甘さを加え、アルコールの働きによって、てりやツヤが出やすく、素材の臭みを取ったり、煮崩れを防ぎ、味も染み込みやすくなります。
長期熟成された本みりんは少し高価ですが、天然の甘みとコクがあり、そのまま飲んでも美味しいですよ。昔は甘いお酒として女性に好まれていたようです。
一般的な本みりん
一般的な本みりんはアルコール度数14%前後。色は黄色で、もち米と米麹に、安価な醸造アルコールと水あめを原料に、短期間で発酵させ、香味や食塩を足しています。
本みりんと表記されていますが、長期熟成の本みりんよりも風味が劣ります。
長期熟成の本みりんは原材料名に「もち米」「米麹」「焼酎」とだけ書かれているもの。原材料名に醸造アルコールや水あめと書かれていたら一般的な本みりんです。
みりん風調味料
みりん風調味料はアルコールが1%未満で色は黄色。水あめ、ブドウ糖液、酸味料、香料、化学調味料などの添加物を混合してつくられているので、原材料名にこれらの記載がたくさんあります。
原材料費や手間を省くために、化学調味料などを混ぜ合わせ「みりん風」につくっているので、名前の通りみりんではありません。
料理に使っても、長期熟成本みりんのような調理効果は期待できないです。
体にやさしい自然派調味量の本みりん
本みりんの主な成分は、麹菌の酵素の働きでデンプンやタンパク質を分解して出来た生成物とアルコール
① 糖類(グルコース、イソマルトース、オリゴ糖など)
② アミノ酸(グルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸など)
③ 有機酸(乳酸、クエン酸、ピログルタミン酸など)
④ 香気成分(フェルラ酸エチル、フェニル酢酸エチルなど)参考:全国味醂協会
本みりんの魅力は、麹菌の酵素の働きによって自然の甘みとうま味がたっぷりと含まれていること。時間をかけて醸造熟成させることで、原料のもち米に含まれているデンプンが分解され、ブドウ糖やオリゴ糖など数種類の糖が生み出されます。
複数の天然の甘味や、うま味成分、アルコールの総合力によって、料理にまろやかな甘みと豊かなコク、うま味をもたらしてくれるのです。
ほかの調味料との相性も良く(醤油、味噌など)味をまとめる作用も。体に良い長期熟成本みりんの選び方は「もち米」「米麹」「焼酎」とだけ書かれているシンプルなものを。
本みりんの中でも伝統的な長期熟成の本みりんはやはり味の深み、上品な甘さ、コクが違います。体にもやさしい、天然醸造の本みりんを選んで、料理に生かしてみてはいかがでしょうか。