AGEsとは老化物質の一種で、病気の予防やエイジングケアの大きなテーマのひとつとして医療や美容業界で注目されています。
AGEsは肌老化をはじめ、血管の老化、脳や細胞のさまざまな老化に関与する物質です。
過剰な活性酸素により細胞が酸化することを「体がサビる」といわれるのに対し、タンパク質の糖化によって発生するAGEsは「体がコゲる」といわれ、活性酸素とならび恐れられている最大老化要因のひとつだといわれています。
老化の原因AGEsとは?
健康と美肌に欠かせないタンパク質
私たちの体は水分と脂肪分を除くと、ほとんどはタンパク質で構成されています。タンパク質は血液や皮膚、髪の毛、爪、骨、筋肉、内蔵、ホルモン、エネルギーなどをつくりだす生きていくうえで重要な成分です。
美肌のために欠かせないコラーゲンもタンパク質でできています。特に皮膚や髪の毛にコラーゲンは多く含まれているので、タンパク質の「質」による影響を受けやすくなります。
そのため、タンパク質の状態が劣化すれば、肌や体内の老化現象をひきおこしやすくなってしまいます。
また、体内でコラーゲンをつくるために必要な栄養素はビタミンC、鉄分、そしてタンパク質なのです。
糖化のメカニズム
糖分は私たち人間が生命維持活動をするうえで大切なエネルギー源ですが、意識してとらなくても野菜や果物、パンなどあらゆる食品に糖は含まれていて、 糖はタンパク質と結びつきやすい性質があります。
食事などから多くの糖が体内にとりこまれると、血糖値が急激に上がります。
この血液内の血糖が高い状態が長く続いてしまうと、糖とタンパク質が結びついて「AGE」「AGEs」と呼ばれる物質が生じやすくなってしまうのです。
パンケーキやお好み焼きなどを焼いたときに、こんがりとした焼き色がつく現象を想像するとわかりやすいです。 加熱によって糖とタンパク質が結びつくと、焦げや焼き色がつきます。
この現象をメイラード反応や糖化反応といいます。 糖とタンパク質を一緒に加熱することでタンパク質の構造が変化し、糖化したタンパク質から老化物質のAGEsが大量に発生してしまうのです。
同じことが私たちの体内でおこると、老化を加速させたり、さまざまな病気のリスクが高まります。
AGEsによる悪影響
タンパク質が糖化して劣化変性すると、体のサビを防ぐ役割の抗酸化酵素(SOD)の機能が低下し、老化が加速したり、免疫力が低下して病気になりやすくなります。
AGEsは日本語で終末糖化産物とも呼ばれ、一度体内で生成されると分解するのが難しいため、蓄積されていく老化物質だといわれています。
加齢とともに代謝機能などが低下し体のあちこちに滞り、細胞レベルで蓄積されやすくなります。
このAGEsの蓄積度合によって肌や髪に老化現象があらわれてきたり、血管や体内の老化が進んだり、さまざまな病気や寿命を縮める原因ともなりかねません。
【肌や髪の毛への影響】
肌や髪にAGEsが蓄積すると、肌の真皮層の大部分を構成しているタンパク質のエラスチンやコラーゲン繊維が劣化し、弾力が低下して、シミ・シワ・くすみ・たるみなどを招いたり、見た目年齢を老けさせてしまう原因ともなってしまいます。
髪の毛は、タンパク質のケラチンで構成されているので、糖化の影響によるダメージを受けやすいです。髪の毛のツヤが減ったり、抜け毛や白髪が目立ってきたら、AGEsが蓄積しているサインかもしれません。
AGEsの体内蓄積度は専門の機関で調べてもらうこともできます。
【血管・臓器・目・脳への影響】
「人は血管から老いる」といわれるように、血管にAGEsが蓄積すると、全身に必要な酸素や栄養素が十分にいきわたりにくくなり、適切な細胞の生まれ変わりが困難となってしまいます。
血管が老化すると、体中の各部位に必要な酸素と栄養が行きわたりにくくなり、動脈硬化をはじめ心筋梗塞、脳梗塞、がん、糖尿病、骨粗鬆症、変形性関節症などを引き起こす可能性が高くなります。
腎臓や肝機能が弱くなったり、免疫力の低下にもつながります。
また、白内障や網膜症はAGEsが大きな原因ともいわれています。 さらに脳内へAGEsがたまると、アルツハイマー病や神経難病のパーキンソン病との関わりが指摘されています。
タンパク質の老化を防ぐ抗糖化対策
40代以降は体の代謝機能が徐々に低下し、AGEsが蓄積されやすくなります。また、実年齢より見た目年齢が高い場合、体内にAGEsが多く溜まっている可能性も考えられます。
抗糖化対策として大きなポイントは「血糖値の急激な上昇を抑える」、「糖質を控える」、「抗酸化食品の積極的な摂取」などが大切です。食事方法と、生活習慣を見直して、抗糖化対策をしていきましょう。
高温で加熱するとAGEsの量が倍増
AGEsは熱を長時間加えるほど発生しやすくなります。「焼く」「揚げる」といった高温の調理法ではAGEsが大量に発生してしまいます。
食品中のAGEsを増加させないために生で食べられるものはできるだけ生のまま摂取するのがポイントです。
加熱の際は「茹でる」「蒸す」などの100度を超えない調理法であれば、揚げ物などの高温調理法にくらべるとAGEsの発生は抑えられやすくなります。
食べる順番に気をつける
食事の順番に気を付けるだけで、同じ食事でも血糖値の急上昇を抑えることができます。 まず最初に野菜や食物繊維の多いものから食べるベジタブルファーストを心がけることで、糖質の吸収がゆるやかになり、血糖値の急上昇が抑えられます。
最初に白米やパン、メインのお肉や魚などを摂ってしまうと血糖値が急上昇し、AGEsを増加させてしまいます。
食事の際の食べる順番は、野菜・海藻類(食物繊維の多いもの)⇒味噌汁・スープ類⇒メインの肉・魚など(タンパク質)⇒白米・パン(炭水化物)という順番を意識しましょう。
食後の運動で血糖値を下げる
食後15分以内に血糖値は上がりはじめ、1時間後ぐらいにピークに達します。そして血糖値を下げようとするインスリンの働きが足りないと高血糖状態が続きAGEsが生じやすくなります。
一方で、血糖は最も運動のエネルギー源になりやすいので、食後に運動をすることで、血糖値が下がりやすくなります。
しかし食後すぐでは消化活動に負担を与えてしまうので、食後30分から1時間後ぐらいに運動をするのが良いでしょう。
ウォーキング15~20分ほどや、エスカレーターを階段に変えるなど、日々継続して体を動かす習慣をつけていくことが大切です。血糖値を下げるための日常行動を見直してみましょう。
抗糖化・抗酸化食品の摂取
AGEsは酸化によって蓄積されやすいので、活性酸素を抑制するための酸化ストレス対策や、抗酸化食品を摂ることは抗糖化対策にもつながります。
糖質の多い食品を控え、ビタミンやポリフェノールなどの抗酸化食品を日々積極的にとりいれることが大切です。ストレスも大敵なのでこまめに解消したり、溜め込まない工夫をしていきましょう。
そして抗糖化作用が特に高いといわれているのが、なんと「ショウガ」です。 それを知ってから私はショウガを使った手作りドレッシングを作ったり、野菜スムージーに入れたり、積極的に摂り入れるようにしています。
ドレッシングは、ショウガとタマネギをすりおろし、純粋なEVオリーブ油、醤油、黒酢、レモンの搾り汁、黒糖or生ハチミツ、黒コショウ適量を混ぜあわせるだけです。
添加物や化学調味料が多く使われている市販のドレッシングと違い、家庭で手作りした方がビタミンや酵素の量が豊富でフレッシュなドレッシングを作ることができます。
緑黄色野菜や、海藻類などにかけていただきます。野菜はビタミンや酵素、栄養素が流出してしまうのを防ぐために、生でもとりいれるようにしています。
懸念されるほうれん草のシュウ酸などの体への影響は1度に生で1kg以上大量に毎日摂取した場合なので、心配するほどでは無いと考えています。
一方、トマトやニンジンなど加熱することでリコピンやβ-カロテンといった抗酸化成分が増加する野菜もありますので、生野菜と一緒に温野菜もバランスよくとりいれるようにしています。
温野菜を効果的にとり入れるポイントは、栄養素の流出を防ぐために短時間で蒸すという方法が良いです。
そして、食後にカモミールティーを飲むと、血糖値の上昇をゆるやかにし、安眠効果も望めます。
また、ベーコンやハム、サラミ、ウィンナーなどの加工食品には大量のAGEsが含まれているので頻繁に食べないように注意したい食品のひとつです。
揚げ物など高温加熱での調理を控え、焼き魚よりお刺身、ステーキよりしゃぶしゃぶにするなど調理方法を工夫して抗糖化対策をしていきましょう。
まとめ
- 糖質や加工食品を控える
- AGEsの多い食品を控える
- 酸化ストレス対策はAGEs対策
- 抗酸化食品の積極的な摂取
- 揚げ物など高温加熱の調理法や食品を控える
- 食べる順番を意識する(ベジファースト)
- 食後の適度な運動
- ストレス軽減
- 十分な睡眠、禁煙、紫外線対策
- 適量の飲酒は血糖値を下げる効果も
AGEsをためこまない食生活習慣で、病気を遠ざけ、老化をゆるやかにしていきましょう。