国産の食材は安全なイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、実は世界的にみても日本の野菜や果物、お茶には非常に多くの農薬が使われています。
農薬の種類の中には植物内部にまで浸透する農薬もあるので洗っても安心ではありません。自分や家族、大切な人の健康を守るために農作物の選び方を見直してみましょう。
日本は農薬大国
実は日本の農薬使用量は世界でもトップレベルの農薬大国なのです。
なぜそんなに農薬が必要なのでしょうか?その背景には欧米と違い日本は雨が多く病害虫が発生しやすい気候の特性であったり、食品の見栄えや美しさを重視する国民性も関係しているということ。
食品の残留農薬は発がん性や、催奇形性、生殖毒性、心疾患、記憶障害、神経障害、うつ、睡眠障害、発達障害、アレルギーなど、数多くの危険性が指摘されています。
農薬の使用が1番多いのは有機リン系農薬のグリホサート(除草剤)と、2番目に多いのがネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)です。
有機リン系グリホサート
猛毒な除草剤
有機リン系農薬のグリホサートは、除草剤耐性を持つ遺伝子組み換え作物に使われる世界的ベストセラー「ラウンドアップ」の有効成分としても有名です。
これを生み出したのは遺伝子組み換え食品の新しい市場をつくりだした巨大企業によるものです。グリホサートは除草剤耐性遺伝子組み換え作物以外の全ての植物を枯らすことができる強力な除草剤。
神経毒性
神経毒性のある農薬のため、体に入ると脳のアセチルコリン(神経伝達物質)の分解酵素を妨げ、筋肉の麻痺や神経の異常な興奮を引き起こし、重症化すると死に至ることもあります。
地下鉄サリン事件の「サリン」も有機リン系の化学物質なので、毒性強度の違いはありますが神経毒性としての仕組みは同じです。
残留農薬が基準値以下であっても慢性的な摂取で低体温、精神機能障害、記憶障害、学習障害、多動障害などが起こる可能性があるといわれています。
各国ではこれらの関連性が問題視され禁止されるようになりましたが、日本では反対に規制緩和が進み今もよく使われているのです。
日本は遺伝子組み換え大国?知らず知らずのうちに食べている不自然な食品
ネオニコチノイド系農薬
浸透残留する神経毒性
ネオニコチノイド系農薬は殺虫剤で、有機リン系と同様の神経毒性をもちます。ネオニコチノイド系農薬は野菜などの農作物を食べる害虫の中枢神経を狂わせて死に至らしめます。
ネオニコチノイド系農薬には浸透性、残効性、神経毒性という特徴があります。
- 「浸透性」・・・野菜や果物の根、茎、葉、果実など植物内に浸透し、洗っても落ちない。
- 「残効性」・・・慣行の薬剤よりも効果が長く続く残効性が高いため、減農薬につながるとして多用されています。そのため農作物や土壌に農薬成分が長くとどまることになります。
- 「神経毒性」・・・神経伝達物質アセチルコリンの受容体に結合し、アセチルコリンは分泌されたまま蓄積され、神経を異常な興奮状態にして昆虫や動物を死に至らしめます。
アセチルコリンは昆虫の脳の主要な神経伝達物質ですが、人間や野生動物、ほかの多くの生物にも存在しています。人間では自律神経をはじめ記憶や学習、認知機能、精神機能など中枢神経系で重要な働きをしています。
生体系や人への悪影響
ネオニコチノイド系農薬は当初、人間への毒性は低いといわれていましたが、ミツバチが世界各地で消えた問題に関わっていることがわかりました。
そして多くの人が研究を続けるうちに、最近では人間にも毒性があることが明らかになってきたのです。
ネオニコチノイド系農薬は、水溶性で植物内部に浸透することから浸透性農薬とも呼ばれることも。ミツバチを含む昆虫類、生態系、さらに人への影響が懸念されています。
EU、韓国、ブラジルなど世界各国で使用を禁止する国が相次いでいる中、日本ではネオニコチノイド系農薬の使用量が最近10年で3倍に増加。
これと並行するように発達障害が増加の一途をたどっていると報告されています。
残留農薬が多い食品に注意
日本は農薬規制を緩和
各国で規制が進む中、日本ではこれらの農薬問題への認識が低く、現時点で使用規制がない上、使用量の規制緩和がされるなど世界の流れに逆行しています。
欧米では有機リン系農薬の空中散布は禁止されていますが、日本はこれも野放しで、子供やミツバチなどが活動するところにも農薬が降りそそがれています。
脳の神経に悪影響
日本人の主食である稲にまでネオニコチノイド系農薬がドローンで空中散布されています。
空から降ってくる農薬はミツバチやトンボを激減させるだけでなく、大切な生態系を脅かし、人間の神経にも悪影響を及ぼす危険性を専門家が指摘しています。
神経系統に悪影響があるといっても、その場で症状があらわれるとは限らず、神経組織に慢性の害を及ぼし続け、ある程度の時間が経過してから病気になることもあります。
日本では1980年から2010年の30年で、パーキンソン病関連疾患は13.6倍に増加し、神経難病をはじめ原因不明の難病が激増しているということ。
輸入拒否されるほどの残留農薬
日本からの輸入品ではイチゴや緑茶などは残留農薬が基準値を上回るとして諸外国から輸入を拒否されているほどです。
主に残留農薬が多い食品はレタス、春菊、小松菜、ほうれん草などの葉物野菜、トマト、なす、ネギ、ブロッコリー、ピーマン、梅、イチゴ、ブドウ、サクランボ、桃など。
浸透した農薬は落とせない
ボウルの水に少量の重曹を溶かして洗うと、表面の農薬は少し落ちやすくなりますが、内部に浸透した分は洗い流すことはできません。
ネオニコチノイド系農薬は熱安定性もあり、147度~270度以下では加熱調理しても分解されないので、無農薬栽培の野菜を選んだ方が安全です。
そして気をつけたいのが緑茶。残留農薬基準値はほかの農作物とくらべて数100倍ともいわれています。茶葉は事前に洗う工程もないので、残留農薬をダイレクトに飲み込むことに。
すべてを汚染する農薬
農薬とはつまるところ所詮は毒薬です。害虫だけに効くという都合のよい農薬などあるはずもありません。
それを食べ続けることで体に蓄積され、ある時アレルギー症状を発症したり、神経系の異常、腸内環境の乱れなどさまざまな体への影響が問題視されています。
そして私たちを取り巻く水、空気、土壌、生態系、地球環境にも大きな負担がかかることになります。残留農薬の心配が無い無農薬、オーガニックな野菜や茶葉を選びたいです。
健康と自然環境を守る食の選択を
今の私たちの生活環境はさまざまな化学物質にさらされています。いろんな系統の農薬同士、ある農薬とほかの化学物質、合成洗剤、添加物など、関係のない化学成分同士が組み合わさることで目にはみえない相互作用を起こし、土壌や水を汚染したり、人間の体内に入ってから毒性を発揮する可能性もあります。
体に負担となる食品の摂取を減らして、自然と調和した持続可能な社会の実現のために、自然栽培・有機栽培で育てられた農作物を選んでいく必要があるのではないでしょうか。
自然栽培の食事が体内に蓄積した農薬や有害物質の排出力を高める