クルクミンの多様な健康効果に注目!脳の機能も活性化?

クルクミンといえばウコンに含まれている有効成分です。肝機能に良いというイメージが強いと思いますが、実は強力な抗酸化作用をもち、肝臓の働きを強化するほかさまざまな健康パワーがあることから世界で最も研究されてきた注目の食材なのです。

クルクミンについて

ウコン(ターメリック)の色素成分

クルクミンはカレー粉の主成分ウコン(ターメリック)に含まれる黄色の色素成分です。植物がもつ天然の有効成分フィトケミカル(色素や香り、辛味、苦みなど)で脂溶性ポリフェノールの一種です。

クルクミンは多くの薬効成分をもち、数千年も前からインドではスパイスや薬草として健康維持に活用されてきました。

クルクミンには病気や老化の原因となる活性酸素を抑制する高い抗酸化作用と抗炎症作用があり、エビデンスをもとにさまざまな病気の予防や治療、クルクミンの可能性についてあらためて科学的関心がよせられています。(11)

強力な抗酸化作用と感染症予防

クルクミンは腸に運ばれ代謝されるとテトラヒドロクルクミンというさらに強力な抗酸化物質に変化。クルクミンは体のエネルギー代謝を助け、強い解毒作用と胆汁の分泌を促進する作用によって、肝機能の強化、胃の健康維持に働きます。

そのほか、生活習慣病や風邪、ウィルス感染の予防、免疫力アップ、脳機能向上、花粉症、アレルギー症状の緩和、美肌効果にも期待。

また、インドのERA医科大による論文では、新型コロナウィルス対策にクルクミンは抗ウィルス作用の効果を期待できる成分として第2位にあげられています。(1)

クルクミンの健康効果

脳の健康をサポート

クルクミンには脳の機能を活性化させる働きがあります。これまで、脳の神経細胞は再生や増加させることができないと考えられてきましたが、海馬や特定の領域では新しい神経細胞を形成したり、増やしたりすることができるといわれています。

この主要な鍵をにぎっているのが脳の活動を支えているたんぱく質の一種、脳由来神経栄養因子のBDNF(Brain-derived neurotrophic factor)です。

 BDNFは中枢神経系に作用し、脳の神経細胞を成長させたり、脳細胞を増加させるのに不可欠な成長因子の中の、神経栄養因子のひとつ。(2)

クルクミンはBDNFのレベルを高め、神経細胞の生成や成長、増加を促し、脳機能の活性化を促進します。加齢にともなう神経細胞の変性を予防したり、記憶や学習機能の向上、認知機能の改善、アルツハイマー病、うつ病などの精神疾患にも効果が期待されています。

高齢のラットにクルクミン強化食を6週から12週間あたえた研究では、クルクミンを摂取していないグループとくらべて、海馬の細胞が増え、神経細胞や神経伝達機能が活性し、認知機能の改善に役立つとされています。(6)

神経難病パーキンソン病の補助的な栄養療法としても有望だといいます。(3,4)

パーキンソン病の動物モデルを対象とした研究では、脳のBDNFレベルを増加させることによって神経細胞を保護し、神経伝達ドーパミンや運動能力を改善しました。

病状の進行にともないその効果は低下しますが、パーキンソン病の補助療法とみなすことができるとされています。(5)

また、BDNFの向上に役立つ成分はクルクミンのほか、オメガ3脂肪酸(DHAなど)、抗酸化物質(ポリフェノールなど)、そして適度な運動が良いということ。

心疾患のリスク低下

心疾患は世界で第1位の死因といわれています。多くの場合、臓器そのものに原因があるのではなく、動脈硬化など血管の障害、衰えによって引き起こされます。

動脈硬化は血管壁の中にLDLコレステロール(悪玉)がたまって狭くなり、血液が十分に流れなくなってしまうことに。血液が心臓にいきわたらなくなると、狭心症や心筋梗塞などの原因となり、脳の血管でおきれば脳梗塞をはじめとする脳疾患、認知症などにつながる原因ともなります。

クルクミンは動脈硬化の原因となるLDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪を減らす作用があるため、心疾患に関わるリスクを減らすことにつながります。(10)

肝機能の向上

クルクミンを豊富に含んだウコンの薬効には二日酔い予防や肝機能の向上などに定評がありますね。

クルクミンは優れた解毒作用と胆汁分泌を促進する作用があり、肝臓に関わる障害を予防・改善し、肝機能を強化する働きがあります。

胆汁の分泌が促進されることによって、アルコールを分解する過程で生じるアセトアルデヒドの代謝が促進されるため、二日酔い予防をサポート。

また、ラットを使った研究ではクルクミンの強力な抗酸化作用と抗炎症作用によって、酸化ストレスを軽減し慢性的な肝障害から肝臓を保護・改善することが示されています。(7)

肥満の予防

クルクミンは内臓脂肪組織の酸化ストレスや炎症抑制作用があります。そのため脂肪の合成を抑制したり、内臓脂肪への脂肪の蓄積を防いで体脂肪の調節に役立つ可能性があります。(8,9)

またクルクミンは体内の脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌を促進。アディポネクチンは痩せホルモンとも呼ばれ、脂肪の代謝異常を抑制し、健康的な脂質バランスを調整します。

効率的な摂取方法

残念ながらクルクミンは肝臓と腸壁での代謝が早いため体内に吸収されにくいという性質が。そこでこの吸収率を高めるのに役立つのが黒胡椒です。黒胡椒には辛味のもととなるピぺリンという成分が含まれています。

ピぺリンにはさまざまな化合物のバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を向上させる働きがあります。

クルクミンとピぺリンを組み合わせた研究では、クルクミンのバイオアベイラビリティをなんと2,000%まで増加させることができ、体内への吸収率を高める効果が報告されています。(12)

また、クルクミンは脂溶性なので油と一緒にとりいれると吸収されやすくなります。

クルクミン含有量は一般的なカレーのルウに比べてカレー粉の方が多いので、ルウを使う場合はカレー粉をプラスすると良いでしょう。

 

【参考文献】

(1) researchsquare|Identification of Dietary Molecules as Therapeutic Agents to Combat COVID-19 Using Molecular Docking Studies

(2) Binder DK, Scharfman HE. Brain-derived neurotrophic factor. Growth Factors. 2004;22(3):123-131. doi:10.1080/08977190410001723308

(3) Ma XW, Guo RY. Dose-dependent effect of Curcuma longa for the treatment of Parkinson’s disease. Exp Ther Med. 2017;13(5):1799-1805. doi:10.3892/etm.2017.4225

(4) Flores G. Curcuma longa L. extract improves the cortical neural connectivity during the aging process. Neural Regen Res. 2017;12(6):875-880. doi:10.4103/1673-5374.208542

(5) Palasz E, Wysocka A, Gasiorowska A, Chalimoniuk M, Niewiadomski W, Niewiadomska G. BDNF as a Promising Therapeutic Agent in Parkinson’s Disease. Int J Mol Sci. 2020 Feb 10;21(3):1170. doi: 10.3390/ijms21031170. PMID: 32050617; PMCID: PMC7037114.

(6) Dong S, Zeng Q, Mitchell ES, et al. Curcumin enhances neurogenesis and cognition in aged rats: implications for transcriptional interactions related to growth and synaptic plasticity. PLoS One. 2012;7(2):e31211. doi:10.1371/journal.pone.0031211

(7) Lee HY, Kim SW, Lee GH, et al. Turmeric extract and its active compound, curcumin, protect against chronic CCl4-induced liver damage by enhancing antioxidation. BMC Complement Altern Med. 2016;16(1):316. Published 2016 Aug 26. doi:10.1186/s12906-016-1307-6

(8) Zhao Y, Chen B, Shen J, Wan L, Zhu Y, Yi T, Xiao Z. The Beneficial Effects of Quercetin, Curcumin, and Resveratrol in Obesity. Oxid Med Cell Longev. 2017;2017:1459497. doi: 10.1155/2017/1459497. Epub 2017 Aug 24. PMID: 29138673; PMCID: PMC5613708.

(9) Bradford PG. Curcumin and obesity. Biofactors. 2013 Jan-Feb;39(1):78-87. doi: 10.1002/biof.1074. Epub 2013 Jan 22. PMID: 23339049.

(10) Qin S, Huang L, Gong J, et al. Efficacy and safety of turmeric and curcumin in lowering blood lipid levels in patients with cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomized controlled trials. Nutr J. 2017;16(1):68. Published 2017 Oct 11. doi:10.1186/s12937-017-0293-y

(11) Linus Pauling Institute | Oregon State University

(12) Shoba G, Joy D, Joseph T, Majeed M, Rajendran R, Srinivas PS. Influence of piperine on the pharmacokinetics of curcumin in animals and human volunteers. Planta Med. 1998 May;64(4):353-6. doi: 10.1055/s-2006-957450. PMID: 9619120.

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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