ビオチンはビタミンB群の仲間です。食品からの栄養素を体に必要なエネルギーに変換するのを助け、髪の毛や皮膚、粘膜、爪の健康に大きく関わっているビタミンです。
ビオチンのはたらき
ビオチンは皮膚炎を予防することから発見されたビタミンB群の一種です。水溶性ビタミンで、ビタミンHとも呼ばれます。
体内ではたくさんの酵素が働いています。酵素は単独でも働きますが多くの酵素は補酵素が必要です。ビオチンは「カルボキシラーゼ」という酵素の補酵素として重要な役割を果たし、糖代謝や脂肪酸の合成を助けます。
食べ物からの糖質や脂質、たんぱく質の代謝を助けて体に必要なエネルギーを取り出し、髪の毛や皮膚、粘膜、爪、筋肉などの健康を支えています。
ビオチンは腸内細菌によっても合成されます。また、ヒスタミンの産生を抑制するので皮膚の炎症を抑え、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの予防にも有効だと考えられています。
ビオチンが不足すると
ビオチンは肉や魚、牛乳、卵、野菜など多くの食品に含まれているため通常の食生活をしていれば不足することは少ないですが、生卵には注意が必要です。
生卵の卵白に含まれている「アビジン」というたんぱく質が、胃や腸の中でビオチンと結びつくと、吸収が妨げられてしまいます。卵白を大量に食べなければ心配ないといわれていますが、加熱した卵なら大丈夫です。温泉卵など白身の部分だけ加熱した調理も良いでしょう。
ビオチンはアミノ酸からたんぱく質をつくる過程に関わっているため、不足すると疲労感や皮膚炎、抜け毛、白髪が増えるなど、皮膚や髪の症状としてあらわれます。
腸内細菌によっても合成されているため、抗生物質を長期間、服用していたり腸内環境が悪化しているとビオチンが不足しやすくなります。
また、ビオチンは水溶性ビタミンのため過剰分は体外に排泄されるので過剰症の心配はありません。
ビオチンが欠乏すると…
- 抜け毛や白髪の増加
- 憂うつ、無気力
- 食欲不振、吐き気
- 皮膚炎、湿疹など肌トラブル
- 疲れやすい、疲労感
ビオチンの健康効果
ビオチンはカルボキシラーゼを助ける補酵素として働きながら、糖や脂肪をエネルギーに変換しやすくし、疲労改善効果や血糖値の調節にも役立ちます。
アミノ酸の代謝にも関わっているため、コラーゲンなどのたんぱく質の合成をサポートし、皮膚や髪、粘膜などのターンオーバー(生まれ変わり)をサポートし、白髪や薄毛予防、皮膚の健康に効果を期待できます。
また、ビオチンはかゆみの原因物質ヒスタミンの産生を抑える働きがあるため、皮膚の炎症やアレルギー症状を抑制し、皮膚トラブルの改善に有効だと考えられています。
ビオチンは白髪や薄毛、肌荒れ、腸内細菌の状態が悪い人などにおすすめです。
ビオチンの健康作用
- 代謝を助け、疲労改善効果
- 髪や頭皮環境を整え、抜け毛や白髪の予防改善
- 肌の再生力を高め、肌トラブルの改善や美肌効果
- 血行促進、コラーゲンの生成をサポート
- 皮膚や粘膜、爪を強くする
- ヒスタミンを抑制し、アレルギーによる肌トラブルなどの改善
ビオチンで健康な皮膚と髪に
ビオチンを多く含む食品
- レバー
- 大豆製品
- イワシ
- サーモン
- 牛乳
- 卵黄
- ナッツ類
- サツマイモ
- アボカド
- ブロッコリー
- ニンジン
- バナナ
ビオチンの推奨摂取量は1日あたり(青年および成人)30~100マイクログラム(mcg)です。
ビオチンはさまざまな食品に含まれているため不足する心配はまれですが、偏った食生活や抗生物質の長期服用、腸内環境の悪い方などは積極的な摂取が髪や皮膚の健康に大切です。
ビタミンAやビタミンB群、ナイアシンなども髪や皮膚の健康に必要なため、ビオチンとあわせて摂取すると効率良く体内で作用します。
薄毛や白髪が気になりはじめた方は、意識的にビオチンをとってみてはいかがでしょうか。