お酢にはさまざまな健康効果がある調味料のひとつとして知られていますが、その中でも黒酢には通常のお酢の数倍ものパワーを秘めています。
脂肪を燃焼しダイエット効果や血液サラサラ効果、疲労回復や二日酔いの回復を早めてくれるなど、元気な毎日を過ごすために黒酢パワーを活用してみましょう。
お酢の種類
お酢の種類は10種類以上あるといわれ大きく分けると2種類に分類されます。砂糖やうまみ調味料などを加え人工的に作られた「合成酢」と、農産物(穀物、果実、野菜)やハチミツ、アルコール、砂糖などを原料として酢酸発酵させた「醸造酢」です。
醸造酢は原料によって分類され成分や風味が異なってきます。私たちが日常使用している家庭用の多くは醸造酢に分類されます。
穀物酢
米、小麦、とうもろこし、酒粕などを原料として作られたいわゆる一般的なお酢。他のお酢と比べて酸味が強くないので、和洋中と料理の種類は問わず幅広い用途で活躍しやすいお酢です。
米酢
米を主原料として作られたお酢で、アルコールを添加せず米だけで作ったものは純米酢と呼ばれています。米の旨味や甘み、風味が生きたお酢でまろやかな味わいです。 米が原料であることから酢飯や酢の物との相性が良く、寿司職人も米酢を使っていることが多いそうです。
黒酢
米や玄米を原料とし、長期間熟成発酵させて作られます。熟成された黒酢は琥珀色をしていて、他のお酢と比べてコクや風味が豊かで、ツンとした酸味ではなくまろやかな味わいです。
長期間の熟成・発酵により、ビタミン、ミネラル、アミノ酸が豊富に含まれています。黒酢に含まれているアミノ酸含有量は穀物酢のなんと8倍もあるのです。
黒酢を長期熟成させることで生成される「メラノイジン」という黒褐色のもととなる成分に強力な抗酸化作用があり、色が濃いほど優れているということ。
味噌なども色が濃いほどメラノイジンが豊富に含まれています。 新陳代謝を高め疲労回復やアンチエイジング、がん予防、生活習慣病予防に特に効果があるといわれています。
まろやかな酸味と深いコクは隠し味となり料理全般に使えます。
リンゴ酢
リンゴを原料として作られたお酢。カリウムが豊富で高血圧やむくみの改善に効果が期待できます。酸味が控えめでフルーティーで爽やかな味わい。 クセが無く、ドレッシングやマリネ、デザートなどと相性が良く、炭酸水で割ったり飲むお酢としても楽しめます。
ワインビネガー
ブドウを原料として作られたお酢で、赤ワインビネガーや白ワインビネガーがあります。 赤ワインビネガーは赤ワイン同様のアンチエイジング効果のあるポリフェノールやアントシアニンを含み、お肉料理に合います。
白ワインビネガーは白ワイン同様の殺菌効果やデトックス効果があり、ドレッシングやマリネ、魚料理と相性が良いです。
バルサミコ酢
ブドウを原料として作られたお酢。ワインビネガーとの違いはバルサミコ酢は長期間熟成させて作られているということです。 イタリアで発祥したバルサミコ酢は熟成期間によってワインのように格付けがされ、中には25年以上熟成された希少で高価なバルサミコ酢もあります。
長期間の熟成により栄養価が高くなり、濃厚で芳醇な甘み、酸味が複雑にバランスをとっている高級なお酢。少し煮詰めるだけでコクのあるソースができ、肉料理にも魚料理にも合う逸品です。
酢の防腐・抗菌作用
お酢には防腐・抗菌作用があります。そのため食材をお酢につけておくことでほとんどの菌が死滅するといわれています。 マヨネーズが卵を含んでいるのに長持ちするのはお酢の抗菌作用で細菌の増殖を防いでくれているからです。薄めた酢水で野菜や魚を洗うと雑菌の繁殖を防ぎ抗菌効果があります。
黒酢の健康効果
長期間、熟成・発酵して作られた黒酢は芳醇な香りや、まろやかな酸味とコクがあり、ビタミンやミネラル、クエン酸、アミノ酸が豊富に含まれています。その高い栄養価はアンチエイジングや健康を考えるうえで欠かせない成分です。
疲労回復スタミナアップ
黒酢のアミノ酸やクエン酸は、スタミナアップや疲労回復に効果的。必須アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、バリン)が運動後の疲労回復を早め、運動前に摂取すれば持久力アップに効果があるとされています。
黒酢に含まれる酢酸は体内に入るとクエン酸に変化します。クエン酸は「クエン酸サイクル」という体内の代謝サイクルに作用し、スタミナを増強して疲労の回復を早めてくれる働きがあります。
レモンや梅干しといった他のクエン酸よりも、黒酢の酢酸から作られるクエン酸は豊富で良質であるために疲労回復効果がより高いといわれています。
美肌とアンチエイジング
黒酢にはカルシウム、マグネシウム、カリウムなど豊富なミネラルと、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12などのビタミンが含まれています。
これらのビタミンやミネラルは健やかな肌や髪の生成には不可欠で、細胞の再生や代謝を促進。 そしてお酢の中でも黒酢には特に高い抗酸化作用があります。
黒酢を長期熟成させることで生成される「メラノイジン」という黒褐色のもととなる成分に強力な抗酸化作用が。
抗酸化とは身体をさびつかせ老化や病気の原因となる活性酸素を抑制してくれる働きで、こまめに摂取することで老化や病気の予防、改善につながります。
高血圧や生活習慣病予防
黒酢に豊富なアミノ酸には硬くなった赤血球をしなやかにしてくれる働きがあります。血液の流れが滞りなく流れるようになれば、足先や体の末端まで十分な血液がいきわたり冷え性の改善にも役立ちます。
血液の流れがスムーズに全身に巡れば、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病の予防、高血圧やコレステロール値の改善など様々な生活習慣病の予防改善にも効果が期待できます。
腸内環境を整える
身体の免疫機能と腸は深く関わっています。全身の免疫細胞の約70%以上が腸に存在しているため、腸の免疫機能は全身の健康や美容に影響を及ぼす要であるといえます。
黒酢は腸の悪玉菌を減らし、黒酢のグルコン酸が善玉菌を増やしてくれる作用があります。腸内細菌のバランスが改善されることで腸内環境が整えられ便秘解消、免疫力アップ、アンチエイジング、アレルギー症状の緩和にもつながります。
脳の神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンもその前駆体は腸でつくられています。脳の神経難病であるパーキンソン病や、うつ症状も神経伝達物質がスムーズに行われることで改善が期待できます。
ある動物実験では腸内細菌を増やしたらセロトニンやドーパミンの分泌量が増加し、内向的な性格から活動的で積極的な性格に変わったという研究データもあるほど。
腸内環境によって性格まで左右される可能性があるなんて想像したこともありませんでした。 腸がキレイな人は、見た目年齢も若々しく、病気になりにくく、エネルギーがあって元気だといわれています。
黒酢の活用方法
黒酢で簡単手作りスキンケア
黒酢はお肌に栄養を与えながら角質を柔らかくして皮膚のターンオーバーを正常にするピーリング効果があります。
500㎎のミネラルウォーターに小さじ1杯程度の黒酢を混ぜるだけで簡単黒酢化粧水が作れます。 お風呂上りにプレ化粧水として顔や体につけていきます。
そのあとに通常のスキンケアをすると浸透力がアップして、いつもよりお肌が柔らかく、クスミがとれ明るい素肌に。肌が弱い方は事前にパッチテストをするなど注意が必要です。
手作りスキンケアで選ぶ水も重要
お水の種類は自分の肌や体に合ったものを選ぶこともスキンケアでは大切なこと。私は昔ニューヨークへ留学をしていた頃に、滞在5日目頃から特別なスキンケア等何もしていないのに肌がきれいになっていくのを感じました。
吹き出物や肌トラブルは消え、毛穴が小さくキメが細かくなってファンデーションも化粧水も要らないくらい驚くほど肌が健康になった経験から水の重要性を実感したのです。
日本と比べ欧米の水質はマグネシウムなどが豊富な硬水というイメージだったのですが、実は日本よりもニューヨークの水は超軟水だったのです。
日本の水は硬度50~60であるのに対して、ニューヨークの水の硬度は20~30。 個人差がありますが私の肌には軟水があっているということに気づき、手作り化粧水などに使用する場合は硬度30以下の超軟水を選ぶようにしています。
また、日本の水道水は世界的にみても安心安全といわれている一方、その分高濃度の塩素が含まれています。塩素は肌のたんぱく質を分解し、乾燥肌などの原因となりますので浄水器や塩素除去機能のあるシャワーヘッドに変えるだけでも肌や髪への刺激が低減。
簡単黒酢キャベツ
キャベツの主な栄養素
キャベツはガン予防に有効性のある野菜類としてアメリカ国立がん研究所が作成した「デザイナーフーズピラミッド」の上位に位置するほどキャベツの栄養素は優れています。
キャベツの主な栄養成分はビタミンK、ビタミンC、カリウム、カルシウム、β-カロテン、食物繊維など。 キャベジンの由来でもあるビタミンUは胃の粘膜を保護し天然の胃腸薬ともいえます。
ビタミンKは血液凝固作用で傷の治りを早め、ビタミンCはキャベツに豊富に含まれていて活性酸素を抑制。 他にもキャベツに含まれているミネラルのボロン(ホウ素)は女性ホルモンを活性化しバストアップ効果があるともいわれています。
さらにアブラナ科の野菜であるキャベツは切ったり刻んだりすることでイソチオシアネートという成分が生成。イソチオシアネートは免疫力を高め、代謝促進、炎症を抑え、ガン予防に有効な成分の一つとして注目を集めています。
一方で、キャベツの栄養素は熱に弱いので、加熱せずに生のまま摂り入れることがおすすめです。
作り方
黒酢キャベツの作り方は、適量のキャベツを刻み、空き瓶やジッパー袋に入れて、キャベツがひたひたになるように黒酢を入れます。
お好みで、黒糖やハチミツ、塩昆布などをプラスして。
一晩冷蔵庫に寝かせれば食べごろです。黒酢の殺菌防腐作用で、冷蔵保存で2週間は持ちます。
黒酢玉ねぎドレッシング
玉ねぎの主な栄養素
玉ねぎの健康効果として高い硫黄化合物のアリシンがあります。アリシンはニンニクやネギなどユリ科の植物に含まれる刺激臭や辛み成分で「硫化アリル」、「アリル化合物」とも呼ばれます。
アリシンは切ったり擦りおろしたりすることで生成され、ビタミンB1の吸収を高め疲労回復、代謝促進、免疫力アップ、がん予防、抗酸化作用などがあります。
アリシンはビタミンB1と結びつくことで「アリチアミン」という物質に変化。 アリチアミンはビタミンB1の吸収率を高め、体内で長く持続する作用があるので疲労回復やスタミナ、代謝アップに効果的なのです。
元気ハツラツ栄養剤として有名な「アリナミン」もこの性質を利用したそう。ビタミンB1を含む豚肉やうなぎと一緒に玉ねぎを取り入れると良いですね。
他にも玉ねぎに含まれるケルセチンは血流をサラサラにしてくれる作用があり動脈硬化や血栓症予防、高血圧やコレステロール値の改善に働きかけます。
玉ねぎと黒酢の相乗効果により、体内でのビタミンや栄養素の吸収が高まり、疲労回復効果やダイエット効果も高まります。
作り方
材料・・・玉ねぎ1個、黒酢150cc、醤油100cc、オリーブオイル100cc、黒糖大さじ1杯
玉ねぎはみじん切りか擦りおろして、ドレッシングを入れるための瓶や容器に玉ねぎと他の材料を入れて混ぜ合わせます。
冷蔵保存で、一晩以上寝かせれば玉ねぎの辛みがまろやかになり味が染みわたります。
ポイントはオリーブオイルは偽装オリーブオイルが沢山出回っているので、上質なエクストラバージンオリーブオイルを使用すること。
亜麻仁油などは酸化しやすくデリケートなので作り置きには向いていません。ドレッシング作りの工程では加えずに食べる直前にドレッシングと亜麻仁油を混ぜ合わせると良いでしょう。
黒酢の注意点
黒酢に限らず酢に含まれている酢酸は「酸」なので物を溶かす働きがあります。原液は歯のエナメル質を溶かしたり、胃の粘膜を荒らしてしまう恐れがあるので必ず薄めて使用し、また一度に大量に摂取しないように注意しましょう。
黒酢パワーで健康と美肌に
我が家では生野菜サラダに黒酢とオリーブオイル、天然塩をかけて食べています。黒酢は現代人に不足しがちなミネラルの吸収を促進する働きもあるので昆布だしと一緒に毎日摂取するようにしています。
バスタイムでは桶のお湯にスプーン1杯程度の黒酢をプラスして上がり湯に全身へ回しかけると、皮膚を弱酸性に保ち乾燥肌を予防。食生活やスキンケアに黒酢パワーを摂り入れて、ナチュラルな健康と美肌づくりをサポートしていきたいですね。