エラグ酸はザクロ、イチゴ、ラズベリーなどの多くの野菜や果物に含まれているポリフェノールの一種です。エラグ酸には強力な抗酸化作用や抗炎症作用があり、活性酸素による酸化ストレスの害から細胞を保護し、さまざまな健康機能性や老化の抑制に効果が期待されています。
エラグ酸はフィトケミカル
エラグ酸は抗酸化ポリフェノール物質の一種で、ザクロ、イチゴ、ブラックベリー、ラズベリー、クルミなどベリー類に多く含まれています。
ポリフェノールは植物由来の化学物質フィトケミカルです。フィトケミカルは野菜や果物、豆類、いも類、海藻などの植物に含まれ、植物が紫外線や有害物質、害虫などの外敵から自身を守るために自らつくり出す天然の抗酸化物質なのです。
フィトケミカルは植物性食品の色素や香り、苦み、辛み成分として含まれ、その種類は数千から数万種類ともいわれています。
このフィトケミカルの成分にはポリフェノールやカロテノイド、硫黄化合物などがあり、エラグ酸はポリフェノールに分類されます。
フィトケミカルの中でもエラグ酸は強力な抗酸化作用をもち、代謝を促進して免疫力の強化、脳機能の活性、美肌効果、老化予防といった、健康面やエイジングケアにも嬉しい効果が期待されています。
エラグ酸の健康効果
高抗酸化力で病気や老化を予防
私たちの体には病気や老化の大きな原因となる過剰な活性酸素の害から生体を守るための抗酸化力が備わっていますが、加齢とともにその働きは低下してしまいます。
全身の細胞は数十兆個あるといわれ、一部の細胞を除く多くの細胞は日々細胞分裂を繰り返し、傷ついたり古い細胞は新しい細胞に生まれ変わっています。
細胞の生まれ変わりがスムーズに行われるためには細胞の設計図となるDNAを正確にコピーすること。ですが、酸化ストレス(過剰な活性酸素)の影響などで、細胞分裂の能力が低下したり、DNAが損傷してミスコピーがおきたりします。
それが血管でおきれば動脈硬化や高血圧など生活習慣病の原因となったり、肌細胞でおきればシワやたるみなどの老化を加速させてしまう原因に。
エラグ酸はフィトケミカルの中でも強力な抗酸化作用をもっています。エラグ酸のような高抗酸化力のある食品を継続的にとりいれることで年齢を重ねても酸化ストレスに強くなり、細胞の損傷を防いでさまざまな病気や老化の予防に役立つ可能性があるといわれています。(1,2)
抗炎症作用で美肌効果
エラグ酸には抗酸化力とともに抗炎症作用もあります。光老化は紫外線を長年浴び続けることによる炎症によって肌のシワやシミといった肌老化が引き起こされる大きな原因のひとつ。
紫外線にさらされたマウスと、人の皮膚細胞のコラーゲンと炎症反応に対するエラグ酸の保護効果を調べた研究では、エラグ酸が紫外線によって引き起こされるコラーゲンの減少と炎症反応を抑制したということです。
光老化につながる慢性的な紫外線のダメージから皮膚のシワや炎症を予防し、コラーゲンの生成を保ち美肌に効果的な可能性があるということですね。(3)
肥満や糖尿病を予防
脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインのレジスチンは肥満や糖尿病との関連性があるホルモンだと考えられています。
ザクロから抽出したエラグ酸を使用した動物研究では、脂肪細胞内のレジスチンの分泌を抑制することがわかり、肥満や糖尿病、炎症のリスクを減らす可能性があるといわれます。(4)
エラグ酸が豊富な食品で酸化ストレスに負けない体に
- ザクロ
- イチゴ
- ブラックベリー
- ラズベリー
- クランベリー
- クルミ
- ユーカリ
- ゲンノショウコ(薬草)
エラグ酸は特にラズベリーに多く含まれています。エラグ酸をはじめポリフェノールの抗酸化作用はおよそ2~3時間ほどなので、毎日の食事でこまめにとりいれて酸化ストレスに強い健康で若々しい体づくりをしていきたいですね。
【参考文献】
(1) Aiyer HS, Kichambare S, Gupta RC. Prevention of oxidative DNA damage by bioactive berry components. Nutr Cancer. 2008;60 Suppl 1:36-42. doi: 10.1080/01635580802398448. PMID: 19003579.
(2) Aiyer HS, Vadhanam MV, Stoyanova R, Caprio GD, Clapper ML, Gupta RC. Dietary berries and ellagic acid prevent oxidative DNA damage and modulate expression of DNA repair genes. Int J Mol Sci. 2008 Mar;9(3):327-41. doi: 10.3390/ijms9030327. Epub 2008 Mar 12. PMID: 19325752; PMCID: PMC2635667.
(3) Bae JY, Choi JS, Kang SW, Lee YJ, Park J, Kang YH. Dietary compound ellagic acid alleviates skin wrinkle and inflammation induced by UV-B irradiation. Exp Dermatol. 2010 Aug;19(8):e182-90. doi: 10.1111/j.1600-0625.2009.01044.x. PMID: 20113347.