フラボノイドはポリフェノールの一種で、優れた抗酸化作用をもつことが特徴です。フラボノイドは植物の葉や茎の表皮細胞に含まれ、紫外線などの害から身を守るための天然の抗酸化物質です。
フラボノイドについて
フラボノイドは多くの野菜や果物に含まれている天然の抗酸化物質でポリフェノールの仲間に分類されます。ポリフェノールとは動物には存在しない植物特有の成分で、光合成によってできる植物の色素や苦み、渋みをつくる成分です。
紫外線などの害から身をまもるために植物自身がつくりだす自然の抗酸化物質で、強力な抗酸化作用をもっています。
これらの成分を含む食品などを私たち人間が摂りこむと、私たちも二次的に抗酸化物質の恩恵を受けることができ、抗酸化作用や抗炎症作用の働きによって病気の予防改善、免疫力アップ、アンチエイジング、アレルギー対策などに役立つことがわかっています。
ポリフェノールは大きく分けると色素成分のフラボノイド系と、色素以外の成分であるフェノール酸系にわけられます。
フラボノイドは植物の葉や茎、幹、種子、花などに含まれており、その種類はおよそ4000種類以上ともいわれています。
フラボノイド系に分類されるポリフェノールにはアントシアニン、フラボノール、フラバノール、フラボン、フラバノン、イソフラボンなどがあります。
フラボノイドを含む食品と栄養
アントシアニン
フラボノイドのアントシアニン類はプルーン、ブルーベリー、ブドウ、赤ワイン、クランベリー、イチゴなどのベリー類に含まれています。赤、青、紫色の自然に生成された色素で、ベリー類の外皮に多く含まれています。
アントシアニンは抗酸化作用が強く、毛細血管を強化して血流を改善し、動脈硬化予防やアンチエイジング、眼精疲労を緩和する働きがあります。
フラボノール
フラボノールは野菜や果物に多く存在するフラボノイドで、たまねぎに含まれる淡黄色の色素成分「ケルセチン」やそばに含まれる「ルチン」が代表的な成分です。
ケルセチンやルチンはたまねぎ、そばのほか、ほうれん草、ブロッコリー、りんご、赤ワイン、カカオ、ケール、柑橘類などに含まれています。
高い抗酸化作用と抗炎症作用をもち、血小板の凝集を抑制して心臓病の予防や血管の強化、LDLコレステロール(悪玉)の酸化防止、アレルギー症状を抑制する作用などがあります。
フラバノール
フラバノール類にはお茶の渋み成分として知られているカテキンやエピカテキンなど数種類のカテキン類が含まれています。
カテキンやエピカテキンはカカオや緑茶に多く含まれるほか、紅茶やウーロン茶などにも含まれているフラボノイドです。
これらの成分は強力な抗酸化作用や抗がん作用、抗アレルギー作用、殺菌作用をもち、高血圧やコレステロール値を調整したり、生活習慣病の予防、免疫力の向上に効果が期待できます。
コロナ対策と免疫力向上に役立つ緑茶のエピガロカテキンガレートとは
フラボン
フラボン類はセロリ、ピーマン、パセリ、カモミール、トウガラシなどに含まれています。これらの食品に含まれる代表的な成分の「アピゲニン」や「ルテオリン」には抗酸化作用、抗がん作用、抗炎症作用、高血圧抑制、血管拡張作用などがあります。
フラバノン
フラバノン類の「ヘスペリジン」はミカンやオレンジ、グレープフルーツ、レモンなど柑橘類の皮に多く含まれる成分で、毛細血管を強化し血流の改善、抗アレルギー作用、ビタミンCの吸収を助けてコラーゲンの合成を促進するなどの働きがあります。
イソフラボン
フラボノイドのイソフラボン類は大豆や大豆製品、レッドクローバーなどに含まれます。女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをもち、更年期障害を改善したり、骨粗しょう症の予防、女性ホルモンのバランスをサポートするなどの可能性があるといわれています。
フラボノイドの健康機能性
フラボノイドには多種多様の種類が存在しますが、すべてのフラボノイドには抗酸化作用があり、さまざまな健康、美容に嬉しい作用に期待できます。
フラボノイドは細胞の生まれ変わりを活性化し、慢性的な炎症を抑制して免疫力を高めたり、体に酸化ストレスを引き起こすフリーラジカルと戦うのに役立ちます。
フラボノイドが豊富な食品を定期的に摂取した研究では、心血管疾患、がん、神経変性疾患など多くの疾患の発症率が低いことが示されています。そしてフラボノイドが健康機能性に有益な役割を果たすエビデンスは増え続けているということです。(1)(2)
【参考文献】
(1) Kozłowska A, Szostak-Wegierek D. Flavonoids–food sources and health benefits. Rocz Panstw Zakl Hig. 2014;65(2):79-85. PMID: 25272572.