健康とパフォーマンスを高める血管拡張物質「一酸化窒素NO」とは

血管の役割は毛細血管をはじめ全身の隅々まで血液を巡らせて、酸素や栄養を届け、老廃物を回収します。

若々しい血管はしなやかで、血液がスムーズに流れ、全身の若さや健康を保ちますが、血管は加齢やストレス過多、偏った食生活、運動不足などによって老化してしまいます。

血管の健康に必要な一酸化窒素NO

一酸化窒素(NO)とは酸素と窒素からなる無機化合物の一種で、血管から血管を拡張する成分をだし、自分自身の機能を調節しています。血管拡張作用や血小板凝縮抑制作用、抗酸化作用などの働きがあります。

血管の一番内側にある血管内皮細胞から一酸化窒素が血液中に産生されるため、血管を拡張して、血流を改善する作用があります。血管の内側の筋肉を弛緩させ、それによって血管を広げて血液循環を高めます。

この一酸化窒素が不足すると血管は硬くなり、反対に十分に産生ができていれば血管がしなやかな状態になり、若く保つことができるといわれています。

血流が改善されることで新陳代謝が高まり、身体のあらゆる器官に十分な酸素や栄養を巡らせることができ、コレステロールの沈着を防いだり、動脈硬化をはじめさまざまな病気の予防・改善に役立ちます。

また、血管の老化は肌の老化とも関わっているため、血管をしなやかに若く保つことは、肌の代謝活性やコラーゲンの生成、保湿、シミ予防など美肌効果やアンチエイジングにも大切です。

一酸化窒素NOを産生するために

アルギニン

体内で一酸化窒素(NO)を産生するために役立つ主な成分にアミノ酸のアルギニンとシトルリンがあります。

アルギニンはたんぱく質を構成するアミノ酸の一種で大人の体内で合成することができます。一方アルギニンは子供の体内では必要量が合成できない必須アミノ酸となります。

アルギニンは血管内皮で酵素反応(NOS)によって一酸化窒素を産生し、拡散します。アルギニンは成長ホルモンの合成にも関与しているため、脂肪の代謝を促したり、筋肉を強化する作用があり、スポーツをしている人達の間ではサプリメント等栄養補助剤として活用されていることが多い栄養素です。

食品ではアミノ酸はたんぱく質の構成要素なので、肉、魚、大豆製品、ナッツ類など良質なたんぱく質の摂取を心がけると良いでしょう。

シトルリン

シトルリンはスイカから発見された遊離アミノ酸の一種で、スーパーアミノ酸と呼ばれるほど高い機能性があります。シトルリンは体内でアルギニンに変換され一酸化窒素(NO)を産生します。

シトルリンによって一酸化窒素産生が活性化すると血管拡張作用によって血流が促進され、新陳代謝が活性し、動脈硬化の抑制、血圧低下、免疫機能の向上、美肌効果などがあります。

そして体内の余分な水分や老廃物が排出されやすくなるためむくみの予防改善や、疲労原因物質のアンモニアなどをオルニチン回路によって無毒な尿素へ分解し、疲労改善効果、運動パフォーマンスの向上など様々な健康効果に期待されています。

アルギニンとシトルリンはどちらも一酸化窒素を産生しますが、アルギニンを単体で補給するよりもシトルリンと一緒に摂取した方が一酸化窒素の産生がより高まると考えられています。

実際に男子大学サッカー選手においてアルギニンとシトルリンの同時摂取による研究では運動パフォーマンスを改善することが確認されています。

食品ではシトルリンはスイカから発見された栄養素であることからスイカに多く含まれています。そして一酸化窒素の産生を強化するアルギニンやシトルリンを活用した「一酸化窒素ブースター」として様々な栄養補助食品(サプリメント)があります。

抗酸化物質

一酸化窒素は血管から分泌されたあと、数秒しか持たない不安定な分子なので常に補充する必要があります。一酸化窒素の分解を抑え、安定性を高めるために必要なのが抗酸化物質です。

アルギニンやシトルリンを抗酸化物質と一緒に摂取することで、一酸化窒素の分解を減らし、体内の一酸化窒素レベルを保つのに役立ちます。

主な抗酸化物質

  • ビタミンC(赤ピーマン、キウイ、柑橘類、カムカムなど)
  • ビタミンE(かぼちゃ、うなぎ、ナッツ類)
  • ポリフェノール(アントシアニン、レスベラトロール、カテキン、ルチンなど)
  • カロテノイド(リコピン、ベータカロテン、アスタキサンチン、ルテインなど)

定期的な運動

運動をすると血液循環が良くなり、血管の内側を覆う内皮細胞が活性化され一酸化窒素が生成されます。運動によって一酸化窒素を生成する身体的な能力を高めることにより、内皮細胞と血管の健康を保ちます。

運動はウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と、筋トレなどの無酸素運動を組み合わせたり、楽しみながら長期間継続できる方法で行っていくことが大切です。

定期的な運動によって、基礎代謝が高まり内皮機能が改善され、一酸化窒素の自然な産生をサポートします。

まとめ

アミノ酸は体内で合成できない「必須アミノ酸」と、合成できる「非必須アミノ酸」に分類されます。成人ではアルギニンやシトルリンは必須アミノ酸ではありませんが、一酸化窒素の産生には欠かせないため積極的に摂取していきたいアミノ酸のひとつです。

一酸化窒素の分解を抑える抗酸化食品と定期的な運動、一酸化窒素産生をブーストする栄養補助食品などをとりいれて、健康や若さを支える血管を強く、しなやかに維持していきましょう。

 

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【参考文献】

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  • Suzuki I, Sakuraba K, Horiike T, et al. A combination of oral L-citrulline and L-arginine improved 10-min full-power cycling test performance in male collegiate soccer players: a randomized crossover trial. Eur J Appl Physiol. 2019;119(5):1075-1084. doi:10.1007/s00421-019-04097-7

 

 

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病を患っています。 これまでの経験から栄養学、免疫学などを学び、難病の進行抑制、エイジング対策に情熱を注いでいます。
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