フィトエストロゲンで変化しやすい女性ホルモンバランスをサポート

ホルモンは脳下垂体や副腎、卵巣、すい臓、甲状腺、消化管など体の中で100種類以上ものホルモンがつくられています。それぞれのホルモンは体のさまざまな働きを調整する役割を担っています。

その中で女性ホルモンは女性の美しい肌や髪をつくったり、骨の健康や精神面においてもさまざまな影響を及ぼす重要なホルモンです。

変化しやすい女性ホルモン

エストロゲンとプロゲステロン

女性ホルモンは卵巣から分泌されるホルモンでエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。

エストロゲンは生理後のおよそ2週間に働き、女性らしい体をつくるホルモンで、コラーゲンの産生を促しお肌や髪を美しくしたり、自律神経の安定、脳、骨、血管などの健康を保ちます。

プロゲステロンは排卵後から生理までの約2週間に分泌され、妊娠を維持させる状態に働くため体温を上げ、水分や栄養素をためこみやすく作用します。そのため生理前になると食欲が増進して、むくみやすくなったり、便秘がちに。また皮脂分泌が増え吹き出物ができやすくなったりします。

一方女性の美しさをサポートするエストロゲンですが多ければ良いということではなく、分泌が多すぎてしまうとプロゲステロンとのバランスが崩れ、婦人科系の疾患リスクが高まる可能性も。エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は多すぎず、少なすぎず、適切なバランスが卵巣の健康をまもり、お肌や髪の美しさ、若さを保つことにつながるのですね。

女性ホルモンと自律神経は密接な関係

女性ホルモンは脳の視床下部から卵巣に指令がおくられることで分泌されているのですが、この視床下部は自律神経のコントロールもしているため、ストレスの影響を受けやすくなります。

過度なストレスや不規則な生活習慣などによって自律神経のバランスが乱れると、若くても女性ホルモンの分泌が適切に機能しなくなったり、ホルモンバランスが悪くなって生理不順やPMS(月経前症候群)などさまざまな症状の原因となることがあります。

そして女性ホルモンは年齢とともに分泌量が変化し、30代後半から徐々に減り、40代後半では激減し、更年期障害といった不調があらわれやすくなります。

卵巣は老化しやすい臓器で、特にエストロゲンの分泌が急激に低下してしまうと更年期障害を重くしてしまうといわれています。そのためできるだけ卵巣機能の若さを保ち、老化をゆるやかにしていくことが重要に。

天然に存在するフィトケミカル(フィト→植物、ケミカル→化学物質)のフィト(植物性)エストロゲンには、体内でエストロゲンと似た働きをもちます。

フィトエストロゲンは、エストロゲン作用と抗エストロゲン作用を併せもち、不足しているエストロゲンを補う働きと、過剰に分泌される場合はエストロゲンを抑制し、体内のエストロゲンレベルを調整する作用があります。

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フィトエストロゲンが豊富な食品

大豆食品のイソフラボン

豆腐、納豆、豆乳、枝豆、油揚げ、味噌といった大豆製品に多く含まれるイソフラボンはポリフェノールの一種で、大豆イソフラボンとして知られています。

大豆イソフラボンにはビタミン、ミネラル、たんぱく質、抗酸化作用と天然のフィトエストロゲンが豊富に含まれています。

大豆イソフラボンは体内でエストロゲンのように働く作用があるため、体内の血中エストロゲンレベルを整えてくれる効果に期待できます。

また、大豆イソフラボンは腸内のエクオール産生菌によってエクオールという成分に変換されることでエストロゲンのような働きが高まると考えられています。

一方、この産生菌を持っているのは日本人ではおよそ2人に1人だといわれていますが、納豆など大豆発酵食品を毎日食べている人はエクオール産生菌をつくりやすいそう。

58人の更年期の日本人女性にイソフラボンサプリメントを1日40mg摂取してもらった研究では、更年期症状のほてりが緩和され、高血圧が改善したということです。(1)

また、大豆イソフラボンの摂取は乳がんのリスクを低下させたり、男性の前立腺がんの予防にも役立つ可能性があるといわれています。

大豆製品を多く消費する日本などアジア諸国の女性では欧米にくらべて乳がんの発症率が低いという研究報告もあります。(2)

亜麻仁やゴマのリグナン

オメガ3脂肪酸の亜麻仁油として知られている亜麻の種子や、ゴマ、小麦ふすまなどにはポリフェノールの一種であるリグナンが含まれています。

リグナンは抗酸化物質として働くフィトエストロゲンに分類され、エストロゲンと似たように働く物質。

強い抗酸化作用とエストロゲン様作用によって、LDLコレステロール(悪玉)の酸化を抑制し、肝機能の強化、老化予防、更年期障害、PMSの緩和、乳がんの予防に役立つとされています。(3)

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ホルモンバランスを整えるために

●ビタミン・ミネラル・たんぱく質も併せて摂取・・・納豆などフィトエストロゲンに加え、野菜や海藻類のビタミン・ミネラル・食物繊維や、肉・魚・卵など良質なたんぱく源も一緒に食べ   るとコラーゲンの生成が促されたり、ホルモンバランスが整うなど栄養素が協力しあって効果が発揮されやすい。

●抗酸化物質の摂取・・・病気や老化の原因となる活性酸素は卵巣にもダメージを与えるため、抗酸化食品を積極的に摂りいれていくことも大切。

●健康的な体重の維持・・・体重が増え過ぎるとエストロゲンとプロゲステロンのバランスが悪くなる原因に。

●良質な睡眠・・・睡眠中に分泌される睡眠ホルモンのメラトニンには卵巣を保護する作用があり、しっかりと熟睡している環境下でメラトニンが分泌されると若返りホルモンの成長ホルモンも生成されやすい。

●ストレスの軽減・・・女性ホルモンとストレスホルモンのコルチゾールは同じコレステロールを材料としているため、過度なストレスや慢性的なストレスはコルチゾールの生成が活性され女性ホルモンの分泌が低下し、その結果生理不順やPMSがひどくなってしまうことも。また、脳の視床下部は自律神経とホルモンバランスを調整しているため、ストレスによって自律神経が乱れるとホルモンバランスも崩れやすい。

 

女性のキレイをつくってくれるエストロゲン。注目されるエストロゲンですが、増え過ぎると乳がんや子宮がんなど女性特有の病気のリスクを高めてしまうマイナスの要素もあります。

現代は女性の妊娠・出産が低下していることも影響してプロゲステロンが減少し、女性ホルモンが不足しているというよりも、エストロゲンとプロゲステロンのバランスを崩している女性が多いといわれています。

卵巣は体の中でも老化が早い臓器。日々の食事や生活習慣を見直してプロゲステロンをきちんと分泌しエストロゲンとのバランスを調整して老化をゆるやかにしていきたいですね。

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【参考文献】

(1) Uesugi S, Watanabe S, Ishiwata N, Uehara M, Ouchi K. Effects of isoflavone supplements on bone metabolic markers and climacteric symptoms in Japanese women. Biofactors. 2004;22(1-4):221-8. doi: 10.1002/biof.5520220145. PMID: 15630287.

(2) Kumar NB, Cantor A, Allen K, Riccardi D, Cox CE. The specific role of isoflavones on estrogen metabolism in premenopausal women. Cancer. 2002;94(4):1166-1174. doi:10.1002/cncr.10320

(3) Bergman Jungeström M, Thompson LU, Dabrosin C. Flaxseed and its lignans inhibit estradiol-induced growth, angiogenesis, and secretion of vascular endothelial growth factor in human breast cancer xenografts in vivo. Clin Cancer Res. 2007 Feb 1;13(3):1061-7. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-06-1651. PMID: 17289903.

 

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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