高麗人参

高麗人参で健康促進・抗ストレス・身体パフォーマンスを高めよう

高麗人参には滋養強壮、虚弱体質の改善、ストレスの緩和などさまざまな健康増進機能性があるとされ、何世紀にもわたり伝統的な漢方薬として親しまれてきています。

高麗人参はウコギ科の薬用植物でオタネニンジンという和名をもち、韓国人参、中国人参、アメリカ人参、カナダ人参、シベリア人参などいくつかの種類の人参があります。ちなみに野菜の人参はセリ科で、全く別の品種となります。

高麗人参の根にはたんぱく質、ビタミンA、B、C、E、鉄、マグネシウム、カリウムなどのミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。(1)

そして多くのサポニン群を含むジンセノサイドやギントニンという植物がもつ天然の有効成分が含まれています。(2)これらの成分は相乗して抗酸化作用、抗炎症作用、アダプトゲン作用をもち、不安やストレスの軽減、ミトコンドリアの活性化、免疫機能の向上、脳機能の改善、身体能力の向上、疲労回復、血流改善、生活習慣病予防、アンチエイジングなど幅広い生理活性作用があると言い伝えられてきています。

脳の機能を改善

高麗人参に含まれるサポニンの一種ジンセノサイドには身体の機能を調節する脳の情報伝達に関わる中枢神経系を刺激し、脳の神経細胞を保護する働きがあるといわれています。

活性酸素による脳の酸化ストレスレベルを減らし、神経細胞の炎症を阻害して、アルツハイマー病やパーキンソン病の改善に役立つ可能性が期待されています。(3,4)

また、記憶や学習など認知能力に関わる海馬の神経新生を促進し、記憶や学習機能を高める可能性があるといわれています。(5)

免疫機能を高める

高麗人参には免疫機能を高める可能性があるといわれています。私たちの体には活性酸素の攻撃から細胞を守るシステムが備わっています。

 SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やグルタチオン、カタラーゼなどの体内酵素が過剰に発生した活性酸素を無害化してくれます。しかし、これらの酵素は加齢とともに合成能力が低下してしまいます。

高麗人参の根等を含む餌を与えた動物研究では、食事投与を通じて免疫酵素が刺激され体内酵素が活性化し、免疫機能を高める可能性があると考えらています。(7)

ストレスをやわらげる

ストレスには不安や緊張といった「精神的ストレス」や、肉体疲労、睡眠不足などの「身体的ストレス」などがあります。高麗人参はこれらのストレスレベルを減らす作用をもつアダプトゲンに分類されます。

アダプトゲンとはストレスに対する抵抗力を高め、心と体のストレスレベルの調整を助ける薬用植物という概念です。

高麗人参には不安などのストレスをやわらげ、疲労回復を早めるなど、精神面と肉体面両方のパフォーマンスを高め、身体の恒常性維持に役立つ可能性があります。(6)

ミトコンドリアを活性化

高麗人参はミトコンドリアの機能を高める可能性があります。(8)ミトコンドリアは私たちの体の全ての細胞内に存在し、生きるために必要なエネルギーを作り出しています。

このエネルギーによって脳や心臓、体を動かしたり、ホルモンや神経伝達物質をつくり出したり、熱もつくり出すので体温を上げたり、免疫機能の調整、アルコールの解毒、脂肪の燃焼を高める働きもあります。

オートファジーによってミトコンドリアをはじめとする細胞は日々、古い細胞から新しい細胞へと生まれ変わる新陳代謝と、壊れたたんぱく質や有害物質などを排出したりリサイクルするいとなみによって細胞の健康は保たれています。

しかし加齢やストレス、悪い生活習慣などによってミトコンドリアの働きは低下し、さまざまな病気や老化促進のリスクを高めてしまいます。

そのためミトコンドリアの働きが活発になると代謝が高まり、疲労回復の促進や酸化ストレスの抑制、脳の健康、血管の若さを保ち、アンチエイジングにも効果を期待できます。

ミトコンドリアを元気にさせることが究極のアンチエイジング?

摂取と注意点

高麗人参には数多くの健康機能性が期待されていますが、薬の種類や用量によって相互作用がありますので注意を払う必要があります。(1)妊娠中または授乳中の女性、子供には安全性の研究が不足しているため推奨されていません。

高麗人参の摂取はサプリメントや粉末の形で食生活にとりいれることができます。古くから健康や身体能力を高める漢方薬のひとつとして親しまれている高麗人参。試してみる価値はあるのではないでしょうか。

 

【参考文献】

(1) Sellami M, Slimeni O, Pokrywka A, et al. Herbal medicine for sports: a review. J Int Soc Sports Nutr. 2018;15:14. Published 2018 Mar 15. doi:10.1186/s12970-018-0218-y

(2) Choi SH, Jung SW, Lee BH, Kim HJ, Hwang SH, Kim HK, Nah SY. Ginseng pharmacology: a new paradigm based on gintonin-lysophosphatidic acid receptor interactions. Front Pharmacol. 2015 Oct 27;6:245. doi: 10.3389/fphar.2015.00245. PMID: 26578955; PMCID: PMC4621423.

(3) Heo JH, Lee ST, Oh MJ, Park HJ, Shim JY, Chu K, Kim M. Improvement of cognitive deficit in Alzheimer’s disease patients by long term treatment with korean red ginseng. J Ginseng Res. 2011 Nov;35(4):457-61. doi: 10.5142/jgr.2011.35.4.457. PMID: 23717092; PMCID: PMC3659550.

(4) González-Burgos E, Fernandez-Moriano C, Gómez-Serranillos MP. Potential neuroprotective activity of Ginseng in Parkinson’s disease: a review. J Neuroimmune Pharmacol. 2015 Mar;10(1):14-29. doi: 10.1007/s11481-014-9569-6. Epub 2014 Oct 29. PMID: 25349145.

(5) Ryu S, Jeon H, Kim HY, Koo S, Kim S. Korean red ginseng promotes hippocampal neurogenesis in mice. Neural Regen Res. 2020 May;15(5):887-893. doi: 10.4103/1673-5374.268905. PMID: 31719254; PMCID: PMC6990786.

(6) Oliynyk S, Oh S. Actoprotective effect of ginseng: improving mental and physical performance. J Ginseng Res. 2013 Apr;37(2):144-66. doi: 10.5142/jgr.2013.37.144. PMID: 23717168; PMCID: PMC3659633.

(7) Liu XL, Xi QY, Yang L, Li HY, Jiang QY, Shu G, Wang SB, Gao P, Zhu XT, Zhang YL. The effect of dietary Panax ginseng polysaccharide extract on the immune responses in white shrimp, Litopenaeus vannamei. Fish Shellfish Immunol. 2011 Feb;30(2):495-500. doi: 10.1016/j.fsi.2010.11.018. Epub 2010 Dec 1. PMID: 21129487.

(8) Bao L, Cai X, Wang J, Zhang Y, Sun B, Li Y. Anti-Fatigue Effects of Small Molecule Oligopeptides Isolated from Panax ginseng C. A. Meyer in Mice. Nutrients. 2016 Dec 13;8(12):807. doi: 10.3390/nu8120807. PMID: 27983571; PMCID: PMC5188462.

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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