睡眠はあらゆる健康維持の基本です。
睡眠中は体の細胞を修復したり、各種ホルモンの分泌を調整したり、脳の最適化、脂肪の分解、酵素の生成などを行い、自律神経を整え免疫力も支えています。
睡眠に不安のある人は、改善策を講じておきましょう。
太陽光を浴びる
私たちの体は概日リズム(サーカディアンリズム)として知られる自然な体内時計を持っています。朝は自然に目覚め日中活動し、夜には眠くなり休息と睡眠をとるという体にもともと備わっているリズムです。
1日は24時間ですが、人の概日リズムは約25時間周期の生体時計が組み込まれています。少しのズレですが夜更かしを続けていると、起床時間が徐々に遅くなり、いつの間にか昼夜逆転してしまうことに。
そうなると昼間は眠気に襲われ、仕事の生産性が下がったり、やりたいことを効率良くできなくなってしまいます。
この概日リズムのズレは地球の自転に合わせて朝、太陽光をしっかりと浴びることにより、リセットすることができます。
地球の明暗周期に合わせて、日中もできるだけ太陽光や明るい光の中で過ごすと、夜間の睡眠の質が良くなり、持続時間を改善することが可能に。
カフェインを控える
早い時間に摂取するカフェインは眠気を覚まし、集中力を高めたり、エネルギーや運動パフォーマンスの向上に役立つ場合があります。
ただ、夕方以降にカフェインを摂取すると神経系を刺激するので、夜の睡眠の質を妨げてしまう可能性があります。個人差はありますがカフェインをとると10~12時間後も脳を覚醒してしまうことがあるそう。
カフェインに敏感な方や不眠症の方は、コーヒー、紅茶、緑茶などのカフェインを含むものは午後は控えるなど、摂取時間に気をつけた方が良いですね。
またイギリスの研究では、睡眠不足の時にコーヒーを飲むと、食後の血糖値が急上昇することがわかっています。(※)睡眠不足の時はついコーヒーを飲みがちですが、血糖値が急上昇すると生活習慣病や糖化のリスクを高め老化促進にもつながるので気を付けたいところ。
夕食は早めに
各種ホルモンと連動しながら自律神経は睡眠のリズムも整えています。夕方、日が落ちていくとともに、私たちの体は交感神経から副交感神経優位へと切り替わっていきます。
日中、活動するために必要な交感神経が休んで、体をリラックスモードにする副交感神経が働きだし、体は夜の休息と眠るための準備に入ります。
そのため夕食は早めの時間にとり、食べ過ぎないようにして、内臓への負担を減らしてあげることが良い睡眠につながります。
夕食を食べ過ぎたり、寝る前に食べると、消化器官が働き続けるため睡眠の質を低下させてしまうことに。
睡眠中に内臓が働いていると睡眠を促すメラトニンの分泌が減少し、若返りホルモンの成長ホルモンも分泌が減ってしまいます。
睡眠の質が悪いと疲れがとれにくく、朝の目覚めも悪くなります。
遅くても就寝3時間前には飲食を済ませ、ベッドに入る時間には消化活動が終わっていることが理想です。
アルコールを控える
お酒を飲むと寝つきは良くなりますが、中途覚醒したり、寝汗をかきやすくなったり、睡眠の質が悪くなります。
そして過度な飲酒は、睡眠中も肝臓がアルコールを分解するために働き続けることになるので、睡眠が浅くなってしまう原因に。
睡眠の質が低下すると、傷ついた細胞の修復が十分に行われないので、飲み過ぎた翌朝は体調不良のほか、お肌の状態も悪くなりやすいです。
光を避ける
就寝2時間前は部屋の照明を暗くし、テレビ、パソコン、スマートフォンなどは控えるようにします。
パソコンやスマートフォンから発生するブルーライトには太陽の次に高いエネルギーの紫外線が含まれています。
そのため脳をだまして昼間だと思いこませ、概日リズムに影響を与え、深い睡眠の妨げとなってしまうことに。
ブルーライトを遮断する設定に変えたり、専用の眼鏡をかけるなどの調整をしてみましょう。
良質な睡眠で日中のパフォーマンスを高めよう
睡眠は免疫力や脳の活性化、アンチエイジングにも大きな影響を与えることがわかっていますが、日本は世界でも寝不足大国だと言われています。
個人差がありますが理想の睡眠時間は7時間から8時間。睡眠時間が7時間以上の人は6時間未満の人に比べて風邪をひく回数が4分の1であったとの研究報告もあります。
夜しっかり眠って細胞の修復、更新をきちんと行い、勉強や仕事、家事など1日のパフォーマンスを高めていきたいですね。趣味や遊びも思い切り楽しめるようになります。
【参考文献】
(※) Br J Nutr.; 124,10,1114-1120,2020