ハーブティー

「精神的ストレス」「身体的ストレス」と戦うアダプトゲンハーブ

アダプトゲンとは体がストレスに対する適応力や抵抗力を高めて、心と体のバランスを調整する働きと抗酸化作用、抗炎症作用をもつ天然のメディカルハーブという概念です。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは数千年にわたり自然療法として親しまれてきています。

ストレスには不安や緊張といった「精神的ストレス」をはじめ、肉体疲労、睡眠不足などの「身体的ストレス」、化学物質を多く含む加工食品、大気汚染、電磁波などの「環境的ストレス」があり、現代のライフスタイルはさまざまなストレスにさらされています。

強いストレスや長期的で慢性的なストレスはストレスホルモンのコルチゾールが増加し、女性ホルモン、成長ホルモンの分泌量が低下したり、脳細胞の委縮、自律神経の乱れ、免疫機能の低下、うつ症状、胃腸障害、生活習慣病、アレルギー症状の悪化、肥満、肌荒れ、老化促進といったリスクが高くなってしまいます。

これらの自律神経や免疫系、ホルモンの分泌機能を総合的に調整しているのは中枢神経系の間脳に位置する視床下部です。アダプトゲンハーブには中枢神経系の調節と恒常性に関わり、ストレスへの適応・抵抗力を高め、過不足の無いホルモンバランスの調整、免疫力の向上といった体の健康機能を高める可能性があるといわれています。(3)

アシュワガンダ

アシュワガンダはナス科の植物で、健康増進や健康長寿のために古くからインドの家庭ではアシュワガンダの葉、根、種、実、芽が料理に使われてきています。

アシュワガンダはサンスクリット語で「馬のにおい」を意味し、馬のようなパワーを得られるという滋養強壮効果をあらわしています。

アーユルヴェーダにおいてアシュワガンダは「最愛のハーブ」とも呼ばれ、アダプトゲンのハーブに分類されています。日常的に摂取することによってストレスレベルを調整し、抗酸化、抗炎症、抗菌、神経細胞の保護、精力増進、虚弱体質の改善、がん予防、生活習慣病予防、アンチエイジングなどに効果が期待できるといわれています。

慢性ストレスのある64人を対象とした60日間の研究では、アシュワガンダを補給したグループではストレスホルモンのコルチゾールレベルが大幅に減少し、ストレスと不安を軽減して、生活の質の改善に役立つことが報告されています。(1,2)

ストレスへの抵抗能力を高める「アシュワガンダ」の健康機能性とは

ホーリーバジル

聖なるバジルの意味を持つホーリーバジル(holy basil)はインドや東南アジアに自生するシソ科の植物で、和名でカミメボウキ(学名:Ocimum tenuiflorum)、ヒンディー語ではトゥルシーの名で親しまれています。

アーユルヴェーダ医学ではホーリーバジルの幅広い健康促進効果から「比類なきハーブ」「ハーブの女王」としても知られています。

ホーリーバジルは精神的ストレス、身体的ストレス、環境的ストレスといったあらゆるストレスに対抗するのに役立ち、その抗ストレス作用はアダプトゲンハーブの中でも最強だといわれています。

そのほか抗炎症作用によって関節炎や痛風、アレルギー症状を緩和したり、血糖値、コレステロール、高血圧の低下、記憶や認知機能の回復、肝機能の強化、老化予防、免疫機能の向上に役立つとされています。(4)

健康な成人ボランティアを対象とした研究では、ホーリーバジルの葉の抽出物300mgを4週間毎日摂取した後に、免疫機能を司るリンパ球のヘルパーT細胞とナチュラルキラー細胞のレベルが増加しました。

この研究では空腹時にホーリーバジルの葉を摂取すると免疫機能を有意に調節し、免疫力が高まると考えられています。(5)

ハーブの女王ホーリーバジルとは?聖なるバジルは強力なアダプトゲン

ロディオラ

ロディオラはベンケイソウ科の多年生植物で、寒冷地における高山帯の岩場などに生息しています。厳しい環境の中で生育することができるロディオラは、疲労を減らし高山病を改善したり、滋養強壮、老化予防、精神的・肉体的パフォーマンスを向上させるのに役立つといわれています。

アダプトゲンハーブのロディオラは、脳の神経伝達物質のセロトニンやドーパミンの産生を調整し、気分を高めたり、うつ症状の軽減、記憶や学習機能の向上にも役立つ可能性があります。

慢性疲労症状のある100名の被験者に1日あたり400mgのロディオラ抽出物を補給した研究では、1週間の投与後に改善がみられたということです。その後、倦怠感などの症状はさらに軽減され、8週目には総合的に大きな改善が認められ、長期的な慢性疲労に苦しむ人に効果的な治療法である可能性が報告されています。(6)

エゾウコギ

エゾウコギはウコギ科の植物で、アダプトゲンとしての作用をもち、ストレス疲労に対しての回復作用、免疫機能の向上、精神の安定、緊張の緩和、滋養強壮作用、記憶や認知機能の改善などに効果が期待されています。

動物研究では、脳の神経細胞を保護し、記憶を司る海馬の機能を正常に導く可能性があることが示されています。(7)

シサンドラ

シサンドラは朝鮮五味子(チョウセンゴミシ)ともいわれ、赤い実をつける、つる植物です。シサンドラは伝統的な漢方薬として古くからアジアやロシアで使われてきました。

シサンドラはアダプトゲンとして働き、ストレスレベルを調整します。交感神経が優位になっている時は精神を安定させたり、副交感神経が優位な場合はやる気を起こさせ記憶や学習機能の向上、集中力アップにも作用します。

シサンドラの種子にはシサンドリンA、B、Cなどのリグナンが含まれています。リグナンは強力な抗酸化物質で、細胞の酸化を防ぎ、さまざまな病気の予防・改善、アンチエイジングをサポートします。

シサンドリンBと脳の免疫系を担うミクログリア細胞に対する研究では、抗炎症作用と神経保護作用によってミクログリア機能を調整し、アルツハイマー病やパーキンソン病の神経炎症反応を弱め、神経細胞の保護を活性する可能性があるということです。(8)

甘草

甘草はマメ科の多年草で世界最古のメディカルハーブ療法のひとつです。甘草の根には数百種類もの植物化合物を含んでいますが、代表的な成分にグリチルリチンがあります。

グリチルリチンには抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌、抗ウィルス作用があります。ストレスの軽減、ウィルス感染の予防、肝機能障害の改善、アレルギー症状の緩和、虫歯予防、のどの痛みや咳を鎮めたり、ニキビや湿疹などさまざまな皮膚の状態を治療するために使用されています。

また、甘草の根の抽出物には閉経期のほてりや更年期症状の軽減に役立つ可能性があるとされています。(9)

高麗人参

高麗人参はウコギ科の多年草で、セリ科である野菜のニンジンとは別の品種です。高麗人参は何世紀にもわたり伝統的な漢方薬として使用されてきています。

高麗人参の主要な成分は、ジンセノサイドと呼ばれる植物化合物で、有益な抗酸化作用と抗炎症作用があり、細胞の抗酸化能力を高めたり、慢性的な炎症レベルを減らす効果に期待できます。

高麗人参には多種多様な健康機能性があり、不安やストレスの軽減、疲労回復、免疫機能の向上、虚弱体質の改善、滋養強壮、血圧の調整、胃腸障害の改善、肝機能の保護などに役立つ可能性があります。

マカ

マカは南米ペルーに生息するアブラナ科の多年生植物で、エネルギーやスタミナを改善したり、ペルーのパワーフードとして知られています。

マカは非常に栄養価が高く、ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富に含まれています。そしてアミノ酸のアルギニンが多く含まれていて、若返りホルモンと呼ばれる成長ホルモンの分泌を促進したり、男性と女性のホルモンバランスを良くしてくれます。

アダプトゲンの注意点

アダプトゲンであるとされるハーブにはこれらのほかにも冬虫夏草、レイシ、アマチャヅル、ウコン、レンゲなどがあります。

アダプトゲンハーブはストレス対策をはじめ多くの健康効果に期待できますが、ほかの薬剤やサプリメント等の相互作用がある場合があるので、事前に飲み合わせを確認したり、医師に相談をしてください。

アダプトゲンはハーブティーやサプリメント、粉末などで摂取することができます。

【参考文献】

(1) Chandrasekhar K, Kapoor J, Anishetty S. A prospective, randomized double-blind, placebo-controlled study of safety and efficacy of a high-concentration full-spectrum extract of ashwagandha root in reducing stress and anxiety in adults. Indian J Psychol Med. 2012 Jul;34(3):255-62. doi: 10.4103/0253-7176.106022. PMID: 23439798; PMCID: PMC3573577.

(2) Andrade C, Aswath A, Chaturvedi SK, Srinivasa M, Raguram R. A double-blind, placebo-controlled evaluation of the anxiolytic efficacy ff an ethanolic extract of withania somnifera. Indian J Psychiatry. 2000 Jul;42(3):295-301. PMID: 21407960; PMCID: PMC2958355.

(3) Panossian A, Wikman G. Effects of Adaptogens on the Central Nervous System and the Molecular Mechanisms Associated with Their Stress-Protective Activity. Pharmaceuticals (Basel). 2010;3(1):188-224. Published 2010 Jan 19. doi:10.3390/ph3010188

(4) Cohen MM. Tulsi – Ocimum sanctum: A herb for all reasons. J Ayurveda Integr Med. 2014;5(4):251-259. doi:10.4103/0975-9476.146554

(5) Mondal S, Varma S, Bamola VD, Naik SN, Mirdha BR, Padhi MM, Mehta N, Mahapatra SC. Double-blinded randomized controlled trial for immunomodulatory effects of Tulsi (Ocimum sanctum Linn.) leaf extract on healthy volunteers. J Ethnopharmacol. 2011 Jul 14;136(3):452-6. doi: 10.1016/j.jep.2011.05.012. Epub 2011 May 17. PMID: 21619917.

(6) Lekomtseva Y, Zhukova I, Wacker A. Rhodiola rosea in Subjects with Prolonged or Chronic Fatigue Symptoms: Results of an Open-Label Clinical Trial. Complement Med Res. 2017;24(1):46-52. doi: 10.1159/000457918. Epub 2017 Feb 17. PMID: 28219059.

(7) Journal of Ethnopharmacology|Neuroprotective effects of Eleutherococcus senticosus bark on transient global cerebral ischemia in rats

(8) European Journal of Pharmacology|Schisandrin B exerts anti-neuroinflammatory activity by inhibiting the Toll-like receptor 4-dependent MyD88/IKK/NF-κB signaling pathway in lipopolysaccharide-induced microglia

(9) Nahidi F, Zare E, Mojab F, Alavi-Majd H. Effects of licorice on relief and recurrence of menopausal hot flashes. Iran J Pharm Res. 2012;11(2):541-548.
 
食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病を患っています。 これまでの経験から栄養学、免疫学などを学び、難病の進行抑制、エイジング対策に情熱を注いでいます。
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