ビタミンCは古来から美容や健康に良いとして知られているビタミンで、免疫システムを適切に機能させたり、コラーゲンの生成にも必要不可欠で健康管理や美肌のために重要な栄養素です。
健康やアンチエイジングに必須の身近なビタミンCをあらためて見直してみましょう。
ビタミンCとは
ビタミンCは化学名ではアスコルビン酸とも呼ばれ、水に溶けやすく熱に弱い水溶性ビタミン。 血管がもろくなり歯茎や内臓から出血しやがて死にいたる壊血病の研究からビタミンCは発見されました。
ビタミンCはコラーゲンの生成に必要不可欠な存在で、鉄の吸収を促進したり、体の酸化を防ぐ抗酸化作用に優れています。そして免疫システムを強化し病気や老化から体を守る抗酸化ビタミン。
ほかにもシミ・シワなどを防ぐ美肌効果をはじめ、骨の健康や血管の老化予防、ストレス軽減、認知症予防、抗ウィルス作用など実に多くの生理活性作用があり健康にも美容にも欠かせない栄養素です。
東京医科歯科大学と東京都老人総合研究所の共同グループのマウスを使った研究ではビタミンCが不足するとなんと4倍以上老化が早く進むことが発表されています。(1)
人の体では作られない
多くの動物が体内でブドウ糖からビタミンCを合成できるのに対して、人間は体内でビタミンCをつくる仕組みを持っていません。
そのため食事やサプリメント等から積極的にとりいれていくことが大切です。
そしてビタミンCは水や加熱、タバコ、ストレス、アルコール、食品添加物、残留農薬、病気などによって失われやすい非常にデリケートな成分です。
一度に多く摂取しても体にとって必要な量しか吸収されず、余分なビタミンCは尿として排出されてしまうことに。
そのためビタミンCの抗酸化作用を効果的にとりいれていくためには1日の中でこまめに摂取していくことがポイントです。
ビタミンCに期待される働き
免疫力を高める
免疫細胞の約7割は腸に集まっています。ビタミンCは腸から吸収されて免疫細胞を増やしたり、免疫力の要といわれている白血球、マクロファージの機能を助け免疫システムを強化。
白血球の働きが良くなると免疫力が高まり体の中に入ってきた細菌やウィルスなどを攻撃し、風邪にかかりにくくなったり感染などから体を保護する働きがあります。
さらにビタミンCは風邪で生じる活性酸素を抑制したり、皮膚や粘膜のバリア機能を強化してくれる作用があるので風邪や口内炎、傷などの治りを早めてくれるのに役立ちます。
自律神経を整えストレス対策
自律神経は私たちの全身に張り巡らされていています。交感神経と副交感神経が状況に応じて切り替わり体温を調節したり、発汗や血液循環、精神の安定など心身の健康を保っています。
そして日々の生活の中では不安や緊張などの精神的ストレスや、疲労、寝不足、寒さ、暑さなど身体的、環境的ストレスなどさまざまなストレスがあります。
ストレスに対抗するために血圧や体温を調整するなど自律神経が働くと、ビタミンCはどんどん消耗されてしまうことに。
ビタミンCの補給によって自律神経を整え、脳細胞を活性化したり、ストレスを軽減し免疫力の向上にもつながります。 ビタミンB群やミネラルなどほかの栄養素と併せて摂取するとより効果的です。
鉄の吸収を促進
鉄は体内で赤血球を作って全身に酸素を送り、コラーゲンの合成にも欠かせない重要な機能を持つ栄養素です。
鉄は、肉や魚などの動物性食品の多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や卵、海藻類などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」があります。
非ヘム鉄は体内への吸収率が低いのですがビタミンCはこれを吸収しやすい形に変換し、体内への吸収をサポート。鉄欠乏症や貧血などのリスクを軽減するのに役立ちます。
細胞の酸化を防ぐ
ビタミンCは老化や病気の原因となる体内で発生する過剰な活性酸素を抑制する強力な抗酸化物質としての働きがあります。
活性酸素は細胞の構成成分であるDNAやたんぱく質などを酸化し、サビつかせてしまいます。
体内の抗酸化酵素は20歳をピークに働きが鈍るといわれているので、ビタミンCをはじめ強力な抗酸化物質を日々の食生活にとりいれていくことが老化を遅らせたり、病気の予防改善に大切です。
コラーゲン合成に必須
コラーゲンは皮膚や骨、靭帯、血管などを構成するほか細胞と細胞をつなぎあわせたり、人の体のたんぱく質の3分の1を占めています。
この大事なコラーゲン分子を体内でつくるときにビタミンCがないと体内で合成することができなくなってしまうのです。
ビタミンCを摂取するとしない場合では老化の速度が4倍も違うという実験データもあるほど。ビタミンCはコラーゲン繊維の合成を促進したり、お肌のハリやうるおいを保つ美肌のためにも欠かせない栄養素です。
またビタミンCはシミやそばかすの原因となるメラニン色素の生成・増加を抑え色素沈着を防ぐ美白効果やビタミンCの抗酸化作用によって炎症を抑えるのでニキビや吹き出物の改善にも効果を期待できます。
ターンオーバー促進で毛穴対策
ストレス過多や悪い食生活習慣、加齢とともに肌のターンオーバー(細胞の生まれ変わり)は遅くなりやすくなります。
古い角質や老廃物が肌に残ったままだと毛穴が目立ちやすくなったり、シワや乾燥など、肌トラブルの原因に。
ビタミンC配合のスキンケアなどビタミンCを直接肌に塗ることでビタミンCの高い抗酸化力が肌のターンオーバーを促進し、過剰な皮脂の分泌を抑制し毛穴を引き締めてくれる働きがあります。
なおビタミンCは紫外線を浴びるとシミなどができやすくなるので、ビタミンC配合のスキンケア製品は夜の使用がおすすめです。
塩素除去で健やかな肌と髪に
水道水に含まれている塩素は水道法によって殺菌や安全な水を保つために一定量含まれています。
しかし日本の水道水の塩素濃度は世界的にみても高濃度の塩素が測定されているのをご存知でしょうか。塩素は皮膚や髪の毛のたんぱく質を分解する働きを持っているので肌や髪のバリア機能が低下し肌が乾燥しやすくなったりします。
ビタミンCはこの塩素と結合することによって化学反応をおこし塩素を除去することができるのです。
入浴時にビタミンCの原末(アスコルビン酸)を湯船に溶かして入れたり、専用のシャワーヘッドなどもあるので塩素を除去したり低減させることができます。肌や髪のトラブルに悩んでいたりアトピー性皮膚炎の方などは刺激が緩和されやすくなるでしょう。
アレルギー症状の軽減
多くのアレルギー反応にはヒスタミンという物質が関わっています。過剰なヒスタミンは皮膚のかゆみや蕁麻疹、花粉症、副鼻腔炎、喘息、血圧低下などを引き起こします。
ビタミンC(アスコルビン酸)はヒスタミン分子を分解する作用があるのでアレルギー反応を抑制。ほかにも虫刺されなどヒスタミンに関わる反応に有効で、かゆみや炎症を減少させる働きがあります。
ビタミンCで便秘対策
実はビタミンCには腸の蠕動運動を活発にしてくれるという働きもあるのです。
摂取したビタミンCは必要な分だけ体内で使われますが、多く摂取して吸収されなかったビタミンCは腸の善玉菌を増やしたり腸の蠕動運動を高め、便をやわらかくして排泄をサポートします。
そのためビタミンCを大量に飲むと逆に便が緩くなりすぎてしまったり、下痢をしてしまうことも。
ビタミンCの必要量(体内に吸収される量)は個人差があり、また体調によっても変化するので体調をみながら自分にあった摂取量を調整していきたいですね。
アルコール代謝をサポート
ビタミンCはアルコールの代謝に欠かせない成分です。アルコールを多量に飲んでいるとアルコールの代謝分解をするために多くのビタミンCが消費されてしまいます。
ビタミンCは肝臓のアルコール代謝酵素を助ける働きがあり、飲酒中や飲酒前後こまめにビタミンCを補給しているとアルコールの代謝分解を早め、翌日の不快感などに一定の効果を期待できます。
認知症リスク低下
さまざまな研究では認知症の人は血中のビタミンC濃度が低い可能性があると示されています。
ビタミンCを豊富に含む食品やサプリメントなどの積極的な摂取によって将来認知機能のリスクを下げるといわれ、脳の神経系への影響などさらなる研究がすすめられています。
ビタミンCの摂取について
鉄過剰のリスクを高める状態や腎臓結石を起こしやすい状態の人はビタミンCの過剰摂取に注意をする必要がありますが、基本的に水溶性であるビタミンCは過剰に摂取しても体内に保存されず、必要量しか体内に吸収されないので過剰摂取になるということはほとんどありません。
吸収されなかったビタミンCは腸の善玉菌を増やしてくれたり、尿として排出されていくので、1日の中でこまめにとり入れていきたい栄養素です。
大人1人あたり1日に必要とされるビタミンCの摂取量はおよそ100mg(日本人の食事摂取基準、厚生労働省2015年版)と言われていますが、これは病気などの発症を予防するための必要最小摂取量なので、健康やエイジングケア効果を期待するなら明らかに少ない基準値です。
健康長寿を果たされたポーリング博士や三石先生などの分子栄養学者のお話では実際の健康効果を期待するなら少なくても1日1000mg以上の摂取が必要だといわれています。
他の抗酸化物質と相乗効果
健康管理やエイジングケアのためにビタミンCを含む食材はさまざまな野菜、果物、サプリメントなどと組み合わせてとりいれることで効率良く身体へ吸収されやすくなります。
そしてビタミンEやカロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化物質を一緒にとりいれることで吸収率が高まり、他の栄養素と協力して細胞の酸化を防いだり免疫機能の強化をサポートします。
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