老化を感じたら亜鉛不足かも?美と健康に亜鉛が必要な理由

ミネラルは5大栄養素のひとつで約40種類あります。その中で亜鉛は16種類の必須微量ミネラルのひとつで、身体の調子を整えたり、身体の構成成分となり、健康機能を維持するうえで必要不可欠な存在です。

血液に多い鉄にくらべて亜鉛は細胞内で最も多く存在する微量ミネラルで、免疫機能の保持や、創傷治癒、細胞組織再生などのために大変重要な役割を果たしているミネラルなのです。

亜鉛について

亜鉛とは16種類の必須微量ミネラルの一種で、たんぱく質の合成や新しい細胞を生成するDNAの複製など、体の健康維持のために必要不可欠なミネラルです。

亜鉛は鉄の次に多い微量ミネラルで、成人の体内に約2g前後存在しています。わずかな量ですが300種類以上もの生体内の酵素や身体の機能をサポートするために重要な存在。

皮膚や髪、爪、骨、筋肉、肝臓、網膜、粘膜など体のあらゆる器官や組織を構成しています。亜鉛はたんぱく質やDNA構成要素であるとともに細胞を再生するための新陳代謝、脳の神経伝達、免疫系にもかかわっています。

亜鉛は体内でつくり出すことができず、一度不足するとさらに吸収しにくくなるという負のスパイラルのおちいるので、普段から食事などから積極的にとりいれていくことが大切です。

亜鉛が不足すると

味覚障害

舌には味蕾(みらい)という細胞があり、甘み、塩味、酸味、旨味、苦味などを感じとる味センサーがあります。この味蕾の細胞の再生には亜鉛が必要なので、亜鉛が不足すると本来の正常なサイクルで新しい細胞の生成ができなくなってしまうのです。

そして味蕾は早いサイクルで細胞分裂がされているので亜鉛が不足すると細胞の再生が追い付かなくなり、早い段階で味覚の低下、味覚異常が生じやすくなることに。

その結果、いつもの料理の味付けが塩辛くなってしまったり、甘すぎてしまったり、食事が美味しく感じられないなどの味覚障害を招く可能性があります。

また、亜鉛には粘膜を修復したり保護する作用があるので亜鉛不足は口内炎の発症にもつながります。口内炎がよくできるという方は、亜鉛不足かもしれません。

肌や髪への悪影響

肌のハリを保つコラーゲンや、毛髪の約80%以上を占めるケラチンなど皮膚や髪の主要成分はたんぱく質で構成されています。

亜鉛はたんぱく質の合成に必要な成分なので、不足すると新陳代謝が低下して新しい細胞がスムーズにつくられなくなる原因に。コラーゲンの合成に欠かせないシリカ(ケイ素)と同様に亜鉛も肌や髪に欠かせないミネラルです。

シミの原因となるメラニン色素の分解にも亜鉛は必要です。亜鉛が不足すると肌の乾燥やシミ、シワ、弾力の低下などがあらわれるようになったり、頭皮や髪に栄養を与える毛母細胞の働きが低下し抜け毛や髪のツヤが減ってしまう原因に。

黒髪のもとを作る色素細胞の機能が低下するため白髪も増えやすくなってしまいます。特に40代以降は亜鉛の吸収率が下がるので白髪が目立つようになってきたらミネラル不足のサインです。

性ホルモンの乱れ

亜鉛は男性ホルモンの原料となったり、女性ホルモンにも影響を及ぼしています。男性では亜鉛は前立腺に多く存在し、男性ホルモンのテストステロンや精力を高めるミネラルです。

不足するとこれらの機能が低下し、精子の形に異常をきたしたり、減少するという報告もあります。 女性の場合 亜鉛は卵巣に多く含まれているので、不足すると卵巣の働きが低下し女性ホルモンのバランスが乱れ、生理不順や不妊になりやすくなります。

特に妊娠中は母体と胎児に多くの亜鉛を必要とするので不足しがちに。亜鉛が十分でないと、産後にお母さんの髪が抜けやすくなったり、赤ちゃんの発育不良をひきおこしてしまう可能性があります。

免疫力の低下

亜鉛は老化や病気の原因となる活性酸素を抑制する酵素の構成成分であるとともに、免疫システムにもかかわっています。

そのため亜鉛が不足すると抗酸化力や免疫力が弱まり、代謝が低下して、風邪や感染症にかかりやすくなったり、病気や傷の治りが遅くなったり、生活習慣病などのリスクが高まり、細胞の酸化が進んで老化が加速するなど、さまざまな不調を引き起こしやすくなる可能性があります。

亜鉛不足による主な症状

  • 味覚障害
  • 免疫力低下
  • 新陳代謝の低下
  • 脱毛、白髪、髪のツヤやコシの低下
  • 爪の異常や骨粗鬆症
  • 皮膚のトラブル
  • 口内炎など粘膜の炎症
  • 食欲低下
  • 性ホルモンの低下
  • 赤ちゃんや子供の成長不良
  • 加齢黄斑変性など視力障害
  • 貧血

亜鉛が不足する原因

亜鉛は吸収がよくない

亜鉛は体にとって大切なミネラルでありながら、体内への吸収がよくないという特徴があります。亜鉛の腸管吸収率は約30%前後といわれています。

また、亜鉛は水溶性であるため汗や尿として流出しやすい性質でもあります。スポーツやサウナなどで発汗量が多かったり、飲酒等でトイレの回数が多い場合など、その分亜鉛の流出量も増加してしまうのです。

ストレスや病気

ストレスや病気が原因で亜鉛の流出量が増加しやすくなる場合があります。

肝臓病、糖尿病、痛風、透析を受けている方や、パーキンソン病、関節リウマチ、うつ病などの薬剤の種類によっては亜鉛の流出が増加したり、また長期間の服薬によって亜鉛不足になる可能性があります。

偏った食生活

亜鉛は肉や魚介類に多く含まれています。そのためダイエット等やベジタリアン、ビーガン食の方でこれらの動物性たんぱく質をあまり摂取していない場合や、食べ物の好き嫌いが激しく十分な栄養素がバランス良くとれていなかったりすると亜鉛不足におちいりやすくなってしまいます。

また外食が多かったり、食品添加物が多く含まれているファーストフードやインスタント、お菓子など加工食品のとり過ぎは亜鉛の吸収を阻害します。

お酒の飲み過ぎ

お酒の飲み過ぎには注意が必要です。アルコールを分解する時に、体内の亜鉛を材料とするため多くの亜鉛が消費されてしまいます。

そして、亜鉛が不足するとアルコールの代謝にかかわる酵素の働きも弱くなってしまいます。 さらに、アルコールによって亜鉛の尿中に排出される量が増加し、亜鉛の消費がますます加速してしまう傾向に。

亜鉛はアルコールの分解代謝に不可欠であるとともに、アルコール分解酵素を作るのも亜鉛です。

また酔うと味の濃いものが食べたくなったり、塩辛いものを欲するようになるのはアルコールによって体内の亜鉛が不足し、味覚が鈍くなっていることも一因だといわれています。

亜鉛を効率良く摂取するために

亜鉛を多く含む食品

厚生労働省発表の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、亜鉛の1日の推奨摂取量は成人男性で10mg、成人女性で8mgとされています。

亜鉛は主に牡蠣、豚レバー、牛肉赤身、卵黄、チーズ、カシューナッツなどに含まれ、この中で特に多く含まれているのが「牡蠣」です。

吸収率を高めるビタミン

亜鉛は体内に吸収されにくいという性質がありますが、クエン酸やビタミンCを一緒にとることで亜鉛の吸収をサポートし、吸収率を高めることができます。

牡蠣を食べる時にレモンを搾るのは理にかなった食べ方で、レモンに含まれるビタミンCが亜鉛の吸収率をサポートしてくれます。

また熱に弱いビタミンCですが、ピーマンに含まれるビタミンCは熱に強く、レモンよりも豊富に含まれているので、加熱調理をする場合は一緒にとりいれると良いですね。

亜鉛不足の調べ方

亜鉛不足が心配な場合は血液検査でチェックすることもできます。

血清亜鉛値

日本臨床栄養学会において健康な人の血清亜鉛値の基準値は80〜130µg/dLとしています。この血清亜鉛値が低いと「潜在性亜鉛欠乏症」や、亜鉛不足の状態を「亜鉛欠乏症」「低亜鉛血症」と診断されます。

血清亜鉛値は食事などの影響によって日内変動があります。一般的に午前中から午後にかけて低下傾向にあり、何らかのストレスや食後にも低下するので、早朝の空腹時に測定することが望ましいといわれています。

血清アルカリフォスファターゼ値(ALP)

血清アルカリフォスファターゼ値(ALP)は、亜鉛を必要とする酵素です。そのため、亜鉛が不足しているとこの値が低くなるので亜鉛不足の指標となります。(ALPは年齢によって変化し、高齢者では低い傾向に)

注意点

亜鉛は体内吸収率が低く流出しやすい特性と、体内では亜鉛が過剰になるのを防ぐ調節機能が働いているので、普段の食事の中でとり過ぎるという心配はまれですが、高含有量のサプリメント等を毎日大量に摂取し続けると過剰摂取となる可能性があります。

その場合、銅の吸収が妨げられたり、吐き気や嘔吐による消化器障害、貧血、神経障害などを引き起こす恐れがあります。

バランス良く摂取

日本人は潜在的に亜鉛が不足気味であるとの報告がされています。牡蠣やレバーが苦手な人が少なくないことも理由のひとつかもしれません。

レバーには亜鉛のほか、特に女性には必要な鉄分が豊富に含まれ、コラーゲンの産生にも必要不可欠な栄養素がそろっているので、健康やアンチエイジングのために効率良く摂取できる食材です。  

食べやすく調理法を工夫したり、いろいろな食材と組み合わせて各栄養素をバランス良く摂取し、自分のために、大切な人のために健康機能を保っていきましょう。

「ミネラルは栄養の世界のシンデレラ」生命組織に欠かせないミネラル

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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