遺伝子組み換えコーン

日本は遺伝子組み換え大国?知らず知らずのうちに食べている不自然な食品

遺伝子組み換え食品て聞いたことはあるけれど普段コンビニやスーパー、飲食店などであまり見かけないのではないでしょうか。実は私たちの身近にある多種多様な加工食品によく使われています。

遺伝子組み換えされていても表示されていない食品が多いため、知らず知らずのうちにたくさん摂取している可能性も。

遺伝子組み換え作物の歴史はまだ浅いため、健康への安全性が立証されておらず、生態系、環境、人体への影響がどれほどになるのか?など解明できていない問題点が数多くあり、論争の的となっています。

遺伝子組み換え作物とは

遺伝子組み換え作物はある生物の遺伝子に、別の生物の遺伝子を人工的に外から入れ、遺伝子組み換えをしてつくり出した作物のこと。

遺伝子組み換え作物は英語でGMO(genetically modified organism)、GM(genetically modified)とも呼ばれています。

遺伝子を組み換える技術を使用して、遺伝子的に変えられた生物を指します。生産者をはじめ食品業界では遺伝子組み換え作物には、成長の促進、害虫の抵抗性、品質の安定性、不毛な農地でも栽培できるなど、さまざまな利便性が高いため、遺伝子組み換え技術が多用されているわけです。

GM作物輸入量トップの日本

日本は遺伝子組み換え作物の栽培国ではないものの、1996年以来毎年大量の遺伝子組み換え作物を輸入しています。

そして驚くことに日本は遺伝子組み換え品種の認可数がなんと309品種もあるということ。これは遺伝子組み換え最大の開発国であるアメリカの179品種をはるかに上回る世界でもトップの認可数であり、金額も世界1の輸入大国なのです。

日本が認可した遺伝子組み換え作物は大豆、トウモロコシ、綿、じゃがいも、なたね、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8品目ですが、主に流通しているのは大豆、トウモロコシ、綿、なたねの4種類。

ほかの4つの作物はほとんど流通されていません。日本に輸入されているこの4つの作物は、いずれもほぼ90%が遺伝子組み換え品種だと推定されています。

身近な食品に姿を変えているGM作物

日本は世界最大のトウモロコシと大豆の輸入国でもあります。実際、国内消費量の90%以上を輸入に頼っている状態で、その多くはアメリカです。

アメリカではトウモロコシ、大豆、綿など少なくても90%以上が遺伝子組み換え技術によって栽培されています。

これらの作物は主に家畜の飼料として使用されるほか、私たちの食べ物では食用油の原料となり一般的なサラダ油をはじめマーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、ショートニング、またコーンスターチ、醤油、醸造アルコール、食品添加物といった多種多様な食品に姿を変え、多くの身近な食品に使われていることに。

そのため大量に輸入している日本では知らず知らずのうちに遺伝子組み換え食品にさらされていることになります。

2014年の時点でアメリカの遺伝子組み換え大豆の割合は94%を超えています。そのためアメリカから輸入される大豆のほとんどが遺伝子組み換え大豆であると考えられます。

表示義務は限定された商品だけ

日本の遺伝子組み換え表示ルールはとても複雑で、消費者にはわかりにくくなっています。表示義務があるのは大豆、トウモロコシなど上記の8品目を原料とする加工食品のみ。

表示義務のある主な商品

  • 納豆
  • 豆腐
  • 味噌
  • 煮豆
  • おから
  • 湯葉
  • 油揚げ
  • きな粉
  • トウモロコシ缶詰
  • スナック菓子
  • アルファルファを主原料とするもの
  • てんさいを主原料とするもの

遺伝子組み換え表示制度には、表示義務と任意表示があります。任意表示制度では、これまで遺伝子組み換え作物の含有率が5%以下なら成分表に表示する義務がなかったのですが、2023年4月1日からの新制度では「遺伝子組み換えでない」という表示ができなくなるようです。

消費者の誤認防止や消費者の選択の機会の拡大につながるのではということ。一方で、表示義務の無い商品が私たちの身の回りにはたくさんあふれています。例えば遺伝子組み換え大豆からつくられた大豆油などは表示しなくて良いルールになっているのです。

表示義務の無い主な商品

  • 大豆油、キャノーラ油、菜種油
  • マヨネーズ
  • マーガリン
  • レシチン
  • ショートニングを使ったクッキーやパンなど
  • 醤油
  • 酒類
  • 冷凍食品
  • スクラロース、水あめ、ガムシロップ、コーンシロップ、異性化糖など人工甘味料
  • 加工でんぷん、カラメル色素、乳化剤、酸化防止剤(ビタミンC)、調味料アミノ酸等の食品添加物
  • 牛・豚・鶏など家畜が食べる飼料

表示義務があるのは重量に占める遺伝子組み換え原料の割合が5%以上で、重量順では上位3品目まで、と決められています。

そのため重量が4番目以降であれば表示義務がなく、またたんぱく質が残らないものも対象となりません。こういった表示義務のない食品に遺伝子組み換え原料が集中的に大量に使われているので、消費者にはわかりにくくなっているのです。

同じ大豆を原料とする納豆、味噌、豆腐には表示義務があるけれども、醤油、植物油、甘味料、食品添加物などに表示義務はありません。スーパーなどで遺伝子組み換えの表示やトウモロコシをあまり見かけないわけですね。

 EUでは0.9%以上の混入があるすべての食品に遺伝子組み換え表示が義務付けられています。オーストラリアは1%、韓国と台湾は3%、日本は5%まで許容。いかに日本では遺伝子組み換え食品に関わる表示や混入率など規制がゆるいということがわかります。

また「遺伝子組み換えでない」と書かれていても、5%までの混入は認められているので混入の可能性も。例えば大豆であれば「国産大豆100%」と表示された食品を選ぶことも基準のひとつに。

不安が続く遺伝子組み換え作物

これまで遺伝子は組み換えた部分だけに変化が起こると考えられていましたが、ほかの多くの遺伝子にも影響を与え、人の健康、生物、農業、環境にも被害や汚染が広まり続けて、最終的にどのような結果になるのか予想がつかないものだといわれています。

そして遺伝子組み換え作物の安全性試験は適切に行われているとはいえず、動物実験ではがんや肝臓、腎臓などの臓器障害、白血病、不妊、寿命の短縮などの健康障害が報告されています。

また日本が世界最大に輸入しているトウモロコシの約80%は主に家畜の餌としてコスト削減のため消費されているということ。

遺伝子組み換え飼料を食べさせられる牛、豚、鶏の体内や糞には遺伝子組み換え作物の情報が残るので、畜産物は「隠れた遺伝子組み換え食品」といわれることも。

こういった飼育環境の肉類や牛乳、卵を私たちが食べることによって不自然な遺伝情報も摂取することになります。

また作物の花粉や種は風などで運ばれるので、周りの環境に広がる可能性も。遺伝子組み換え作物を育てている農地の周辺に、遺伝子組み換えでない農作物を育てる農家がいた場合、遺伝子組み換え作物がそうでない作物と交配する可能性があり、近隣農家の農作物まで汚染されてしまうということが簡単に起こります。

遺伝子組み換え作物が日本に流通するようになってから20数年経ちますが、納得できる安全性の確認がないまま輸入は継続されています。一方、世界ではその安全性に疑義を示す研究がいくつも発表されています。

知らないうちに摂取しているGM食品

遺伝子組み換え作物のメリットは生産者にとっては大きいですが、消費者にはあまりメリットはないのではないでしょうか。健康や環境へのリスク、生態系、倫理的な問題もあり多くの論争の的に。

日本がアメリカから大量に輸入している遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆は家畜の飼料をはじめ、食用油、醤油、マヨネーズ、人口甘味料、加工品、ビール類など身の回りの多くの食材に使われています。

このことを一般消費者があまり知らない、知られていないので、気付かないうちに遺伝子組み換え作物を食べさせられていることも問題だと思いませんか?私たちが遺伝子組み換え食品を選ばない権利や、知る権利が侵害されていることにもつながります。

自然界では起こりえない世界

人間は古くから大豆なら大豆同士、ナスならナス同士でより良い品種をつくるために品種改良を続けてきました。これらの近縁種同士の遺伝子情報は自然の中で突然変異が起きる可能性がありますが、自然界ではありえない全く別のものと掛け合わされることはありません。

ところが遺伝子組み換えの世界では近縁種同士ではなく、ニワトリやウナギの遺伝子をイネに入れたり、ほうれん草の遺伝子を入れた豚、クモの遺伝子を入れたヤギ、たばこにヒトの肺の遺伝子を組み込むなど、自然界ではとうてい起こりえないことをしている世界なのです。

遺伝子組み換えの大豆、トウモロコシ、じゃがいも、なたねなどは植物に微生物の遺伝子を入れるというとうてい自然界では生まれない掛け合わせでつくられています。

殺虫性・除草剤耐性を持つ作物

害虫に負けないBtトウモロコシという遺伝子組み換えトウモロコシがあります。土壌菌の遺伝子を組み入れた殺虫トウモロコシで、作物自体に殺虫成分を持たせたもの。このBtトウモロコシの中のBtタンパク質に毒性があり、これを食べると害虫が死ぬので、殺虫剤を使う手間が減るということです。

これを開発したアメリカの多国籍巨大企業モンサント社(2018年ドイツのバイエル社に約7兆で買収され現在はバイエル)は、人間や動物は虫とは消化の仕組みが違うため(Btタンパクは腸で破壊され排出される)当初、人が食べても安全性に問題はないという見解でした。

毒素の検出・腸内細菌の減少

ところが2011年カナダのシャーブルック医科大学産婦人科医師らの採血による調査では、妊娠女性の93%、へその緒の80%、非妊婦の69%からBtタンパク質やその分解物が検出されたそうです。Btタンパク質の一部は分解されずに血液に入って全身をめぐり、胎児にまで影響を及ぼしていることがわかったのです。

2017年エジプトのタント医科大学の研究では、Btタンパク質を人間が摂取すると腸の粘膜を損傷し、腸内細菌が減少してしまう可能性があるということ。腸は体の免疫機能を司っているので、腸内環境の乱れは免疫機能の低下、アレルギー症状の悪化、神経伝達障害などさまざまな健康機能へ影響を及ぼすことが考えられます。

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除草剤耐性をもつ遺伝子組み換え作物では、除草剤に負けない微生物を組み込むことで、除草剤を撒いても雑草だけが枯れるという仕組みで草取りの手間が減らせるということ。しかし除草剤の多くは発がん性リスクなど人体への悪影響、土壌や生態系への汚染が懸念されています。

全ての植物を枯らす強力な除草剤

モンサント社が生み出した(現バイエル社)除草剤の世界的ベストセラー「ラウンドアップ(主成分グリホサート)」は日本を含め世界中で広く使用されている除草剤。ドラッグストアやホームセンターでも見かけます。

ラウンドアップは全ての植物を枯らすことができる強力な除草剤なのですが、ラウンドアップ耐性を持つ遺伝子組み換え作物なら、ラウンドアップを浴びても枯れずに、雑草だけが枯れるという仕組みに。

しかし雑草や害虫は次第に耐性力をもつため、これまでの除草剤などが効かない「スーパー雑草」「スーパー害虫」が登場し、さらに強力な除草剤、防虫剤が必要になるというわけです。

そのため除草剤の使用量がさらに増加し、複数の除草剤を混合使用したり、ラウンドアップより強い毒性をもつ除草剤が必要になってきます。

猛毒な農薬が及ぼす悪影響

ラウンドアップに加えてアトラジンや、2・4-D(枯葉剤)、ジカンバという猛毒な除草剤を同時に複数使用されることも。アトラジンは日本では「ゲザプリム」の名で市販されています。

このアトラジンはアメリカだけで年間約3600万kgが農業で使用されており、約23万kgのアトラジンが雨に含まれて地上に降りそそいでいるということ。

論文では「アトラジンはそれが使用された場所から1000km以上離れた場所へも雨の形で運搬され、その結果、原始の生態系が残る手付かずの場所にも汚染が広がっていく可能性がある」と指摘されています。

世界3位の大豆産出国である南米アルゼンチンでは、遺伝子組み換え大豆を使用してから15年経ちますが、農地の住民のがんの発症率は4倍に上昇しているということ。

そして流産、死産、先天性異常、発達障害、変性疾患の子供たちが増えているという報告も。未知の毒性やアレルゲンの影響を最も受けやすいのは胎児や子供たちです。

こうした農薬成分は土壌や河川、地下水など広範囲の環境を汚染し、生態系を破壊し、野生動物にも人間にも悪影響を及ぼすことに。自然の循環の中でやがて自分たち人間に還ってくるのです。

農薬の規制がゆるい日本

今、世界中で遺伝子組み換え作物や農薬剤の健康障害を示す報告や論文は枚挙にいとまがないといいます。EU、各国ではグリホサート(有機リン系農薬)とその関連商品の販売を禁止したり、規制の強化が進められている中、日本は逆方向に進んでいます。

食料自給率の低い日本は、海外から農作物の輸入に頼らざるを得ません。グリホサートの残留値が高い農産物であってもその受け入れ体制をつくるため、2017年厚労省はグリホサートの残留基準値を大幅に緩和しています。

日本が多く輸入しているアメリカ産とカナダ産の小麦では90%以上から100%のグリホサートを検出しています。輸入小麦を原料としている食品はパスタ、麺類、パン、お菓子、加工品など。

農民連食品分析センターが行った検査では、輸入小麦使用の市販のほとんどすべてのパンからグリホサートが検出されています。

パン好きな方は食べる量を減らしたり、グリホサートや残留農薬のない国産小麦100%のパンを選んでいきたいところ。ですが日本の農作物には残留農薬の心配があります。

日本人の主食であるお米や茶葉には昔と違って現代は特に残留性の高い農薬が使用されています。小麦の代替としてお米を選ぶ場合は無農薬米を。

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体にも環境にもやさしい食品選び

現代の食生活は遺伝子組み換え食品をはじめ、残留農薬、食品添加物、放射性物質など安心して食べられる食品が減っています。

ですがこうした現状をわかっていれば食に対するアンテナをはり、知識や情報を収集して、汚染された食品の摂取量を減らすことができます。

我が家では味噌納豆醤油などは無農薬の国産原料100%と表示されているものや、遺伝子組み換え飼料を与えられていない放し飼い鶏卵グラスフェッドビーフなどを選ぶようにしています。

そして遺伝子組み換え原料の加工食品、コンビニ弁当、お惣菜、食用油、乳製品、調味料、だしの素、菓子類、清涼飲料水、ビール類などはできるだけ控えています。

パンについては輸入小麦の問題だけでなく、小麦グルテンやいろいろな食品添加物の心配があるので基本的にあまり食べません。

パスタは1週間に1回ぐらい。今グルテンフリーのものや炎症を起こしにくい古代小麦のパスタなどの種類が増えていますね。これらは主にネット通販での取り扱いになりますが、スーパーでは手軽に入手できるバリラ社のパスタを選んでいます。

その理由は「有機農業ニュースクリップ」によると世界最大のパスタメーカーであるバリラ社は、消費者のグリホサートへの懸念を考慮し、グリホサートの残留基準値が5ppmのカナダ産デュラム小麦を規制しているということ。

さらに残留量が許容値内であっても、0.01ppm以上のグリホサート残留のある小麦は使わないという徹底ぶり。お手頃価格だし消費者の味方ですね。

そして環境保全、持続可能性の観点においてプラスチックから紙パッケージへと変更しています。有害物質を放出する可能性のあるリサイクル紙ではなく、100%バージンパルプで製造した紙のみを使用。消費者の健康と環境課題にも取り組んでいます。

健康と引き換えに安易に食べたいものを選ぶのではなく、体に良くて、環境にもやさしい食材を選び、自分や周囲の健康を守っていきたいですね。

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【参考文献】

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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