米

毎日食べているお米に残留農薬の危険性?玄米は特に注意

現代は体に安全で環境にもやさしいサステナブルな食生活に対する意識が変化している中、お米についての関心はどれほどあるでしょうか。

日本人にとって主食であるお米は消費量の多い食材である分、美味しくて安全性のあるお米を選んでいきたいです。

お米に使う農薬

現在スーパーに並んでいるほとんどのお米は慣行農法で、殺虫剤や除草剤などの農薬を使って栽培されていることが一般的です。

お米の栽培に使われる農薬の中でも多く使用されているのがネオニコチノイド系農薬というもの。ネオニコチノイド系農薬はアセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラムなどがあります。

特にお米の等級を決める基準となるのが斑点米の混入率。この斑点米防除対策としてジノテフラン(商品名:スタークル)は最も多く使用されている農薬のひとつです。

モミの実がまだ柔らかい時期にだけカメムシがその汁を吸うことで、これが黒い斑点米となる原因に。ですがこれは収穫量に影響を与えることはありませんし、また斑点米は食べても毒性はありません。

玄米の検査規格規定では1000粒に1つ(0.1%)着色粒があれば1等米。そしてたったの3粒混じるだけで2等米に判定が落とされ、等級が下がるほど買い取り価格が下がることになってしまいます。この過剰に厳しい着色粒規定の等級のせいで生産者は農薬の使用量を増やすことにつながるわけです。

お米の残留農薬

農薬は脂に溶けやすい性質があり、油分のあるヌカや胚芽に溜まりやすいため白米よりも玄米の方がより多く残留しているので注意したいです。カメムシ防除対策で使用量の多いネオニコチノイド系農薬のジノテフラン(商品名:スタークル)は、玄米に特に多く残留し、約63%の検出率で見つかっています。

残留農薬は基準値以下であればそのまま食べても安全性に問題ないといわれていますが、お米はほとんど毎日食べるもの。

基準値以下であっても毎日摂取し続けることで体への蓄積や、複合毒性、将来の体へのさまざま影響など、本当に安全だといえるのか疑問に思ってしまいますね。

毒性試験はラットに対して12カ月間投与したにすぎず、毎日長期にわたり人間が摂取し続けた場合や、複合毒性・相乗毒性の安全性は確認されていません。

生態系への悪影響

ネオニコチノイド系農薬は神経毒性を持つ殺虫剤で水田に散布します。水に溶けた農薬をイネが吸収し、農作物自体に殺虫性を持たせることでそれを食べる害虫の中枢神経を破壊して駆除するという仕組み。害虫でない虫もほぼ死滅してしまいます。

このネオニコチノイド系農薬は強い神経毒性を持ち、ミツバチの生態系に悪影響をおよぼすことが報告されています。ニュースなどでミツバチがいなくなってきているということを聞いたことがあると思います。世界中のハチは何年も前から減り続けており、今も深刻な状況は続いています。

そして日本で1番ミツバチが減少しているのは田んぼだそう。カメムシ防除のためにどれほどの農薬が散布されているのかと思うと、生態系にも人体にも悪影響のある農薬漬けのお米を食べる気持ちにはなれません。

これは人間による環境汚染を世界で最初に警告した生物学者レイチェルカーソンの「沈黙の春」に書かれていた予言通りになったわけなんですよね。

農作物のおよそ3分の1はハチを介して受粉しているともいわれ、野生のハチやミツバチが減少していくことは生命と生命を結び付けている糸がたち切られるということ。世界中の農業生産が困難におちいり、食糧危機にそのまま直結していくことになる。ということを60年以上も前に警告していました。

「自然界と私たちの健康がひとつであること」を教えてくれています。

また水田で使用されたネオニコチノイド系農薬が河川に流出して、ミジンコなどの水中プランクトンが激減し、それをエサとするワカサギやウナギが減少していたことがわかり、漁業崩壊、生態系全体への悪影響が問題視されています。

今、自然界に存在しない農薬などの化学物質は人と自然との共生バランスを破壊し、環境にも人にも悪影響を与え続けているのです。

ネオニコチノイド系農薬の害

ネオニコチノイド系農薬は地下鉄サリン事件の「サリン(有機リン系農薬)」と同じ神経毒成分を持つ農薬で「浸透性」「残効性」「神経毒性」がこの農薬の特徴です。

まず浸透性と残効性があることから、植物内部にまで農薬成分が浸透するので、表面を洗っても農薬を流すことはできず、また体内に留まり排出されにくく蓄積しやすいということ。

そして神経毒性は害虫だけでなく人間の神経にも悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。低濃度であっても日々の慢性的な摂取によって学習や記憶機能の障害、発達障害、神経難病、アレルギー反応の増強、腸内細菌叢の異常など。

腸は脳の神経伝達物質の材料を生産したり免疫機能を司る重要な器官なので、腸内環境が悪化すると脳や精神に悪影響を及ぼし、免疫力の低下にもつながります。

またネオニコチノイド系農薬は胎盤関門を速やかに通過して母体から胎児へ移行することや、農薬の使用増加にともない自閉症、発達障害などの有病率はリンクすることが指摘されています。

日本の農薬使用量は世界トップレベル!国産の農作物は安全ですか?

無農薬のお米を選びたい

 EUをはじめ世界各国ではネオニコチノイド系農薬の使用禁止、規制強化といった対策がされている中、日本では残留基準値の大幅な緩和、新規承認など世界の流れに逆行しています。

これは政治的な背景などがありますが、現代は私たち消費者が食に対する意識を高め、調べたり情報収集することで何を食べるか自由に選択することができる世の中です。

主食であるお米は見た目がキレイな残留農薬米よりも、斑点米が混じった無農薬の美味しいお米を選んでいきたいですね。特に健康のために食べる玄米は農薬が多く残留しているので無農薬栽培の玄米を選びたいところ。

私が住む近所のスーパーでは多種多様なお米が商品陳列棚の一面にずらりと並んでいる中、特別栽培無農薬のお米はたったの1種類しか置いてありません。

無農薬やオーガニックな農作物が増えてきている中、農薬不使用でお米を栽培することは大変な手間と労力がかかり農作物の中でも大変難しいといわれていることもあるでしょう。

通販では熊本県菊池生産者さんの化学肥料・除草剤不使用のお米を選んでいます。酵母や乳酸菌といった微生物を活用するEM農法によって土壌の栄養が豊かになり、またEM菌が有害物質を分解してくれるので化学肥料や除草剤を使わなくても健康で美味しいお米ができるんだそう。

無農薬米、無農薬玄米はオーガニック専門スーパーやネット通販の方が種類もあるので、産地も合わせてできるだけ汚染度が低いものをチェックして選びたいですね。

またお米の等級は斑点米にこだわるより、少しずつ農薬の基準や安全性を重視する傾向にあるということ。お米の等級基準が今後変化すれば、減農薬栽培米や無農薬栽培米を造る生産者さんが増えていくかもしれません。

自然環境への負荷を軽減して生産される無農薬米は生態系を守りながら、私たちの健康にもつながる。人と自然が健やかに循環し共生していかれる継続可能な消費行動を意識していきたいなと思っています。

【参考文献】

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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