「鉄」不足は貧血だけじゃない コラーゲンもつくられなくなる?

体内の鉄分が不足すると酸素を運ぶ役割のヘモグロビンの量が減り、身体の各組織や臓器が酸欠状態となって、貧血の原因となるだけでなく、美容にとっても大敵です。

お肌の乾燥やハリの低下、髪が細く抜けやすくなったり、二枚爪など爪が割れやすくなったりもします。また、疲れやすくなったり、年齢より老けて見える場合は鉄不足が原因かもしれません。

鉄の働き

鉄はほぼ全ての生物にとって必要なミネラルです。赤血球の中のヘモグロビンは鉄を含む赤い色素の「ヘム鉄」と、たんぱく質の「グロビン」で構成されています。

鉄は酸素と結びつきやすい性質なので、呼吸で吸い込まれた酸素はヘモグロビンと結びつき、私たちの身体に約37兆個あるといわれる細胞のすみずみまで酸素を運んでいきます。

その全ての細胞に酸素が運ばれることで、細胞は酸素を使ってエネルギーをつくりだしたり、身体の健康機能をサポートしてくれています。

鉄不足でおこりえる症状

鉄欠乏性貧血

貧血は赤血球のヘモグロビンが少ない状態です。その原因はホルモンや腎臓の状態、骨髄の病気、赤芽球(赤血球がつくられるもととなる細胞)から赤血球がつくられる過程での異常などがありますが、多くの原因は体内の鉄が不足することでおきる鉄欠乏性貧血です。

鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となるので、鉄不足になると、ヘモグロビンを生成できなくなり、十分な酸素が全身に送られず貧血になってしまうのです。

コラーゲンの材料

鉄が不足すると美肌のために必要なコラーゲンが生成できません。コラーゲンを生成するために必要な材料となるのは「たんぱく質」「ビタミンC」そして「鉄」が必要です。

そのため、コラーゲンのサプリメントなどを単体でとりいれても体内の鉄が不足していればコラーゲンをつくることができなくなってしまいます。貧血の方はコラーゲンも不足している状態ともいえます。

髪や頭皮への影響も

髪の毛根にある毛母細胞が正常なサイクルで細胞分裂が行われることで健やかな髪が成長します。しかし鉄が不足すると、頭皮や毛根に十分な酸素や栄養が運ばれなくなり、細胞分裂の働きが低下してしまいます。

その結果、細胞は健やかな髪をつくることができなくなって、髪のツヤやハリが低下したり、抜け毛や頭皮トラブルの原因になる可能性が高まります。

ミトコンドリアの構成成分

ミトコンドリアは私たちが生命維持活動をするうえで重要な生体エネルギーです。身体を動かしたり、脳や心臓を働かせたり、神経伝達物質やホルモンをつくりだすなど、元気に活動するために必要なエネルギーは全てミトコンドリアから生まれています。

鉄はミトコンドリアの働きに必要不可欠なので、鉄不足になるとミトコンドリアの働きが低下してしまいます。そうなると代謝が悪くなって、疲れやすくなったり、免疫力が低下して病を招いたり、細胞の再生がきちんと行われなくなるのでさまざまな不調を引き起こすことが考えられます。

抗酸化力の低下

老化や病気の原因といわれている活性酸素。活性酸素はミトコンドリアが酸素を使ってエネルギー(ATP)をつくり出すときに、約0.1~2%の活性酸素が発生してしまいます。

活性酸素はストレスや生活習慣、病気、薬剤、加齢などの原因で増加しやすくなってしまいますが私たちの体には過剰に発生した活性酸素に対抗するための「抗酸化力」があります。

「SOD」「カタラーゼ」「グルタチオン」などの活性酸素分解酵素で、この3種類は連携をとりあいながら活性酸素と戦っています。そしてこれらの酵素が働くためには、鉄や亜鉛などのミネラル、たんぱく質が必要です。

そのため抗酸化酵素の構成要素である鉄が欠けると、活性酸素を抑制するための抗酸化力が低下してしまいます。

神経伝達物質の生産低下

脳と心へ影響をおよぼす神経伝達物質の合成に鉄は欠かせないミネラルです。

やる気を高めるノルアドレナリンやドーパミン、精神安定作用をもつセロトニンといった脳の神経伝達物質は、たんぱく質を材料として合成される際に鉄が必要となります。

そのため鉄が不足すると、これらの神経伝達物質が十分につくられず、セロトニンやドーパミンの分泌量が低下して、うつ病やパニック障害といった精神疾患や、ドーパミン機能低下によっておこる むずむず足症候群などを引き起こしてしまう可能性があると考えられています。

鉄不足による様々な症状

  • 疲れやすい、風邪を引きやすい
  • 記憶力や集中力の低下、イライラ
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 髪や肌のトラブル、老化
  • 口内炎や歯茎から出血など粘膜炎症
  • 骨や爪の障害
  • 頭痛、肩こり、腰痛など
  • めまい、たちくらみ
  • 動悸、息切れ
  • 便秘や下痢
  • 手足が冷えやすい
  • あざができやすい
  • むくみやすい

鉄が不足すると

鉄不足の考えられる原因

体内の鉄分が不足してしまう原因は、ダイエットによる栄養不足やファーストフード、加工食品など偏った食生活、成長期や思春期、また骨髄や消化器の障害、婦人科疾患などでうまく吸収できなかったり、喪失しやすい場合があります。

そして、男性よりも女性は特に鉄不足になりやすい傾向にあります。妊娠中や授乳時にはいつもよりもたくさんの鉄分が必要となりますし、月経時には多くの鉄が失われてしまいます。

さらに女性は男性よりも体にたくわえられる鉄が少ないので、鉄分豊富な食材などを意識的にとりいれていくことが大切です。

「フェリチン」貯蔵鉄の低下

血液検査や人間ドックなどで鉄不足かどうかをチェックするには「ヘモグロビン値」を基準としています。しかし、鉄不足の初期段階ではヘモグロビンの数値にあらわれないので「隠れ貧血」の可能性も考えられます。

鉄は「貯蔵鉄」といって、肝臓など体内でたくわえられています。鉄が不足すると、ます最初に減っていくのが貯蔵鉄です。貯蔵鉄が失われていくと、やがてヘモグロビンがつくられなくなって貧血になります。

そのためヘモグロビン値が低下している場合はすでに貯蔵鉄が枯渇しているという状態です。 この貯蔵鉄の量は「血清フェリチン値」の濃度でわかります。

フェリチンの数値は貯蔵鉄の量を反映するものですが通常の検査では測定されないことが多いので、自分のフェリチン値を知りたい場合は、医療機関や医師へ事前に検査してもらえるか確認すると良いでしょう。

鉄不足の改善

ヘム鉄と非ヘム鉄

鉄不足を改善するためには鉄分が豊富な食材を日々の食生活に積極的にとりいれていくことが大切です。

鉄分が豊富な食材は、野菜や卵、海藻類などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」と、肉や魚などの動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」があります。

  • 非ヘム鉄は野菜や穀類などの植物性食品に多く、体内への吸収率は約2~5%
  • ヘム鉄は肉、レバー、魚などの動物性食品に多く、体内への吸収率は約15~25%

体への吸収率が高いのは動物性食品に多く含まれる鉄分(ヘム鉄)です。    

たんぱく質やビタミンC

良質なたんぱく質やビタミンCは鉄の吸収率を促進してくれる働きがあります。そのため非ヘム鉄は、たんぱく質やビタミンCを豊富に含む食材と一緒にとりいれることで吸収率を高めることができます。

他にもヘモグロビンの産生に必要なビタミンB6(豚もも肉、バナナ、じゃがいも)、ビタミンB12(カツオ、レバー、赤貝)、葉酸(牡蠣、ブロッコリー)などの栄養素を一緒にとると相乗効果で吸収率がアップします。

鉄製の調理器具

鉄分を摂取する方法として鉄分が豊富な食品をとりいれるほかに、鉄製の調理器具を使って食事をするという方法も効果を期待できます。

鉄鍋や鉄製のフライパン、鉄玉子などを使用して料理をすれば微量な鉄が溶け出し、手軽に鉄分の補給をしやすくなります。

注意点

緑茶やコーヒ、紅茶などに含まれるタンニンは鉄の吸収を阻害しやすいといわれています。食事の際は、タンニンを含まない麦茶やルイボスティー、ほうじ茶などが良いでしょう。

また食品からの摂取のみで鉄の過剰摂取にはなる可能性は考えにくいですが、鉄分の高含有量サプリメントなどを毎日大量に摂取し続けていると、神経痛や筋肉痛、知覚異常といった鉄過剰症となる可能性があるため、過剰摂取には注意が必要です。

効率良く身体に必要な鉄量を吸収するためには偏らずにいろいろな食品と組み合わせてバランスの良い食事を心がけていきましょう。

 

 

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病を患っています。 これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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