石鹸には 純石鹸 と石油由来の合成界面活性剤が含まれた石鹸があり、無添加石鹸とうたわれているものでも実際には合成界面活性剤や化学添加物がたくさん含まれていることも多いものです。
あれもこれもと過剰なスキンケアをしていると、気付いたら皮膚は薄くなり、乾燥肌や敏感肌になっていることも。
肌をあまやかすことをやめたら、肌本来の潜在能力が引き出されるかもしれません。これまでのスキンケアを見直してみましょう。
無添加石鹸とは全成分が無添加という意味ではない
化粧品やスキンケア用品の品質や有効成分、安全性の規定は薬事法によって守られています。 医薬部外品以外の化粧品の「全成分表示」が義務付けられており、配合量の多いものから順に記載されています。
無添加石鹸や自然派コスメ等と言われているものに関して、オーガニックやナチュラル思考の歴史が長いヨーロッパ諸国では明確な基準が認証されています。
一方で、日本国内の薬事法では明確な基準が定められておらず、今のところ表記はメーカー次第であるというのが実情です。
少量の植物由来成分が含まれているだけでオーガニックコスメと表記されていたり、石油由来の成分や防腐剤・アルコール・香料などの様々な添加物のうち一つでも含まれていなければ無添加石鹸、無添加コスメ等と表記されている商品が沢山あるのも現実です。
純石鹸とは
石鹸の素材だけでできている
純石鹸は合成界面活性剤や化学添加物が含まれていません。植物性と動物性の脂肪酸に水と苛性ソーダを加えて天然の界面活性作用をもたせた純粋な石鹸素地のみで構成されています。
合成界面活性剤や化学添加物が含まれていない純石鹸は本当の意味で無添加石鹸といえます。肌の不要な汚れだけを落とし、肌にやさしく安全な成分であるということは地球環境にもやさしいのです。
脂肪酸カリウムと脂肪酸ナトリウムが98%以上
洗顔石鹸の中でも、肌に安全でやさしい成分の純石鹸は「脂肪酸カリウムと脂肪酸ナトリウムの配合が98%以上で、全ての化学添加物がフリーなもの」という規格が定められております。
肌を活性化させる弱アルカリ性
純石鹸は弱アルカリ性の働きにより、肌のターンオーバーを正常化し、肌本来の力を引き出してくれます。
純石鹸を使い始めの頃は、洗顔後に肌のつっぱり感があるかもしれませんが、それは肌が活性化しようとしている状態なのです。
3ヶ月から半年も経てば肌は生まれ変わり、本来の健康な肌を取り戻すでしょう。いわば天然の美容液である皮脂の分泌が促されるような健康な肌になれば洗顔後の保湿ケアはさほど必要なくなるのです。
個人差はありますので、自分の肌と相談しながら無理のない範囲で継続してみてくださいね。
保湿成分を含む高機能な純石鹸の製造方法
石鹸の製法は、機械を使って短時間で大量生産できる「中和法」と、手間と時間をかけ鹸化(けんか)してつくる「コールドプロセス」と「ホットプロセス」があります。
低価格で大量生産されているものは中和法を用いている場合が多く、鹸化法では熟練した職人の技術によって手間と時間をかけた贅沢な石鹸がつくられるため、高級な石鹸が多いです。
コールドプロセス(冷製法)
洗浄成分となる石鹸を作るためには鹸化(けんか)や中和の異なる化学反応をおこし製法していきます。
コールドプロセス製法では冷製法ともいい、古来からある伝統的で最もシンプルな製法です。 石鹸の成分を混ぜたときに自然に発生する40度前後の低温の熱を利用し鹸化していきます。
その後、熱を冷ましながら1ヶ月以上かけて石鹸を作っていきます。 低温で行うために原料の油脂に含まれるグリセリンやスクワラン・ビタミンA、D、Eなど天然保湿成分を残すことができ、油脂の劣化が少なく、美容成分が豊富な石鹸を作ることが可能になります。
ホットプロセス(釜焚きけん化法)
コールドプロセスとは反対に、ホットプロセスは人工的に窯の中で90度~100度の高温で加熱して作っていきます。天然油脂と苛性ソーダを加えて加熱し、数日かけて焚き上げていきます。
その後、食塩を加える塩析(えんせき)という方法で不純物を取り除くという工程を何度も繰り返し、純度の高い石鹸に仕上げていきます。(塩析をしない方法もあり)
こちらも世界中で古くから用いられてきた製法で天然保湿成分や美容成分を石鹸に残すことができます。
枠練り製法
焚きあげられた石鹸素材を熟練した職人の技術により手作業で枠に流しいれて、時間をかけて冷やし固めていきます。
乾燥させたあと熟成させていき、長いものでは半年近く熟成させて作られた石鹸もあります。
様々な工程を手間と時間をかけ丁寧につくられた石鹸はコストも高くなってしまいますが、美容成分が豊富にとじこめられ、型崩れしにくく溶けにくい、純粋で贅沢な石鹸に仕上がります。
保湿成分が残らない純石鹸の製造方法
連続中和法(大量生産)
原料の油脂をあらかじめ脂肪酸とグリセリンに分離して、脂肪酸とナトリウムを化合させてつくる製法が中和法です。
手間がかからず、品質が安定していて、生産単価が安く、大量生産に向いているため大手メーカーの石鹸はこの製法を用いていることが多いです。
連続けん化法(肌が乾燥しやすい)
油脂と苛性ソーダを均一に、かつ高速で接触させる連続製造方法を連続けん化法と呼びます。
方法は何種類もあり、安価なコストで大量生産ができるので大手化粧品メーカーや大手洗剤メーカーにこの製造方法が使われています。
効率性やコストを優先しているために、合成化学物質が添加され、石油化学系の不純物が混入してくることもないとはいえないので使い続けていると肌が乾燥しやすくなることも。 乾燥肌や敏感肌の方は注意が必要です。
機械練り製法(低価格)
製法の全工程を機械で仕上げる機械練り製法は、材料をまとめて機械で練り、そのあと一気に冷やし固めます。人手がかからずリーズナブルに短時間で大量生産ができます。
機械練り石鹸は短時間で製法するために原料の98%以上を石鹸素地とする必要があり、原料のほとんどが石鹸素地のため、保湿成分を配合させる余地が少ないのです。
低価格で泡立ちがよく、洗浄力も高いので、さっぱりとした洗い上がりを好む方には良いでしょう。
肌本来の力を引き出すために
様々な美容アイテムがある現代では、過剰なスキンケアや肌を過保護にし過ぎてしまうことで肌トラブルをおこしてしまったり、いつの間にか肌そのものの力が弱くなってしまうことは少なくありません。
ファスティングや肌断食という言葉があるように、純石鹸で洗顔後はできるだけ何もつけないことがポイント。どうしてもつけたい場合は白色ワセリンやグリセリン化粧水などシンプルケアで対応するという方法も。
そして、入浴後は少量のクエン酸をお湯に溶かして、上がり湯として全身に浴びることで肌が弱酸性に戻るので、つっぱり感などが緩和されやすくなります。
クエン酸が無ければお酢やビタミンCでもOKです。 ビタミンCは水道水に含まれる塩素を除去してくれるので、塩素除去機能のあるシャワーヘッドに変えたり、ほんの少量のビタミンCをお湯に溶かした上がり湯を浴びるだけで肌の乾燥を防ぐとともに頭皮のかゆみが軽減したり、髪の毛も健やかになるのを私は実感しています。
私たちの肌には様々な外部環境の変化に順応できるよう「スキンホメオスタシス」という力が本来備わっています。肌にとって負担となる不自然な成分を与えないことで、すこやかな肌を保つ常在菌が元気になり、スキンホメオスタシスが活性化しやすい環境になります。
元々持っている肌の力が引き出されることで、乾燥肌や敏感肌だと思っていた人が健康な肌を取り戻したりすることも多いです。 毛穴がしまり、肌トラブルが改善され、スキンケアにかける時間もお金も節約できるでしょう。
乾燥が気になる方は化学添加物の入っていない高保湿な純石鹸を試してみてくださいね。 肌の正常なターンオーバーサイクルは約28日。
最低でも1ヶ月以上は継続しないと効果はわからないので、無理のない範囲で自分の肌と相談しながら試してみてはいかがでしょうか。