天候が悪くなる前日や雨の日は朝からテンションが上がらず、やる気がおきなかったり、倦怠感や頭痛、抑うつ症状など、身体の不調を感じたことはありませんか?
雨の日や台風の時期に体調不良や気分の変化などを感じている方は少なくありません。これらの体調の変化は、天候と自律神経の深い関係性にあります。
心と体のバランス機能
私たちの身体には体内環境を適切に保つための「ホメオスタシス」という機能が備わっています。(生体恒常性)
ホメオスタシスは、自律神経系、内分泌系(ホルモン)、免疫系の3大機能で構成され、それぞれは連携をとりあい三位一体の働きによって健康バランスを保っています。
このうち、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。 交感神経は主に日中の活動時に働きます。興奮時や緊張した時、寒い時などに働き、心拍数や血圧を上げて身体を活動モードにします。
副交感神経は食事の時や休息時、主に夕方から夜にかけて働きます。心拍数は安定し、血圧を下げ、緊張をほぐして眠気を催したり、心身をリラックスモードにします。
この二つの神経は生活リズムや天候状況、ストレスなどのあらゆる環境の変化に応じて両者が交互に作用し、心と体のバランスを調整しています。
交感神経と副交感神経はシーソーのように上下してバランスを保ちながら身体の機能を維持していますが、この揺れが大きく激しくなることで体調が不安定になりやすく、自律神経のバランスが悪くなると考えられています。
健康な人ほどこの揺れは小さいといわれています。
雨の日の体調不良
低気圧と急激な気圧の変化
天候が下り坂になる雨の日の前は、気圧が下がってきます。耳の奥にある内耳センサーによって気圧の変化を感知し、脳へ伝わり自律神経が働きます。
気圧が下がると血管が膨張するので、神経が圧迫され、めまいや頭痛などの痛みが生じやすくなります。そして大気中の酸素が少なくなり、体に十分な酸素をとりこめなくなるので、体を休息させようとして副交感神経が活発に働くようになります。
副交感神経が優位に作用すると、身体をリラックスモードにするので、眠気を催しベッドから出るのが辛くなったり、やる気や意欲が低下しやすくなってしまうのです。
また、季節の変わり目や、特に台風の接近時には、通常の雨天時よりも非常に強い低気圧になるので注意が必要です。 急な天候の変化に身体がついていけず、血管が急激に拡張して痛みや身体の不調が出やすくなります。
特に気圧が下がっている最中に、自律神経の揺れが大きくなり、バランスが乱れやすくなります。
一方、天候が良くなる高気圧に向かっている時は身体の不調は現れにくいと考えられています。
太陽光の不足
朝、目覚めた時にしっかりと太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされ、自律神経の調整につながります。
太陽光が不足すると、精神を安定させるホルモンのセロトニンや、カルシウムの吸収を促進するビタミンDがつくられず、免疫力も活性化しにくくなってしまいます。
ビタミンDは不足しがちな栄養素です。魚やキノコ類など食べ物から摂取するほか、太陽の光が皮膚にあたることで生成されるので、適度な日光浴は大切です。
そのため雨の日が続いたり、一日中 太陽光の入らない室内で過ごす日々を続けていると、日照不足となって自律神経のバランスが乱れ、うつ症状が現れやすくなったり、様々な体調不良におちいりやすくなってしまうのです。
特に日照時間の少ない冬は、季節性のうつ病「冬季うつ」「ウィンターブルー」といった症状が現れやすくなります。
日照時間の短い北欧の地域では うつ病をはじめメンタル系の疾患に悩まされる方が多く、ビタミンDを栄養補助剤などから積極的にとりいれているそうです。
パリジャンが冬でもテラス席を好むのは自然と身体が欲しているのかもしれませんね。
副交感神経優位でやる気が低下
雨の日の低気圧・高湿度・低酸素による天候の変化は身体にとってストレスとなり、身体を休ませようと副交感神経が活発に働くようになります。
リラックスモードの副交感神経が優位に働くことによって、テンションが下がり、眠くなったり、やる気が起きにくくなります。
一方、湿度の低いからりとした快晴では、気圧が高くなって大気中の酸素が多くなります。
そのため体内にたくさんの酸素がとりこまれ、交感神経が優位に働いて、活動的になったり、攻撃的になったりもします。
雨の日に現れやすい主な不調
- 頭痛、腰痛、肩こり、関節痛などの痛み
- めまい、耳鳴り
- 全身のむくみ
- 倦怠感
- 眠気
- 落ちこみや不安感、抑うつ気分
- やる気や集中力の低下
- 鼻水などのアレルギー症状や喘息症状
雨の日に現れやすい不調は、これらのほかにも身体の弱っている部分が強く出やすくなります。
そして、普段から自律神経が乱れがちな方や、乗り物酔いしやすいタイプ、体調不良で免疫力が低下している時、何らかの病を患っている方は、季節の変わり目や天候の変化による影響を受けやすいといわれています。
「気象病」や「天気痛」とも呼ばれています。 また、副交感神経優位では白血球のリンパ球が増え免疫力が高まる作用がある一方、働き過ぎると花粉症などのアレルギー体質になりやすくなったり、喘息やアレルギー症状が強く現れるようになります。
そして大人よりも子供は副交感神経が優位な状態なので、日光を浴びながら外で遊ばせた方が交感神経が適度な刺激となってアレルギー対策にもなります。
天候に振り回されない対策
天候に振り回されないためには、日頃から自律神経を整え、健康管理をしていくことが大切です。ストレスをためないようにしたり、自然のリズムに沿った、規則正しい生活が自律神経を整え、雨の日不調の軽減につながります。
規則正しいリズムのために、毎日の起床時間や就寝時間、食事の時間、排泄の時間、入浴時間などを一定に保つよう心がけます。 食事は添加物や化学調味料の多い食品を避け、オーガニックな自然食や身体を温める食材を選ぶようにしましょう。
体温を上げると免疫力が高まり、自律神経が整えられやすくなります。 また、薬の多くは石油を原料とした脂溶性の化学薬品なので、手軽に飲みがちな頭痛薬などもできるだけ避けた方が良いでしょう。
疾患によって必要な場合は、減らしたり、最小限の量にして、ストレス対策や食事、生活習慣を見直して身体の機能を高めていくことが大切です。
- 規則正しい生活リズム
- ストレス軽減対策
- 良質で十分な睡眠
- 添加物や遺伝子組み換え作物、小麦粉、白砂糖などを避ける
- オメガ3脂肪酸、発酵食品、抗酸化食品を積極的にとり腸内環境を整える
- 適度なカフェインは血管収縮作用があり痛みを緩和
- 無理のない適度な運動で心拍数を上げ交感神経とのバランスをとる
- 天気の良い日は太陽光を浴び普段から体内リズムを整えておく
- お風呂で体を温める
- 体温を上げて、免疫力を高める
- お酒は血管拡張作用があるので飲み過ぎ注意
- 気軽に薬に頼らない、できるだけ必要最小限に
- 低気圧アプリ等で気圧の変化を事前にチェック
- 頭痛を緩和するミントのハーブティー
副交感神経に偏り過ぎて気だるい雨の日は、家の中でふさぎこんでいるより、あえて運動をしたり、体を動かしたり、活動的に過ごしてみてはいかがでしょうか?
交感神経が活発になることでバランスが整いやすくなります。