炎症を抑える抗炎症食は免疫力アップ+アンチエイジング食

本来、炎症は病原細菌やウィルス、ハウスダスト、花粉、紫外線、外傷など危険な異物の侵入、異常事態に対して体が起こす防衛反応です。

炎症は発熱や赤み、腫れ、痛みなどの症状として体が感染や怪我から身を守る大切な反応です。

一方、日常受けているストレスや活性酸素、炎症性食品、糖質の摂りすぎによってできるAGEなどによる自覚症状の無い慢性的な弱い炎症があります。

慢性炎症は体内で静かに炎症が継続している状態で、体重の増加や老化、免疫障害、さまざまな病気につながる可能性があります。(4)

2004年アメリカのタイムズ紙では “The Secret Killer” と称して慢性炎症がとりあげられ、炎症は酸化、糖化に次ぐ3つ目の病気や老化の最大原因ではないかと注目されています。

研究ではいくつかの抗炎症食が炎症を抑えるのに役立つ可能性があるといわれています。

アブラナ科の野菜

アブラナ科の野菜にはブロッコリー、小松菜、キャベツ、カリフラワー、大根、ワサビ、ケール、クレソンなどがあります。

アブラナ科の野菜は切ったりすりおろしたりすることで細胞が壊れ、アブラナ科の野菜に含まれるグルコシノレートに対するミロシナーゼという酵素反応によってイソチオシアネートが生成されます。

イソチオシアネートは辛味成分のもとで、免疫力を高める代表的なフィトケミカルのひとつ。イソチオシアネートには炎症を引き起こすサイトカインのレベルを下げる抗炎症作用や、過剰な活性酸素から細胞の損傷を防ぐ抗酸化作用、体内の解毒力を活性化して肝機能の向上、がん予防、代謝アップ、アンチエイジングなどにも効果を期待できます。(1)

「イソチオシアネート」の驚くべきパワー免疫力アップ老化予防も

脂肪分の多い魚

マグロ、サバ、鮭、イワシ、ブリなど脂肪分の多い青魚などにはオメガ3脂肪酸のDHA/EPAが豊富に含まれています。

 DHAとEPAは全身の細胞をつつむ細胞膜をしなやかにしてくれるので、細胞内外の情報伝達がスムーズなり、炎症を抑えるのに役立ちます。

痛みや炎症の原因物質として知られている生理活性物質のプロスタグランジンには、抗炎症に作用するという両側面を持っています。魚の油に含まれるEPAなどオメガ3脂肪酸を多く摂ることで炎症を抑えるプロスタグランジンがつくられることに。

肉などの動物性脂肪に多く含まれるアラキドン酸は炎症を引き起こすプロスタグランジンをつくってしまうので、炎症体質の人は控えた方が良いですね。

食べる油の種類によって細胞膜の不飽和脂肪酸の組成が変わるため、魚を沢山食べる食生活にすることで炎症を抑えるプロスタグランジンが出やすくなり、高血圧や糖尿病、肥満、生理痛、アレルギー、花粉症、喘息、頭痛など慢性的な炎症の軽減に役立ちます。(2,3)

積極的に摂りたいオイルの代表格「オメガ3脂肪酸」の健康効果

ポリフェノール

ポリフェノールは抗炎症作用、抗酸化力の高いフィトケミカル(植物性化学物質)を含む成分です。

ポリフェノールにはアントシアニン(ベリー類)、クルクミン(ウコン)、カテキン、クロロゲン酸(コーヒーなど)、ショウガオール(ショウガ)、セサミン(ごま)、イソフラボン(大豆製品)、ヘスペリジン(みかん)などがあります。

ポリフェノールの種類によって作用は異なりますが、それぞれ強力な抗炎症作用と抗酸化作用が特徴。では代表的なポリフェノール食材です。

アントシアニン

アントシアニンにはベリー類(いちご、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーなど)やぶどう、なす、紫いも、黒豆、小豆、赤キャベツなどがあります。

アントシアニンには抗酸化物質が豊富で、炎症を軽減し、免疫力を高め、心疾患、糖尿病、アルツハイマー病、肥満など病気のリスクを下げる可能性があります。(5)

クルクミン

クルクミンはカレーなどのインド料理によく使われるスパイス。ターメリック(ウコン)に含まれる黄色い色素成分で、カレーの場合ルウよりもカレー粉に多く含まれています。

クルクミンは強力な抗炎症作用をはじめ、代謝や免疫力の向上を助ける働きがあります。(6) ブラックペッパーと一緒にとることでクルクミンが吸収されやすくなります。

クルクミンの多様な健康効果に注目!脳の機能も活性化?

カテキン

カテキンは紅茶やウーロン茶にも含まれていますが、特に緑茶に多く含まれています。カテキンにはいくつかの種類があり、その中のエピガロカテキンガレートには高い抗炎症作用と抗酸化力があります。

エピガロカテキンガレートは炎症を誘発するサイトカインの産生や病気につながる可能性のある細胞の損傷を防ぎ、炎症を抑制。(7)

免疫力向上に役立つ緑茶のエピガロカテキンガレートとは

カロテノイド

カロテノイドはフィトケミカルの一種で強い抗酸化作用、抗炎症作用をもつ天然の脂溶性色素です。

カロテノイドの食材にはベータカロテン(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草)、リコピン(トマト、スイカなど)、アスタキサンチン(鮭、エビ、オキアミなど)、ルテイン(ほうれん草、かぼちゃ、ケール、卵黄)などがあります。

リコピン

リコピンはトマトに含まれる赤い色素成分で強力な抗酸化作用、抗炎症作用をもち、血流を改善する作用に優れています。

抗酸化作用によって活性酸素を抑制し、炎症誘発性サイトカインの生成を減らすのに役立つ可能性があります。(8)トマトはオリーブオイルと一緒に加熱調理することでリコピンの吸収率が高まります。

アスタキサンチン

アスタキサンチンはベータカロテンの数千倍もの抗酸化力、抗炎症作用をもちます。アスタキサンチンは鮭、エビ、カニ、オキアミなどに含まれています。

鮭にはアスタキサンチンのほか、炎症の軽減に役立つDHA/EPAも含まれているので優れた抗炎症食材です。

鮭はスーパーフード!アスタキサンチンとDHAで最強シナジー効果

ポリアミン

ポリアミンは大豆製品や発酵食品、きのこ類に多く含まれており、炎症を防ぐ強力な成分。ポリアミンは細胞の生まれ変わりに関わるなど健康寿命に重要な成分として注目されています。

ポリアミンは加齢とともに体内で合成されにくくなってしまうので食べ物などから積極的に補うことが大切です。

きのこ類は加熱調理すると抗炎症成分が減少してしまうので、軽く調理して食べると良いでしょう。(9)

抗炎症食で免疫力アップ老化予防

砂糖や菓子パン、ドーナツ、ケーキ、スナック菓子、ジャンクフード、大豆油、コーン油、ベーコン、サラミ、マーガリン、人工甘味料、異性化糖などは炎症を悪化させてしまうので、こうした食品はできるだけ控え、抗炎症食品を意識的に摂りいれ免疫力を高めてエイジングケアにも役立てていきたいですね。

アレルギーや病気の原因となる炎症を引き起こす「炎症食」とは

【参考文献】

(1) Guerrero-Beltrán CE, Calderón-Oliver M, Pedraza-Chaverri J, Chirino YI. Protective effect of sulforaphane against oxidative stress: recent advances. Exp Toxicol Pathol. 2012 Jul;64(5):503-8. doi: 10.1016/j.etp.2010.11.005. Epub 2010 Dec 3. PMID: 21129940.

(2) Grimstad T, Berge RK, Bohov P, Skorve J, Gøransson L, Omdal R, Aasprong OG, Haugen M, Meltzer HM, Hausken T. Salmon diet in patients with active ulcerative colitis reduced the simple clinical colitis activity index and increased the anti-inflammatory fatty acid index–a pilot study. Scand J Clin Lab Invest. 2011 Feb;71(1):68-73. doi: 10.3109/00365513.2010.542484. Epub 2010 Dec 8. PMID: 21142420.

(3) Ellulu MS, Khaza’ai H, Patimah I, Rahmat A, Abed Y. Effect of long chain omega-3 polyunsaturated fatty acids on inflammation and metabolic markers in hypertensive and/or diabetic obese adults: a randomized controlled trial. Food Nutr Res. 2016 Jan 29;60:29268. doi: 10.3402/fnr.v60.29268. PMID: 26829184; PMCID: PMC4734034.

(4) Calder PC, Ahluwalia N, Brouns F, Buetler T, Clement K, Cunningham K, Esposito K, Jönsson LS, Kolb H, Lansink M, Marcos A, Margioris A, Matusheski N, Nordmann H, O’Brien J, Pugliese G, Rizkalla S, Schalkwijk C, Tuomilehto J, Wärnberg J, Watzl B, Winklhofer-Roob BM. Dietary factors and low-grade inflammation in relation to overweight and obesity. Br J Nutr. 2011 Dec;106 Suppl 3:S5-78. doi: 10.1017/S0007114511005460. PMID: 22133051.

(5) Joseph SV, Edirisinghe I, Burton-Freeman BM. Berries: anti-inflammatory effects in humans. J Agric Food Chem. 2014 May 7;62(18):3886-903. doi: 10.1021/jf4044056. Epub 2014 Mar 17. PMID: 24512603.

(6) Linus Pauling Institute | Oregon State University

(7) Tipoe GL, Leung TM, Hung MW, Fung ML. Green tea polyphenols as an anti-oxidant and anti-inflammatory agent for cardiovascular protection. Cardiovasc Hematol Disord Drug Targets. 2007 Jun;7(2):135-44. doi: 10.2174/187152907780830905. PMID: 17584048.

(8) Palozza P, Parrone N, Catalano A, Simone R. Tomato Lycopene and Inflammatory Cascade: Basic Interactions and Clinical Implications. Curr Med Chem. 2010;17(23):2547-63. doi: 10.2174/092986710791556041. PMID: 20491642.

(9) Gunawardena D, Bennett L, Shanmugam K, King K, Williams R, Zabaras D, Head R, Ooi L, Gyengesi E, Münch G. Anti-inflammatory effects of five commercially available mushroom species determined in lipopolysaccharide and interferon-γ activated murine macrophages. Food Chem. 2014 Apr 1;148:92-6. doi: 10.1016/j.foodchem.2013.10.015. Epub 2013 Oct 14. PMID: 24262531.

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
投稿を作成しました 169

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る