免疫システムを高めるために役立つ食品と栄養素

免疫力を高めるためには全身の免疫細胞が集まっている腸内環境を改善することが重要なポイントのひとつです。

腸の状態を良くして、免疫細胞を活性化させるためには特定の食品や栄養素が免疫システムに役立つかもしれません。

ブロッコリー

ブロッコリーはビタミンやミネラルが豊富に含まれている代表的な緑黄色野菜のひとつです。

風邪を予防したり免疫力を高めてくれる効果があるとして知られているビタミンACE(エース)をはじめ、免疫力を司る腸内環境に良い食物繊維が豊富に含まれています。

そしてアブラナ科の野菜であるブロッコリーには酵素反応によってイソチオシアネートの一種スルフォラファンが生成されます。

このスルフォラファンには優れた抗酸化作用があり過剰な活性酸素によって細胞が酸化されるのを防ぎ、さまざまな病気の予防やアンチエイジングにも効果を期待できます。(1)

ブロッコリーの調理法は研究によって蒸し調理がより多くの栄養素を摂取できる最良の方法であるといわれています。(2)

赤ピーマン

ピーマンにはカロテノイドと呼ばれる抗酸化物質やビタミンCが豊富に含まれています。ピーマンは緑、黄、赤などさまざまな色のピーマンがありますが、赤ピーマンにはベータカロテンビタミンCの量が最も多く含まれています。(3,4)

ビタミンCについては可食部100gあたり170mgと野菜の中でも非常に多く含まれています。

ベータカロテンはカロテノイドの一種で優れた抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、体内では必要に応じてビタミンAに変換されます。

ビタミンAは皮膚や粘膜を丈夫にしてくれるのでお肌やのどの乾燥を防ぎ、風邪や感染症予防、目の健康維持にも欠かせない栄養素です。

そしてビタミンCは免疫力を高めるだけでなく、紫外線などから皮膚のダメージを保護したり、コラーゲンの生成にも必要でお肌のエイジングケアにも役立ちます。

にんにく

古くからニンニクに含まれる成分は免疫系が細菌と戦うのを助けたり、アメリカのがん予防に効果的な食材をあらわすデザイナーフーズピラミッドの頂点に君臨するなどニンニクは健康のためになくてはならない存在です。

ニンニクはネギなどユリ科の植物で刺激臭や辛み成分のもととなる硫黄化合物は、切ったりすりおろしたりして細胞が壊れることでアリナーゼなど酵素反応によって「アリシン」という成分が生成されます。

アリシンは「硫化アリル」「アリル化合物」とも呼ばれ、研究では免疫細胞の機能が強化される可能性が示されています。

またニンニクに含まれるアリシンは豚肉などのビタミンB1と一緒に摂取することで吸収力がアップし、身体の代謝を促進したり疲労の回復を早めてくれる働きもあります。(5,6)

ショウガ

ショウガには殺菌作用や冷え性の改善、抗炎症作用、抗酸化作用、抗糖化作用、吐き気を軽減老化予防、胃の健康を保つなど多くの生理活性作用を持つことから古来より世界中で親しまれてきています。

ショウガに含まれるジンゲロンやショウガオール(フィトケミカルの一種)には殺菌効果があり、風邪や感染症を予防したり、食中毒の予防をできます。

そして体を温め、血流を良くしてくれるので免疫細胞の働きが活発になります。体温が1度上がると免疫力がおよそ30%上昇するといわれています。(7,8,9,10)

ほうれん草

ほうれん草はペルシャ原産で、ブロッコリーと同じく栄養素や抗酸化物質が豊富に含まれている緑黄色野菜です。

細胞の酸化を防ぎ免疫力を高める強力な抗酸化物質のベータカロテン、ルテイン、ビタミンCをはじめ、ビタミンB群、E、K、葉酸、鉄カルシウムなどのミネラル、食物繊維など健康のために効果を期待できる栄養成分が豊富です。

ベータカロテンやルティンはカロテノイドの一種で強力な抗酸化作用を持ちます。ベータカロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変わり皮膚やのどの粘膜を丈夫に保ち風邪や感染症を予防します。

眼の水晶体に多く存在するルティンは老化の原因となる活性酸素を抑え、眼の健康維持にも役立ちます。

さらにビタミンCやEは免疫力アップやアンチエイジングにも効果的で、抗酸化物質と相乗効果で細菌やウィルスを攻撃する白血球リンパ球の機能を高め免疫システムを強化する効果が期待されています。(11,12,13,14)

柑橘類

オレンジやグレープフルーツ、ミカン、レモン、ライムなどの柑橘類は多くのビタミンCを含んでいます。風邪をひいたときにビタミンCが豊富な果物などを自然と求めたり摂取した経験はありませんか。

それはビタミンCが感染と戦うための白血球の生産を増やして免疫システムを適切に機能し病気などから体を守ってくれるからです。

ビタミンCは風邪や傷の治りを早めたり、食品からの鉄の吸収を促進し、美肌のために必要なコラーゲンの合成にも欠かせない成分です。

柑橘類には果物の中でもビタミンCがより多く含まれているほか、各種ビタミン、ミネラル、抗酸化作用のあるフラボノイドやカロテノイドなどが豊富に含まれ、さまざまな健康上の効果を併せ持っています。

水溶性のビタミンCは体内に蓄えておくことができず、ストレスや寝不足、食品添加物、過度な飲酒、加齢などによって失われやすい栄養素なのでこまめにとりいれていくことが大切です。(15)

厚生労働省によるとビタミンCは成人で健康維持のため最低限の推奨摂取量は1日あたり100mgといわれていますが、健康やエイジングケアの効果を期待するなら少なくても1日1000mg以上は必要です。

キウイフルーツ

キウイフルーツはビタミンC、ビタミンK、ビタミンE、葉酸、カリウムなどの栄養素が豊富で多くの抗酸化物質を含んでいます。

ビタミンCは病気や老化の原因となる過剰な活性酸素を抑える抗酸化作用をはじめ、アレルギーなどの炎症を抑える抗炎症作用、ウィルスや細菌と戦うための白血球をサポートし免疫システムを強化します。

そのため感染症を予防したり、風邪などの回復を早めてくれます。

さらにキウイフルーツには抗酸化作用に優れたビタミンEを含んでいるため、ビタミンCと相乗効果によってそのパワーが強化されます。(16)

発酵食品

発酵食品にはヨーグルト・納豆・漬物、味噌、醤油(乳酸菌)などがあります。

善玉菌のビフィズス菌や乳酸菌は、悪玉菌のウエルシュ菌や大腸菌を抑え腸内環境を改善してくれるのに役立ちます。

腸には全身の免疫細胞の約70%が存在すると言われているため腸内環境を整えることで免疫力のアップにつながります。

ナッツ類

アーモンドやクルミ、ひまわりの種など、多くのナッツ類には豊富なビタミンEやオメガ3脂肪酸を含んでいます。

ビタミンEは優れた抗酸化作用を持ち免疫システムの調整や維持に必要な存在です。若返りのビタミンとも呼ばれているので皮膚の水分保持や皮膚組織の修復、紫外線などのダメージから皮膚を保護してくれるのにも役立ちます。

オメガ3脂肪酸は人間が体内でつくることができない必須脂肪酸で、細胞膜の原料となり脳や体の健康維持、エイジングケアとしても必要不可欠な存在です。

オメガ3脂肪酸は青魚や亜麻仁油などに含まれ、不足しがちな脂肪酸なので積極的な摂取が大切です。

緑茶

緑茶に含まれるポリフェールの一種、エピガロカテキンガレートにはカテキンの中でも強い抗酸化作用や抗ウィルス活性作用があり、免疫機能を高めることがいくつかの研究で示されています。

老化の原因となる活性酸素に結びつき体から取り除く他、白血球の働きを高め、体内に入り込んだウイルスが細胞につきにくい状態をつくります。


また、食中毒菌をはじめとする体内に入り込んだ細菌の増殖を抑え、継続的に摂り続けることで健康維持に役立ちます。(17,18)

たんぱく質

肉、魚介類、卵、乳製品などのたんぱく質は、免疫細胞や抗体の材料となる重要な栄養素です。

病の原因のおよそ9割は体内で発生する過剰な活性酸素だといわれていますが私たちの体には活性酸素に対抗するための「抗酸化力」があります。

「SOD」、「カタラーゼ」、「グルタチオン」などの活性酸素分解酵素で、この3種類は連携をとりあいながら活性酸素と戦っています。

そしてこれらの酵素が働くためには、鉄や亜鉛などのミネラル、そしてたんぱく質が必要です。

そのため抗酸化酵素の構成要素であるたんぱく質が欠けると、活性酸素を抑制するための抗酸化力が低下してしまいます。

良質なたんぱく質を摂ることで、活性酸素を抑制し免疫細胞の働きが活性化されます。

亜鉛

たんぱく質の合成など細胞の新生や抗酸化酵素の構成要素に関与している亜鉛は、免疫システムにもかかわっています。

亜鉛が不足すると抗酸化力や免疫力が弱まり、代謝が低下して、風邪や感染症にかかりやすくなったり、病気や傷の治りが遅くなったり、抜け毛、肌あれ、爪の障害などが現われやすくなります。

亜鉛を多く含む食材は牡蠣や豚レバーなどです。日本人は潜在的に亜鉛が不足気味であるとの報告がされているため積極的にとりいれたい栄養素のひとつです。

栄養素をバランス良く組み合わせて

ビタミンなどは単体でとるよりも他の栄養素と組み合わせてとりいれることで、体への吸収率が高まり相乗効果でより多くの健康機能の維持に役立ちます。

免疫力はストレスや加齢、薬剤など様々な要因によって低下してしまいます。休息や適度な運動をとりいれながら各栄養素をバランス良く摂取し、自分のために、大切な人のために健康機能を保っていきましょう。

【参考文献】

(1) Briones-Herrera A , Eugenio-Pérez D , Reyes-Ocampo JG , Rivera-Mancía S , Pedraza-Chaverri J . New highlights on the health-improving effects of sulforaphane. Food Funct. 2018;9(5):2589-2606. doi:10.1039/c8fo00018b

(2) Yuan GF, Sun B, Yuan J, Wang QM. Effects of different cooking methods on health-promoting compounds of broccoli. J Zhejiang Univ Sci B. 2009;10(8):580-588. doi:10.1631/jzus.B0920051

(3) Yazdizadeh Shotorbani N, Jamei R, Heidari R. Antioxidant activities of two sweet pepper Capsicum annuum L. varieties phenolic extracts and the effects of thermal treatment. Avicenna J Phytomed. 2013;3(1):25-34.

(4) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所|宮城県農業・園芸総合研究所|収穫したカラーピーマン果実に対する光照射に伴うカロテノイド生合成関連遺伝子の発現変化

(5) Arreola R, Quintero-Fabián S, López-Roa RI, et al. Immunomodulation and anti-inflammatory effects of garlic compounds. J Immunol Res. 2015;2015:401630. doi:10.1155/2015/401630

(6) Nantz MP, Rowe CA, Muller CE, Creasy RA, Stanilka JM, Percival SS. Supplementation with aged garlic extract improves both NK and γδ-T cell function and reduces the severity of cold and flu symptoms: a randomized, double-blind, placebo-controlled nutrition intervention. Clin Nutr. 2012;31(3):337-344. doi:10.1016/j.clnu.2011.11.019

(7) Azam F, Amer AM, Abulifa AR, Elzwawi MM. Ginger components as new leads for the design and development of novel multi-targeted anti-Alzheimer’s drugs: a computational investigation. Drug Des Devel Ther. 2014;8:2045-2059. Published 2014 Oct 23. doi:10.2147/DDDT.S67778

(8) Ernst E, Pittler MH. Efficacy of ginger for nausea and vomiting: a systematic review of randomized clinical trials. Br J Anaesth. 2000;84(3):367-371. doi:10.1093/oxfordjournals.bja.a013442

(9) Wu KL, Rayner CK, Chuah SK, et al. Effects of ginger on gastric emptying and motility in healthy humans. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2008;20(5):436-440. doi:10.1097/MEG.0b013e3282f4b224

(10) Chang JS, Wang KC, Yeh CF, Shieh DE, Chiang LC. Fresh ginger (Zingiber officinale) has anti-viral activity against human respiratory syncytial virus in human respiratory tract cell lines. J Ethnopharmacol. 2013;145(1):146-151. doi:10.1016/j.jep.2012.10.043

(11) Jiraungkoorskul W. Review of Neuro-nutrition Used as Anti-Alzheimer Plant, Spinach, Spinacia oleracea. Pharmacogn Rev. 2016;10(20):105-108. doi:10.4103/0973-7847.194040

(12) Ko SH, Park JH, Kim SY, Lee SW, Chun SS, Park E. Antioxidant Effects of Spinach (Spinacia oleracea L.) Supplementation in Hyperlipidemic Rats. Prev Nutr Food Sci. 2014;19(1):19-26. doi:10.3746/pnf.2014.19.1.019

(13) Stephensen CB. Vitamin A, infection, and immune function. Annu Rev Nutr. 2001;21:167-192. doi:10.1146/annurev.nutr.21.1.167

(14) Seddon JM, Ajani UA, Sperduto RD, et al. Dietary carotenoids, vitamins A, C, and E, and advanced age-related macular degeneration. Eye Disease Case-Control Study Group [published correction appears in JAMA 1995 Feb 22;273(8):622]. JAMA. 1994;272(18):1413-1420.

(15) Lv X, Zhao S, Ning Z, et al. Citrus fruits as a treasure trove of active natural metabolites that potentially provide benefits for human health. Chem Cent J. 2015;9:68. Published 2015 Dec 24. doi:10.1186/s13065-015-0145-9

(16) 生理学と薬理学カナダのジャーナル|キウイフルーツ:健康のための私たちの毎日の処方箋

(17) Chacko SM, Thambi PT, Kuttan R, Nishigaki I. Beneficial effects of green tea: a literature review. Chin Med. 2010;5:13. Published 2010 Apr 6. doi:10.1186/1749-8546-5-13

(18) アレルギーと臨床免疫学のジャーナル|エピガロカテキンガレートによるウイルス感染の自然免疫認識の調節

 

食生活アドバイザー。スキンケアスペシャリスト。温泉ソムリエ。アラフォー女性健康美容ライター。 ストレスから睡眠障害、喘息発症、帯状疱疹を患う。夫は進行性の神経難病。 食生活やライフスタイルを見直したことで心身の良い変化を実感し、これまでの経験から難病の進行抑制、心と体の健康、エイジング対策探求に情熱を注いでいます。
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